初めての授業開始
授業開始直前までのお話し。
忙しくなってきてあまり時間が取れないのが残念。
それではどうぞ!
「んぅ・・・ん?ここは…」
確か俺が魔法でエレメント・ボアを殺して、気を失ったまでは覚えてるが…
この真っ暗な空間は、魔法か?出ようかと思ったら、勝手に魔法が解けて外に出れた。
そして目に入ってきたモノに絶句した。
「なんだ、コレ?どうなってる…」
アレクさんや他の冒険者、騎士さんたちが倒れている。そして、なによりも少し離れた場所でアニータさんと〈隊長〉さんが戦っていた。ノアと。
余裕を持って2人と戦うノアに呼び掛ける
「ノア!」
俺が声をかけるとピタリと戦闘が止まり、ノアが俺に近づいてきた。
「お目覚めですね。ノルン様」
「何をやってる?これは?」
「いえ、私がノルン様が気を失われてしまったので保護しようとしましたら、この転がっているモノたちと、あちらの雷女と筋肉ダルマが襲って来まして。対応していたところです」
…やらかした。ノアは俺が特に親しい人物でないと下に見る傾向がある。物腰は柔らかい風に見せているが、気に食わないとすぐに捻じ伏せようとする時がある。
「はぁ、この人たちは大丈夫さ。取りあえず戦うのは勘弁してくれ。あと、魔法で保護してくれてありがとう」
「はい!ノルン様のためとあらば、何時でもお呼びください」
「あー、じゃあ少し魔力をくれないか?まだ回復しきってないんだ」
「かしこまりました」
ノアは俺の手を恭しく握ると、ゆっくりと自身の魔力を俺に渡してきた。
魔法を使って戦っても大丈夫な程回復してもらったくらいに、アニータさんが話しかけてきた。
「白髪、ソイツは安全なのかい?」
「えぇ。俺の仲間ですので」
「…そうかい」
どこか不服そうな感じだが、気にしないでおこう
「それなら、ソイツが沈めた奴らを起こすの手伝ってくれないかい?もちろんソイツもね」
「はぁ。ノア、やるぞ」
「ノルン様の頼みとあらば」
俺とノアとアニータさん、隊長で伏している人たちを起こしていき、なんとか全員起こせた。
「・・・予定は狂ったけど、帰るかねぇ。それと白髪、仲間の教育ぐらいきちんとしとくれ。いきなり威圧全開で出てこられちゃかなわないからねぇ」
「すいません…」
「…まぁいいさね。さ、お前たち帰るよ!」
「「「おぉ…」」」
もちろん士気は低かった。
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「ノルン様、死んでなくてよかったですね!」
「…やったお前が言うな」
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翌日、ギルドに合同依頼の詳細を伝え、俺は皆とは少し遅れて学園に到着した。
「で、なんで俺がグレイと戦うことになってるんだ?説明してくれ、レオ」
「いや、なんていうか……成り行き?」
俺が軽く目を細めて問う姿に、レオが焦る
「まぁまぁ、いいじゃねーか!俺と試合してくれよ」
「いや、疲れてるんだが……」
「頼むノルン!グレイにノルンが俺らの中で一番強いって自慢してたら、なんかこうなっちまったんだ……
しかもノルンが負けたら俺がグレイに1食奢らないといけなくて……」
なんで勝手に賭けてんだ…
「ま、俺と戦わないなら不戦勝で俺の勝ちだな!」
……。
「やろうか。戦わずに負けなんて悔しいからな。ただし、俺が勝ったら俺たちに1食奢れよ?」
「おう!それなら訓練場に行こうぜ」
疲れてるし、早く終わらそ。
訓練場に着き、一段高くなってる場所に俺とグレイが立っている。
「一本先取で、相手に重度のケガ、殺害を禁止。」
「武器はどうする?お前は拳闘士だろ?」
