お仕置きの時間かな
『キツネ男』が生み出した、攻撃するたびに数を増やしていく人型に対し、絶対防御の能力を覚醒して活路を見出したアスカだったが、最後は『キツネ男』と精神力の勝負となって、窮地に陥った。
そこへ、アスカたちを追いかけて来たコウセイとヒロミが追いついた。
アスカは精神力を使い果たし、もはや戦闘に参加できない。そこで、守護霊の戦いは、コウセイの蒼き竜騎士『空飛ぶイルカ』と、『キツネ男』の黒き兄弟『長手足』の勝負となる。
コウセイ
「どうも攻撃を止めてはくれないようだね。 ならば、僕は召喚する! 蒼き竜騎士『空飛ぶイルカ』!」
コウセイの守護霊は、青く塗られた兜が特徴的な騎士で、竜にまたがっている。
人型が、コウセイの『空飛ぶイルカ』に群がってくる。
高速回転して攻撃態勢に入る人型、そして一斉攻撃。
コウセイ
「何の!」
コウセイの『空飛ぶイルカ』が手にした槍で、無数の人型を一瞬で全滅させる。『空飛ぶイルカ』は、素早さでアスカの『不動の解脱者』をはるかに上回る。だから、『不動の解脱者』よりもはるかに多くの人型を一度に攻撃できる。
だが、『空飛ぶイルカ』の攻撃を受けて破れ千切れた人型が、再生して、数を2倍にして増殖する。
アスカ
「気を付けて! その人型は、攻撃すれば分裂して数を増やします!」
キツネ男
「そうだ! その通りだ! いかに君の守護霊が素早い攻撃をしようとも、いずれそれでは追いつけないぐらいの数になる! そうなれば、君の守護霊も一巻の終わりだ!」
どういうことかと、コウセイは、試しに漂う人型1体を、『空飛ぶイルカ』の槍で小突いてみた。
すると、人型が簡単に破れ千切れ、その破片が次々と再生していき、2体のペイパーマンとなる。
コウセイ
「なるほど……そういうことか」
無数の人型が再び高速回転を始め、攻撃態勢に入る。
コウセイ
「やれやれ……少しだけ準備の時間がほしいものだが」
『空飛ぶイルカ』の華麗な槍さばき。
攻撃してくる人型をことごとく斬り払う。
だが、『キツネ男』は、いくつか斬り損ねた人型があったことを見逃さない。
コウセイ
「クッ!」
キツネ男
「アーハッハッハ! 君の守護霊は、そんな数で限界かい? 次は、その倍の数が行くんだよ! 果たして君は、防ぎきれるかなぁ!」
さらに多くの人型が高速回転を始め攻撃態勢にはいる。
だが――
コウセイ
「防ぎきる? 防ぎきるだって? 僕は防御なんかしないよ。 僕の『空飛ぶイルカ』はただ攻めるだけなんだ」
キツネ男
「?」
コウセイ
「龍馬! 暴食!」
龍馬は、『空飛ぶイルカ』が騎乗する龍の名前で、守護霊の一部である。暴食は、龍馬が使う能力の名だ。
龍馬が、その口を大きく開ける。
大風が起こる。
この風は、龍馬が息を吸い込む力だ。
台風というほどではないが、紙片のような人型を吸い込むには十分な風である。
暴食は、龍馬の口に入る大きさのものであれば、なんでも吸い込んでしまい、亜空間に封印してしまう能力だ。
『キツネ男』の人型は、すべて龍馬の呑み込むところとなり、彼は攻撃手段を完全に失った。
コウセイ
「さて、そろそろお仕置きの時間かな」
『キツネ男』、戦闘不能。
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また、物語の歴史背景にご興味をもたれたら、「天平のファンタジア拾遺集」で解説している場合がありますので、こちらもご覧ください。