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闘技場

なんということでしょう…バトルに辿り着かない…。



2人に訓練場に案内してもらってる間に手の紋章について考えてみる事にした。


さっきの爆発は確実に僕に直撃していた。でも、僕の身体を何かが覆うように守ってくれていたのだ。考えられるとすればこの紋章の効果しかないけど、確かめるすべがない…。いっその事この世界の知識を後で調べてみたほうがいいか?其れとも魔法があるんだし魔法を使えるようにするのが先か?


「蒼眞は…どうしてるかな…」


考えてるうちに巻き込んでしまった幼馴染の事が頭をよぎる。


巻き込んでしまった事は悪いと思ってるけど、そんな事を彼は気にしないだろう。むしろ喜びそうな気はする。無茶しなきゃいいけど…。


考えを巡らせているうちに、訓練場の入り口らしき大きな門に到着する。


「ここから先が選手の入場口ですわ、中にある魔法陣の中に入ってくださいませ」


「異空間に作られてる闘技場に転送されます。…気をつけて」


二人に見送られながら門を開く。中には小さな台座があり、そこで魔法陣が紫色に輝きながらその存在を主張していた。


「うん、ありがとう。行ってあの人をぶっ飛ばしてくるよ」


台座に上がりながら決意の言葉を紡ぐ。それでも2人の顔は優れない。きっと僕のことが心配なんだろう。


「二人とも。こういう時は心配じゃなくて美少女の応援の方が嬉しいかな」


笑顔で振り向きながらおちゃらけたように話す。笑顔で話すのは安心させるため、おちゃらけたように言うのは笑って欲しいためだ。


二人は少し驚いた後、お互いに視線を向けて照れたように笑い、こちらに視線を向けた。


「「照君!頑張ってください(まし)!!」」


「うん!」


二人の笑顔に見送られながら、僕の身体は少しずつ光に包まれていった。


転送された先は、巨大なドームの中心だった。二階の観客席には人がまばらに人が座っていた。


地面の感触を確かめると、さっきまで無かった土の感触が別の場所に転送されたことを教えてくれる。


「けっ!ようやく来たのかよ待たせやがって、まぁ逃げなかったのだけは褒めてやるけどな!」


キャンキャンと吠えている雑魚は目に留まらず、僕の視線はその横に立っている人に向けられていた。


「マグナード先生?どしてここに?」


そう、先ほど別れたマグナード先生がそこにいたのだ。


「どうしてじゃありませんよ。どうしてこんなことに?」


僕の質問を、マグナード先生は呆れながら質問で返してくる。


どうしてって…それは…。


「ムカついたからですね」


簡潔に答えてみる。実際今も神経を逆撫でされてしょうがないし、仕方ないよね。


「もう…彼はこの学園の7位です。普通の生徒とは違うのですよ?」


マグナード先生も心配の言葉をかけてくれる。相手の実力がわかってるからそこの心配だろうけど、僕ってそんなに弱そうに見えるのかな…。


内心で落ち込みつつもそれを表に出さないように気をつけながら相手を見据える。ニヤニヤとしながら此方を見下している様はまるでガキ大将だ。


「大丈夫ですよ、早く始めましょう」


あのニヤニヤした面をさっさと歪めてしまいたい。


「…仕方ありません、それでは距離をとってください」


マグナード先生の言葉に従い、30メートルほど離れるように距離を取る。


「へっ!落ちこぼれ風情を庇うからここで恥をかくことになるんだ。俺様に楯突いた事を後悔させてやる」


口を開きながら構えを取るアドルフ君。へぇ…なかなか様になってるね。


「その言葉、覚えときなよ」


姿勢を低く保ち、イライラを抑えながら低い声で話す。


「それでは試合を始めます。形式は実戦形式、勝敗はギブアップかどちらかが戦闘不能になるまで続けます。それでは…」


実戦形式…何でもありの戦闘ね、面白い。


アドルフ君の方を向きながら情報を整理する。そんな中アドルフ君の片手が輝き、光が収まると一本の剣がアドルフ君の手に握られていた。


ヘェ〜…あんな事も出来るんだ、なんでもありだね魔法って。


変なところで感心していると、此方を見るマグナード先生と目が合う。


「照君、早く武器を」


「?僕の武器はこれですけど」


そう言いながら片腕を掲げる。


その行動に、二階の観客席の何人かから嘲笑する雰囲気を感じる。


「ハッ!武器も使えねぇのかよ!落ちこぼれのお仲間は落ちこぼれってか!ハハハッ!」


嘲笑うアドルフ君。それに釣られるように観客席からも笑い声が漏れてくる。


「照君、やはり…」


「いいから、はやく」


思わず怒気が漏れる。それに気が付けたのはごく数人、殆どの人は嘲笑うことをやめなかった。


「そ…それでは」


僕の怒気に気が付いたマグナード先生は、僕の言葉に促されて言葉を繋ぐ。


その事に少し悪いと思いつつも、僕は開始の合図を静かに待った。


「始め!」


マグナード先生の言葉を切っ掛けに、僕たちはお互いに動き始めた。

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