「んー、早速制服を血で汚すのも気持ちよくねーし、そこはノルンが上手くやってくれや」
適当だな、コイツ
「わかった。じゃあ、そこの……ア、アミリア?宜しく頼む」
「私はアメリアですわ!!」
「す、すまん…」
プンスカ怒ってるアメリアは、謝るとすぐに赦してくれ、最終確認をしてから開始の合図をしてくれた。
「……。」
「こないなら、俺から行くぜぇ!」
「来い……。」
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グレイ視点
「オラオラオラオラァァァ!!」
「くっ!」
俺の連続攻撃にノルンはシンも使ってる細い剣で上手く防いでいる。が、このままなら俺の勝ちだろう。
俺は唯一使える身体強化の魔法で更に攻撃速度を速める。
こいつは守るより攻めるほうが強いのだろうが、こうなってしまえば俺の独壇場だ
俺は、俺たちは、武芸も貴族としての作法も叩き込まれた。俺は才能があったのか、戦闘に関しては中々のセンスがあると自負してるし、事実そうである。これから鍛えればまだまだ更なる高みへいけるだろうとも言われた。ノルンもセンスはあるんだろうから、これからが楽しみだ。
俺は拳も蹴りも使えるモノは使いノルンを追い詰める
少し苦しそうなノルンの表情を見て、ここらが限界だと悟る。
最高で、最後の一発を打ち込もうとモーションに入る。
「これで、仕舞いだ!」
「……お前がな。」
その時、不意にノルンの瞳が妖しく光った気がした。
俺の拳がノルンの顔を捉える瞬間に、ノルンの姿が霧のように消え失せ、俺は次の瞬間にはノルンに左の頬をぶん殴られて吹っ飛んでいた…
「俺の勝ちだな」
少しムカつく笑みを俺に向けるノルンに一瞬呆けるが、徐々に俺が負けたのを理解しはじめ、ノルンの手をつかむ。
「シンたち以外に久しぶりに負けたぜ。」
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「シンたち以外に久しぶりに負けたぜ。」
清々しい笑顔で手を差し伸べてくるグレイに、俺も握手を返す
幻術を開始と同時に嵌めて、速攻でグレイを殴って終わらせた。グレイには数分に感じただろうが、勝負は十数秒で終わった。
「いい夢見れたろう?」
「夢?俺の拳を受けてたよな?」
そこに今まで黙ってたシンとウィルが割り込んできた。
「驚いたな。リリィの他に君も無詠唱で魔法が使えるのか!」
「いや、正確には魔法ではないな。魔力は使ってるが違う何かだな」
へぇ。幻術までは分からなかったみたいだけど、中々シンは鋭いな
というか二人とも魔力探知凄いな。なるべく隠して使ったのに。
「ま、秘密だ。」
「そうか。なら仕方ないな」
「取り敢えず飯奢って貰おうか!約束だしな!」
「チッ勝てそうだったのに」
軽い悪態をつくグレイを他所に、俺らは全員で学園の食堂に向かった。
「ん?お、おい!なんでオメエ達も一緒に行くんだよ!?」
「ん?ノルンは俺たちって言ったろ?なら私達も含まれてもいいだろう」
「バッ!?お前は際限なく食うから金が足らねーよ!」
「何を言う!他人より少し多めなだけだ!」
シンは顔に似合わず大食いなのか
「ほー。シンもか。レオも滅茶苦茶食うからな~」
「おう!任せろ!」
「なんだと!?」
「まぁ、負けたグレイが悪い。」
俺の一言でグレイは諦めたように肩を落とした。
……因みに、会計での金額は約金貨3枚分だった。
シンとレオが料理を大盛りや特盛りで頼み、女子は単価が高いデザート等をいっぱい食べてた。
アメリアに名前を間違えたお詫びとして1品奢ったら、機嫌が直って良かった。
グレイも開き直って自分でも大量に食べたので、最後は泣きそうな顔で金を払っていて笑えた
そんな一幕も終わり、俺の学園で初めての授業の時間になった!
