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怨霊の魔術師  作者: Ceromiden
序章
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第一話

「ハァ…ハァ…」

 互いに死力は尽くした。この世界でも、またこのようにしてこいつと死闘を繰り広げることになった。

 嗚呼、何回目なんだろう。こいつと戦うのは。四十回目あたりから数えるのをやめてしまった。

 今は…大体、百五十程度だろうか…一回の世界に二・三年程いるから、今の俺は精神年齢三百〜四百歳といったところだろうか。

 こうなってしまったのも…こいつと、こいつの能力…そして、この世界たちの”真理”が原因だ。

 しかし、今回ばかりはしっかりと対策を施した。これで、まだ余力が残っていたとしても、逃げれない。

「クソったれ…」

 両者立ち上がれない。俺と先ほどまで戦っていた相手である…神無月シグマはそう悪態をついた。

「もう…終わりだ。後少しで仲間がここに到着する…四百年の争いはここで終わりを迎える。」

 この世界はありきたりな世界だった。

 現代社会とやらに似つつ、能力の概念が蔓延り、世界の全体が不安定。

 …こんな中でも、警察という組織が成り立っているだけ何とかなったものだ。

 そうしてシグマが犯罪者として名を挙げてから警官として行動しやすくなり、ここまでたどり着くのはさほど苦労しなかった。

 前の世界たちに比べたら安いものである。

「自らの不運を恨め…」

 そう言い放ち、とどめを刺そうとしたその瞬間……

 奴の口角が、大きく上がった。

「ッ!?」

 途端、《能力》の波長を感じた。この感覚、この世界のものではない。《全ての世界線》上の《シグマ》という存在に与えられている固有能力だ。

「まだ、そんな体力が余って──!?」

 あまりにも痛い誤算。この状態の奴に触れると、限界に近い俺ではいとも容易く《消されて》しまう。

「フッ…フハハハハ!甘い!詰めが甘いぞ墓守レイジ!!」

 そういってシグマはチート固有能力を使い、触れている“この世界線から別の世界線までの空間”を《破壊(デリート)》する。

 すると背後に大きなヒビが入り、自らの背後に巨大なゲートが展開される。

「またか…っ!」

 また繰り返すのか…また……

「……よく理解した…”こういう世界線”ではお前にはギリ勝てないだろう……なら方向性を変える。お前はついてこれるかな…?」

 そうシグマは言い残しゲートに消える。ゲートはあと少しで消滅するだろう。

「クソッ!!」

 最後の力を振り絞りゲートに身を投げ入れる。

 大きく体が引っ張られる感覚が体を襲い、次の瞬間、文字どうり宙に投げ出された。

 辺りに奴はいない…すぐに追いかけられるのを恐れ、何処かに逃げたのだろう…それより。

 物凄い高度から凄まじい速度で落ちていく。このままでは……マズイ。

「ク、ソ、ッタレェェェェェ!!!」

 この世界について何も理解していない俺は疲労しきった身体で《固有能力》を発動させ、相殺を試みる。

 この日、この世界の人間は目撃することになる。

 三つの、流れ星を。


  ◆


 鳥のような生き物が、チュンチュンと鳴いている。

 カーテンのような布がこすれる音がして、暖かな太陽の匂いがする。

 眩しい。朝だ。

 俺はゆっくりと瞳を開けると、木製の所謂『見知らぬ天井』とやらが視界に入ってきた。

 ……ただ、辺りは俺の想像しているものと大きく異なっていた。

 木枠の窓。素朴なベット。濃い茶色の立派な洋風の扉に、俺は時代そもそも……いや、世界観そもそもが今までと大きく異なっていることが容易に察知できた。

(……今までは、こんな事なかったんだがな。)

 勿論病室、と言った感じではないしナースコールも無い。能力など、そのような要素が組み込まれようが今までは現代社会ベースの世界しか来たことがなかった。

 そこで、ふと、シグマが最後に言っていた言葉を思い出す。

『……よく理解した…”こういう世界線”ではお前にはギリ勝てないだろう……なら方向性を変える。お前はついてこれるかな…?』

(……要するに異世界転移かよ)

 そう言えばシグマは元来アニメやラノベが好きだったかもしれない。しかし、俺は人並み程度しか見ていないのだ。んなもん知ったこっちゃない。

(…まぁ、そういう俺も“最初の世界”ではよく見てたしな……)

 まあ、無論四百年前の話なのだが。

 そんな事を考えていると、ふと奥の扉がおもむろに開いた。

「…………はっ?」

 出てきた女性は俺を見てあんぐりと口を空けた。

「…………えーと、ここどこだ」

 ひとまず俺はそう言った。その女性は一瞬ハッとしたかと思うとすぐに駆け寄ってこう口にするのだった。

「…………え?生きてるか半信半疑だった状態から……怪我なし?は??」

 ……あぁなるほど、理解した。

 シグマの能力を使った大技《世界転移》は奴の能力の応用で別の世界線に転移するというものだ。

 しかし、世界線を転移するうえでこの四百年間で学んだことがある。

 転移すると、ほぼ転生と同じなのである。

 二、三年くらい若返り、体がこの世界に適応し、世界と世界までの《穴》が閉じる。

 おそらく、世界線が狂わないようにするための措置なのだろう。なぜそのようなものがあるのかは分からないが。

 なので四百年間、俺は体的には一切老いていない。知らんけど。

 ……話が逸れたな。その時身体がこの世界に適応すると《この世界での俺》の体を得ている。変化ではないため、傷がなくなったように見えるのだ。

 簡単に言うと、前の世界での自分と今の世界の自分の体が入れ替わった感じだ。何処かのラノベのような設定である。

 因みに、大体俺が別世界に来るときは俺は既に死んだことになっているか、まだ生まれてきていないかなのである。生きていたら体が変わらないのですぐ分かる。その場合前の世界での力を使えるから変に見られがちだ。

「……えぇ〜と、何のことだ?記憶が無くてだな……」

 ひとまず未知の世界に入ってきたので、力について何も知らないと変に見られる。ほかにもいろいろな理由で、一応記憶喪失と言った設定で乗り切る。

 どうだ!これでは深く聞けないだろう!と内心勝ち誇ったが、目の前の女性は訝しむようにジロ〜と見ていた。

 ……え?うっそ、バレてる…?

「……記憶喪失……そんなの、お伽噺でしか見たことないわよ。嘘はついてないでしょうね。」

 ……何故かは知らないがこの世界では記憶障害などほとんど起きないらしい。えぇ……運悪ぅ…。

「……ただ、嘘はついてなさそうね。記憶喪失なんて初めてみるわ……」

 勝った。どうやら俺のポーカーフェイスは最後まで貫き通せたようだ。

「……名前は思い出せるかしら?」

 流石に勝手に名前をつけられると面倒なので、名前だけ、こう呼ばせることにした。

「……確か、レイジ、だったと思うぞ。ただ名前しか覚えてない。他にはなんにも。」

 そう。俺の名前は墓守レイジ。

 この世界では記憶喪失の……ただの、一般人である。

始めまして、セロミデンと申します。

小説という物自体初めての試みなのですが、なんというかまぁあくまでも素人の趣味の範囲なので、温かく見守ってほしいです。はい。

小説家になろうは初めてなので、多少なりとも不安があったり、語彙力がなかったりしますがこれからもよろしくお願いいたします。

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