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異教徒、トルコ説話の一片 The Giaour, A Fragment of a Turkish Tale. (1813)  作者: バイロン卿ジョージ・ゴードン George Gordon, Lord Byron/萩原 學(訳)
ギリシャ
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5 漁師の帰港

ここまでが事実上の前置きとなり、次節に初めて主役が現れる。本作には4人の語り手、すなわちモスレムの漁師・キリスト教の修道僧・「異教徒」その人・全知の第三者が指摘されている。もっとも、この見方には異論もあって、Jerome Mcgannは「バラッドの語り手が一人あるのみ」としている。

全集版の注釈では[この物語の語り手はトルコ人の漁師で、昼間はエギナ湾で働き、夕方になるとアッティカ沿岸に出没するマイノート海賊を恐れて、古くはピレウスであったポートレオーネの港に船を着けている。彼は物語のほぼすべての出来事の目撃者となり、一部では主要な代理人となっている。この詩の最も力強く素晴らしい部分のいくつかは、彼の感情、特に宗教的先入観に負うところが大きい。—Note by George Agar Ellis, 1797-1833.]

遠く、暗く、海原ちらちら、

延びていくのは岩礁の影

細める漁夫の目、小艇にも似て

海賊マイノートとやらを探して。

Far, dark, along the blue sea glancing,

The shadows of the rocks advancing

Start on the fisher's eye like boat

Of island-pirate or Mainote;

連中の軽快なるカイーク恐るべし、

近かろうと怪しい入江避けるべし。

労苦に疲れ果てていようと、

大漁のあまり動きにくかろうと、

And fearful for his light caïque,

He shuns the near but doubtful creek:

Though worn and weary with his toil,

And cumbered with his scaly spoil,

ゆっくりしっかりオールを漕いで、

レオーネ港の安全な岸辺まで

着けば迎える嬉しい(あかり)

東洋の夜にこれはぴったり。

Slowly, yet strongly, plies the oar,

Till Port Leone's safer shore

Receives him by the lovely light

That best becomes an Eastern night.

mainotes:ギリシャのラコニア州、コロキシア湾とコロン湾の間の半島、マイナの山岳地帯の住民。独立志向の野蛮で勇敢な連中、しばしば強盗。トルコに対してもほぼ自立、ギリシャ独立戦争に貢献。トルコ人が去って後は、互いに紛争。

caïque:ギリシャのカイークは主に、地中海東部で使われる小型の手こぎボートや帆船。

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