逃げた!
クラハシの丘の古墳を攻略して、周辺の悪気を一掃しようと進むオビトとヒロヨ。悪気が強くなっているので、その先にきっと古墳があるであろう。その先に、一人の男が守護霊を伴って立っている。
男が2人に気付いて、近づいて来た。
殺気――
男が2人に向かって駆け出してきた。
その行動の異常に身体を硬直させるオビトとヒロヨ。
ヒロヨ
「輝ける闘士『太陽の法衣』! 火焔光!」
本能的な防御反応で守護霊を呼出し、先制攻撃。
男は、身体をのけぞらせて『太陽の法衣』の火焔光を回避する。
男
「行け! 紫色の勇者『覇王の長子』!」
男の守護霊の名は、『覇王の長子』というらしい。男は、身体をのけぞらせながら、己の守護霊に攻撃を命じた。
『覇王の長子』の右腕が水銀のように液状化し、金属と流体の中間のような存在となる。鋭く伸びてヒロヨの『太陽の法衣』を刺突しようとする。
ヒロヨ「火焔光!」
『覇王の長子』の攻撃を迎撃する一閃。
はじかれる。
だが、刺突の軌道がずれた。
『覇王の長子』の鋭利な右腕が、ヒロヨの『太陽の法衣』の右肩をかすめる。
ヒロヨ
「殺される――」
彼女は、男の守護霊の強い攻撃力を実感した。
直撃を喰らえば、一発で命を落とすだろう。
少しだけ振り向く。
こういう時、守護霊をもたない彼は頼りにならない。それでも、何か力を貸してくれるのではないか。
すがるような思いで、オビトの方へ振り向いた。
ヒロヨ
「!」
いない!
そこにいるはずのオビトがいない。
逃げた!
(何よ! アスカを救うんだって言って、ここまで引っ張て来たクセに! 肝心なところで、真っ先に逃げ出すなんて!)
動揺するヒロヨにお構いなく、男が近づいてくる。
目の前の少女が守護霊使いと気付いて、その歩みは慎重に。
男
「我が名はオッグ=アイランダー。 ここクラハシの丘の秘密に近づこうとする者には、死の制裁を加えよう!」
男は、「オッグ」と名乗った。
オッグとヒロヨの、守護霊バトルが始まった。