6.みんなでやれば、怖くない
真剣に見つめるヒューゴの問いに対して、エレオノーラは企むような表情を浮かべて答えた。
「あんな形で婚約破棄されたら、やっぱり悔しいじゃない?」
「ほう。それで?」
「まずは、見た目を変えようと思って。体をケアしてダイエットするの。もっと健康的で美しくなるわ!ハーマン殿下を見返すためにもね」
ヒューゴは一瞬驚きの色を見せたが、すぐにいつもの笑みを取り戻した。
「へえ、なかなか攻めるじゃないか。でもさ、ハーマンのことなんて忘れちゃえよ。今さらあいつを見返したところで、何も良いことないだろ?」
「それはそうなんだけど……。私の中であの舞踏会でのできごとが引っかかってるのよ。見返すことができれば、それをきっかけに自分をもっと好きになれる気がするの」
エレオノーラの青い瞳が真剣な光を宿していた。
その時、ずっと黙って話を聞いていたフランソワが、そっと紅茶を置いて口を開いた。
「すごく素敵な考えだと思いますわ。そういう前向きな気持ちが、きっと未来を明るくするのだと思いますわ」
「たしかに、それはいい目標だな!」
ヒューゴは、背もたれに身を預けて笑顔になった。
「なんなら、ハーマン殿下にまたプロポーズされるといいな!そしてこっぴどく振ってやればいい。デブな王子なんて、私にはふさわしくないってな!」
「ヒューゴったら!」
フランソワが声を上げた。
「エレンがこんなに真剣に話しているのに、また茶化すなんて酷いのですわ!」
フランソワの言葉に、ヒューゴは軽く頭をかきながら言った。
「いや、茶化すつもりじゃなかったんだけど……」
そこまで言ったヒューゴは、やけにニコニコしながらヒューゴとフランソワを見ているエレオノーラに気づいて、動きを止めた。
「……なんか嫌な予感がするから一応聞くけど、ダイエットに俺たちを巻き込むとか言い出さないよな?」
「え?もちろん言うわよ。一緒にダイエットしましょう、ヒューゴ!フランソワ!」
エレオノーラが満面の笑みで宣言した。
「……まじか」
ヒューゴは肩をすくめた。
「いやいや、俺は今のままで全然困ってないし、別に痩せる必要なんてないぞ?」
「私、ダイエットを最後まで続けられたことが一度もないのですわ……。痩せたいとは思っているのですけれど」
二人は後ずさりするように尻込みした。
「私、仲間がいる方が頑張れると思うの。それに、二人とも顔立ちが素敵なんだから、痩せたらモテモテになっちゃうんじゃない?せっかくだから、一緒にやろうよ!」
エレオノーラの熱意のこもった誘いに、ヒューゴは苦笑いしながら頭をかいた。
「別に俺はそんなにモテモテにはならなくていいんだけどな……。でも、そこまで言われたら断れないか。結婚相手を探さなきゃいけないのは事実だもんな。」
ヒューゴは、自分の言葉に納得したようにうなずく。
「お前の心の支えになれるなら、付き合ってやるよ。ただし、俺のペースで無理のない範囲でな」
「私もエレンのために頑張りますわ~。ついでに痩せてモテモテになりますのよ」
フランソワはふわりとした笑顔で答えた。
「本当にありがとう、二人とも。心強いわ」
エレオノーラは嬉しそうに笑った。フランソワも笑顔で頷く。そして、ヒューゴがにやりと笑って言った。
「じゃあ、これからのお前の計画、じっくり聞かせてくれよ。まずは何から始めるんだ?」
「まずは体を整えるところからね。食事も見直すし、運動も少しずつ始めるわ。でも急激にやると続かないから、じっくりと。とりあえず、明日の朝6時にうちに集合っていうのはどう?」
ヒューゴは苦笑いを浮かべながら、フランソワは柔らかい笑顔で頷いた。
次回は、みんなでトレーニングの話です。




