12.セレブの朝。
「失礼いたします」
ノック音と女性の声で私は目を覚ました。
「朝食のお時間でございます」
使用人の女性が扉を開き、台車の様な物に載せた豪華な朝食を押して部屋へと入って来る。
西園寺璃央は私を抱きしめたままだ。
「西園寺さん」
少し焦りながら、私に抱き着いたまま寝ている西園寺璃央の肩を揺らす。
ちょっとこの状況を人に見られるのは、西園寺璃央に命をあげた私だが恥ずかしい。
「んー……もう朝?」
焦っている私に対して、西園寺璃央は平然としている。
未だに私に抱き着いたまま、もぞもぞと顔を擦りつけ眠ろうとしている。
「起きてください、使用人さん来てます……」
私が何度か西園寺さん……と肩を揺らすと、ようやく綺麗な瞳を開き起きてくれた。
「ふぁ~……おはよう」
私と一緒に上半身を起こすと、大きなあくびをして平然と綺麗な笑顔で私に微笑みかけた。
そこに使用人がいて朝食の準備をしているのに……恥ずかしくないのだろうか……。
もうこれが当たり前なのだろう……セレブって凄いな。
と、私は怪訝な表情で西園寺璃央を見つめた。
「ああ、朝食だね。食べようか」
そして当たり前かの様にベッドから下りて、朝食へと向かう西園寺璃央……。
やはり彼にはこれが当たり前なのだな……。
私はこれからのここでの生活に不安しかなかった。




