よく見るとそれはペイパーマン
コウセイとヒロミが自分たちを連れ戻そうと馬に乗って追いかけてきていることも知らず、アスカ、ヒロヨそしてオビトの3人は、クラハシの丘に向かっている。
丘に近づくごとに、襲ってくる妖怪の数が増えていく。
茂みの中から、小鬼が飛び出してきた。
ヒロヨ
「オビト! 危ない!」
オビトは陰陽劍を抜き、2本の短剣を十字に交差させる構え。小鬼が怯む。
オビトが陽劍を一振り、小鬼を両断した。小鬼消失。
ヒロヨ
「アンタ、意外とやるわね」
アスカ
「あの陰陽劍は、オビトがメスリの丘で見つけたものよ。 霊気を斬ることができるみたいよ。 あれを持っている限り、小妖怪ぐらいなら対処できるわ」
小妖怪にまぎれ、白い小さな紙切れが飛んできた。
よく見るとそれは人型。
風もないのに不規則に空中を舞っているので、霊気を帯びていることは間違いない。
アスカが、小さな人型に手を触れようとする。
アスカ
「あら、可愛い。 邪気は妖怪を作り出すというけれども、こんな小さな命も作り出すのね」
オビト
「その人型、ちょっと変だ。 その人型から、桁違いの霊気を感じる」
アスカ
「?」
人型が突然に高速回転。その足元がドリルの如く尖鋭し、アスカに襲い掛かった。
ヒロヨ
「アスカ! 危ない! 召喚する! 輝ける闘士『太陽の法衣』!」
ヒロヨが守護霊を召喚、その能力、火焔光で人型を狙撃した。
命中。
吹き飛ぶ人型。
ヒロヨ
「やった! アスカ、大丈夫?」
オビト
「いや、アレはまだ無事だ。 そして……」
アスカ・ヒロヨ・オビト
「「……」」
オビト
「増えてる……2枚に……」
アスカ
「だったら、今度は私が! 出番よ! 紅蓮の戦士『不動の解脱者』!」
オビト
「待って! アスカ! 迂闊に攻撃しては」
オビトの制止も間に合わず、『不動の解脱者』が人型に対し攻撃開始。ダメージ十分。人型が吹き飛ばされる。
ヒロヨ
「どういうこと? 今度は4枚になっている」
オビト
「この人型、ダメージを受けると分裂して数を増やすんだ! ダメだアスカ! この人型を攻撃してはいけない!」
アスカ
「ちょっと、そういうわけには!」
今度は4体の人型が高速回転。 アスカの守護霊『不動の解脱者』に襲い掛かる。
『不動の解脱者』が手拳ラッシュ。1秒もかからずに4体の人型を吹き飛ばす。
今度は、8体の人型となって、『不動の解脱者』に近づいてきた。
アスカ
「攻撃してはいけない妖怪だなんて……どうやって戦えば良いの?」