授業は戦闘実技で、最初だけクラス関係なく集まり一斉にやるみたいだ。
決められた場所に着くと俺たち以外の生徒がもう居た。
どうやら俺たちが最後のようだ。
ザワザワとしてる中、教師と思われる人物が説明を始める
『静かに!これから記念すべき第一回目の戦闘実技の授業を始める。各々のクラスごとでは無いのは、クラスとは総合評価で決められる。なので、戦闘は出来ても勉強が出来ない者は上のクラスにはいない。
その逆も然り。
しかし裏を返せば、戦闘ならば上のクラスの者にも勝てる者もいるのだ。
其々真摯に、全力で、授業にあたってほしい。
それではこれから実力別に分ける為の試験を行う!……』
教師の振り分けで、生徒がある程度のグループに分けられて
試験をするであろう教師の処へ散っていった。
時々周りから視線を貰ったけど、なんだろう?制服着てないからかな?着るの忘れたんだよなぁ。
冒険者の依頼とは違った緊張感と期待を纏いながら
俺たちも指示の通りに教師のもとへ向かうのであった。
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とある女子生徒視点
『かっこいい』『かわいい』
恐らくこれが、私を含めすべての生徒たちの内心だろう。
多分彼ら彼女らが最後に来たのだろう。最初に目についたのは、帝国4大貴族と言われる公爵家の人達。
シン様、グレイ様、アメリア様、ウィリアム様。その4人と並びながら話すあとの男女4人は知らないが、最後に現れたその8人に視線は集中したと思う。
本人を生で見るのは初めてだが、噂に違わず美男美女だ。それに並ぶ4人も、負けず劣らずだ。
シン様と話しながら歩く綺麗な白い髪、紅い瞳の少々童顔な男子。腰に見たことない木を削った棒?みたいなの持ってる。軽く反ってるけどなんだろう?
シン様は似てるけど、装飾された細身の剣みたいなのを腰に差してる、
アメリア様と話してる女の子。少々つり目で、あっ耳が長いからエルフかな?弓を背にもってる。
アメリア様に対しても自分の意見をはっきり言ってて、凄いと思う。普通は尻込みしちゃうよ…
グレイ様と賑やかに話したり、お互いちょっかい掛け合ってる男子。こっちはグレイ様と似てるなぁ。筋肉質で身長も高いし、グレイ様と同じワイルドな感じのイケメンさんだ。
あと、多分虎の獣人族の女の子がウィリアム様からほぼ一方的に話しかけられていた。時々頷いたり首を振ったりしてるから、聞いてはいるんだろうけど、離れてみたら無視してるようにも見える。恥ずかしがりなのかな?
ウィリアム様は気にせず話かけてるけど。
その8人は、皆の視線を気にもせずに合流して先生の話に耳を傾けている。男子も女子もチラチラと其々気になる人に視線を向けている。私もシン様ともう一人に目が奪われている。
似てるようでどこか違う2人。貴族として凛と佇むシン様もカッコいいけど、その横で冒険者みたく少しラフな格好で佇む彼もカッコいい…。
学園の制服を配られているはずだけど、白い髪の男子だけ着てなかった。着替えたのかな?
少しまじまじと見すぎたのか、チラッとその赤い瞳を向けられてしまった。その吸い込まれそうな瞳と、最後に口元に笑みを浮かべた顔。
私は俯いてしまったけど、自分の顔が熱く熱を持ってるのがわかる。恥ずかしい…!
先生の説明も終わり、数人のグループに分かれての実力試験が始まるようだ。
そこで私は自分の運の良さ?に喜びもしたが、軽く恨んだ。
なんとシン様と白い髪の人と同じグループになっちゃった!!
嬉しい反面、周りから妬みの視線が怖い・・・
私、大丈夫かな…
私たちのグループ担当だという先生の合図で、試験が始まった。
ノルンの刀は、見た目が白木造りのような装飾が最低限しかありません。ただ、ギルの渾身の作品なので切れ味や鞘などの耐久度は高いです。
シンも刀を使います。これはシンの家に代々伝わる家宝の一つです。初代勇者の武器を作った勇者の仲間の鍛冶師の作品と伝えられ、シンの家に当時贈られたモノ。シンが使えるのは、幼少期に強請ったため。




