ダンジョンマスターの御魂はこの下だ
クラハシの丘の古墳を目指したその先で、オッグ=アイランダーと名乗る男に出会ったオビトとヒロヨ。ところがそのオッグが襲ってきたので、守護霊を召喚して迎え撃つヒロヨ。
どうも、戦闘力はオッグの方が上手のようだ。
どうしようかと、ヒロヨがオビトの援護を求めようとしたところ、そこにいるはずのオビトがいない。
ヒロヨは、1人でオッグと戦わなければならなくなった。
ヒロヨ
「輝ける闘士『太陽の法衣』! 火焔光!」
しかし、オッグの守護霊、紫色の勇者『覇王の長子』に、かわされる。
オッグ
「行け! 『覇王の長子』!」
その守護霊の右手が、水銀のように形を変えて、細長い、先の鋭利な鉄棒のようになって、『太陽の法衣』に攻撃しようとする。
しかし、『太陽の法衣』がさっと後退、容易にかわす。
『覇王の長子』の間合いよりも、『太陽の法衣』の火焔光の方が、射程が長いのだ。
ヒロヨは、火焔光を連発して、『覇王の長子』を近づけまいと牽制する。
オッグ
「ヌゥ! こんなチンケな光の矢! なめるなよ! 我らが大義、この程度の攻撃で怯むことはないのだ!」
『覇王の長子』が『太陽の法衣』に近づく。
ヒロヨ
「火焔光!」
近づきすぎたか、『覇王の長子』の顔面に火焔光が直撃。
『覇王の長子』にダメージ。
だが、『覇王の長子』は歩を止めない。
小妖怪ぐらいであればともかく、火焔光は守護霊に致命傷を与えられるほどの威力がないのだ。
ヒロヨ
「火焔光! 火焔光! 火焔光!」
『太陽の法衣』の連続攻撃。すべて直撃。だが、『覇王の長子』の進撃を止めることができない。
オッグ
「弱い! 攻撃とはこうやってするものだ!」
今度は『覇王の長子』が右手を水銀のように変形させ、長い鉄縄とした。
鉄縄は、火焔光の攻撃を受けながら、蛇行して飛んでいき、たちまちヒロヨの『太陽の法衣』を縛り上げた。
火焔光は、『太陽の法衣』の眉間から発せられる。そこで鉄縄は、『太陽の法衣』の眉間も押さえつけた。
こうして、『太陽の法衣』は、その攻撃力を完全に奪われた。
一方、この守護霊バトルの現場から、いつの間にか姿を消したオビトである。彼は、負け犬のように逃げ出したのだろうか。
オビトは、『覇王の長子』の攻撃が始まると同時に、オッグに背を向けて走り出した。
その姿は、無様な逃走者そのものである。
笹薮の多い森の中である。
少し走れば、オッグの視界から逃れることができる。
そのポイントで道から外れ、駆ける。
迂回。
目指す先は、最初にオッグが立っていた場所である。
|(彼は、守護霊を召喚して、あの場所に立っていた。 なぜ彼は、守護霊を準備していたのか? 付近に妖怪がいる気配もなかった。 とするならば、あの場所で、古墳の主を呼び出そうとしていたのではないか)
ならば、その場所が目指す古墳の入口である。
地面に、半ばだけ埋まる巨石。その下から、重い、重い、とてつもなく重い悪気があふれている。
オビト
「着いた! そして間違いない! この霊気! 古墳の主の御魂はこの下だ!」