授業
まぁ続きです。ハイ。
どうぞ!いつもよりは少し短いですが。
担当教師視点
ポコッ
「あう」
「うむ。勝者シン」
「「ありがとうございましたっ」」
ふむ。差が開き過ぎて勝負にならないな…
未だにシン君は剣を抜いてすらいない
今の女の子相手も、裏を取ってから柄で軽く叩いて終わりだ。
というか、アイツ(割り振った教師)俺とかの他の教師に公爵家を押し付けやがったな!自分の担当には普通の子しか居ないじゃないか!
今度アイツに何か奢って貰おう等と考えながら、次の対戦を考える。
……そういえば、シン君と仲の良さそうな子が居たな。えーと、ノルン君か。シン君と同じ主席合格者か!
これは面白そうだ
「シン君、すまないが少し休んだら次も大丈夫かい?」
「はい。相手は?」
「君と同じクラスのノルン君だ」
「わかりました。ですが、それなら少々休憩させてもらっていいですか?万全の状態でやりたいので」
少し考えてから、シン君の提案を認めた。準備が整うまでは他の対戦を消化しとくか。
いや、いっそのこと最後に持ってくるか。
シン君とノルン君に最後の対戦になることを伝えて、とうとうその時が来た。
貴族様の英才教育が勝つか、現役の冒険者が勝つか見ものだな!
「ふふっ。ノルン、お手柔らかに頼む」
「シンの方こそな。…というかお前も刀持ってたのか」
「あぁ。家に保管してあったのを私が強請ってな。剣とは勝手が違うから、一緒にあった『トリセツ』と書かれた本を読んで独学で学んだよ」
「そ、そうか。大変だな」
「あぁ。ノルンの方は?師が居たのか?」
「これは俺の父さんがな。使い方も父さんから学んだ」
「あー、すまないが始めてもいいかな?終わってからゆっくり話すといい」
「「すいません…」」
「かまわない。それではシン対ノルン、開始!」
開始と同時に2人が動いたのは見えたが、2人が抜いた剣の切先が油断していた俺には見えなかった
キィィンと澄んだ音が響き、見るとお互いが鍔競り合いをしながら笑っていた
「流石に抜刀術を知ってたか。『トリセツ』には刀の独特な技術として紹介されていたのだがな」
「まぁな。シンの太刀筋に合わせるのは大変だったぞ。危うく斬られるところだった」
「抜かせっ!」
シン君が一度距離を取り、ノルン君もそれに逆らわずに下がる。
そこから2人は無言になり、真剣な顔で互いの手を読みあっていた。
「っふ!」
「しっ!」
日の光に反射された鉛色の煌きが何十もの線となり、2人の間を飛び交う
「ならこれはどうだ!」
シン君が持っている独特の細い剣で刺突を放つ…はやい!
