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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
異教徒 vs 太守ハッサン
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7 断食明けの夜

只管(ひたすら)に男は急いだ、そして奪ったは

驚きに見開く我が眼差しだったが

夜の悪魔をさながら迫るや

通り過ぎ、視界から消えた。

On - on he hastened, and he drew

My gaze of wonder as he flew:

Though like a demon of the night

He passed, and vanished from my sight,

その姿、その風貌焼き付く

我が胸苛める記憶、

そして長々、我が愕然たる耳に

鳴り渡る黒馬が蹄の怖ろしき。

His aspect and his air impressed

A troubled memory on my breast,

And long upon my startled ear

Rung his dark courser's hoofs of fear.

馬には拍車、近づく絶壁、

深淵に影落とす岩突き出し。

ぐるりと回り,素早く過ぎたら、

その岩、男を庇う我が視線から。

He spurs his steed; he nears the steep,

That, jutting, shadows o'er the deep;

He winds around; he hurries by;

The rock relieves him from mine eye;

まあ向こうは面白くはあるまい、考えてみると

逃亡者から目を離そうとしない人間など。

明るすぎても不都合か出ていくには

人目を憚り高飛びするには。

For, well I ween, unwelcome he

Whose glance is fixed on those that flee;

And not a start that shines too bright

On him who takes such timeless flight.

廻り廻る男は、通り過ぎる前

見納めとばかりに一瞥投げて、

駿馬を廻らす一瞬のこと、

飛ばすに息継ぐ一瞬のこと、

He wound along; but ere he passed

One glance he snatched, as if his last,

A moment checked his wheeling steed,

A moment breathed him from his speed,

瞬間、(あぶみ)を踏んで立ちあがり

何故に見渡すオリーブの森?

丘の上には三日月輝き、

モスクに高くランプは震え

A moment on his stirrup stood -

Why looks he o'er the olive wood?

The crescent glimmers on the hill,

The mosque's high lamps are quivering still

遠すぎて音も覚束ないけれど

木霊するはトフェイクの銃声なれ、

ひらめく喜びの鐘の一打ち毎に

証されて見えるはモスレムの熱意。

Though too remote for sound to wake

In echoes of far tophaike,

The flashes of each joyous peal

Are seen to prove the Moslem's zeal,

今宵、聖なる月(ラマダン)の陽が沈む。

今宵、砂糖祭り(シェケル・バイラム)が始まる。

今宵…しかし、お前は誰か、何なのか。

異国の装束に(こわ)い眉毛のお前は?

それ立ち止まろうか、逃げ去ろうか?

Tonight, set Rhamazani's sun;

Tonight the Bairam feast's begun;

Tonight - but who and what art thou

Of foreign garb and fearful brow?

That thou should'st either pause or flee?

tophaike:トルコのマスケット銃。金箔を貼るなど豪華な仕上げ。画像はWikiMediaから

挿絵(By みてみん)

原註)マスケット銃。…バイラムは、日没時に大砲で告知される。そしてモスクのライトアップや、 実弾を込めたあらゆる種類の小火器の発射が、一晩中それを宣言する。

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