「おいおい、刀は刺突には向かないって聞いたことあるんだが」
そう言いながら対するノルン君は剣の側面で、剣先を受け流した
あの速さの刺突をあの細い面積で受け流すとは…
一つ間違えば大怪我だぞ
「…ほら。お返しだ」
「なっ」
ノルン君が足元の土をシン君の顔に蹴って意表を突く。周りの生徒の一部からは『卑怯』などとの声が聞こえるが、彼は冒険者として生きている。己が生き残るための技術として身に着けているのだ。
シン君も彼を卑怯とは思ってないようで、逆に楽しんでいるよにも見える。
「流れるような動作で土を蹴るなんて驚いたぞ!一瞬なにされたかわからなかった」
「俺は人でも魔物でも、勝つ為には卑怯な手でも、それが有効な手なら迷わず使う」
「ははっ。私も見習うとしよう!」
2人は話ながらも手を休めることなく打ち合い、ノルン君がシン君の剣を受け流しそこね、体勢を崩したように思われた。
そこを攻めようとしたシン君に、ノルン君の後ろ回し蹴りが鼻先を掠めた。
すかさず地面に手をついているノルン君に剣が振るわれるが、片手とは思えない力で飛びのき回避し
ついでに剣で下から掬い上げるように斬りかかり、シン君の左頬にツーっと一筋の血が流れた。
体勢を直したノルン君の反対の頬にも同じように斬り傷が出来ていた。
「…俺と腕がほぼ同じって、どんな訓練してきたんだよ」
「それは秘密だ。貴族の特権とだけ言っておこう。それより、随分と身体能力が高いな。私では片手で飛び退くのは無理だぞ?」
「まぁ腕力には少し自信があるからな」
「そうか…次で終わらすか」
「そうだな」
向き合い、互いを睨みつけて佇む2人に、俺は少し興奮してたし、同時に二人とも新入学生のレベルではないなとも思った。
「ハッ!」
「疾っ!」
一瞬のうちに交差し駆け抜けた2人。2人とも普通に佇んでいるが、少ししてノルン君が
『俺の勝ちだな』と微笑を浮かべながら言い放った。
よく見ると、頬の傷以外の服などにシン君には3つ、ノルン君には2つの傷が出来ており、ノルン君の方が1手多かったことが分かる。
どうやら現役冒険者の方が、貴族の剣よりも今は強いようだ。今後は分からんが。
「勝者ノルン」
「「ありがとうございました!」」
その言葉と同時に見ていた他の生徒や、教員からも2人を称えるような言葉や拍手が聞こえてくる。
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ノルン視点
「楽しかったな」
「そうだな。今度はシンの本気とやりたいな」
「ふっ。私はいつでも構わないぞ。ただ、そう急がなくてもすぐに戦えるかもしれないが」
「?」
「この学園には、1年に1回生徒同士での闘技祭があるんだ。それに私たちが出るならまた戦えるだろうしな。それ以外も学園祭と呼ばれるものもあったり、近くの森までの遠征だったり、色々イベントあるんだぞ」
闘技祭かぁ。やってみたいけど、その時にならないと分からないな。
「気分が乗ったらだな」
「はは。そうだな。私もノルンたちがいないとつまらないしな。あと知ってるか?この授業でいい結果出すと、教師に現役の高位冒険者や騎士団長クラスが教えに来てくれるんだ」
「そうなのか?毎回?」
仕事大丈夫なのだろうか
「毎回とはいかないらしいが、結構な頻度で教えを乞えるらしい。なんでも昔、実力を持った学生が調子に乗って教師を馬鹿にして授業にならなかったらしい。それで、制裁の意味を込めて今の形になったそうだ。因みに、その学生はその後今までの事を反省し、騎士として活躍して、最期、大型の魔物から人々を守って散ったそうだ。」
「ほー。いい話だな。その人は根は優しく強い人だったんだろう」
「そうだな。さて、そろそろ他の奴らも終わっただろう。行くか」
「ああ。」
俺らが他の面子の処へ行くと、まぁもう勝負はついていた。
よく見ると近接職、遠距離職で別れて居た。
そりゃそうか。
俺とシン以外だと、レオとグレイが被っていて、それ以外はバラけていた。
僅差でレオがグレイに負けたみたいだ。お互いに一撃当てたのだが、刹那の差でグレイが先に当てた為に、レオが負けを宣言したらしい。
まぁそれ位で、アイリスもリリィも普通に勝って終わってた。アメリアとウィリアムも物足りなさそうな感じだ。
俺たちのグループ以外でも強そうな生徒が何人かいた。
盗み聞きした教師の話では、今年は豊作だそうだ
俺たちは作物か。
まぁ個人的にも、色々な人の戦闘は勉強になるからこれからが楽しみだ。
ギリギリ今回はノルンの勝ちでしたね。シンとノルンの実力は大体互角です。ノアの存在や、種族的に考えるとノルンの方が優れてますが、剣や体術・魔法といった面では互角の勝負をします。




