攻撃を止めるんだ! 命が惜しければ!
攻撃力こそ低いものの、撃退するたびに数を増やしていく人型。ヒロヨとオビトを先に行かせて一人これと対峙していたアスカだったが、その守護霊、紅蓮の戦士『不動の解脱者』に絶対防御の能力が覚醒し、活路が見えた。
敵は、人型を生み出した『キツネ男』、あるいはその守護霊である黒き兄弟『長手足』。
アスカ
「『不動の解脱者』に絶対防御がある限り、あなたの勝はない!」
キツネ男
「なにを言う! 絶対防御とやらが守護霊の能力ならば、そこに精神力の消費がある! ならば、君の精神力が尽きるまで、人型の攻撃を続けるのみ!」
高速回転して攻撃態勢に入る人型。
アスカ
「絶対防御!」
無数の人型が『不動の解脱者』に襲い掛かるも、すべてはじき返される。
再び高速回転する無数の人型。
アスカ
「絶対防御!」
やはり人型は、ことごとくはじき返される。
アスカ
キツネ男
こうなると、気合と気合のぶつかり合いである。
精神力は、術者の気力に依存する。
こうなると、まだ子ども、12歳の少女の側に不利である。
先に精神力を使い果たしたのは、アスカの方だった。
キツネ男
「よし! 君はもはや絶対防御を使えない! この勝負、自分の勝だ! 行け『長手足』!」
人型、無反応。
キツネ男
「どうした? 人型! 敵は精神力を使い果たしているんだぞ! 早く攻撃態勢に入るのだ!」
ところが、人型は宙を漂うのみである。
アスカ
「人型は、周辺でもっとも強い霊気を自動で攻撃する。 ということは!」
キツネ男
「まさか!?」
???
「そこの男! 攻撃を止めるんだ! 命が惜しければ!」
声の主はコウセイ皇子。アスカの親友(?)のヒロミ=ドグブリードも一緒だ。
ヒロミ
「アスカ! 無事?」
アスカ
「大丈夫。 でも、少し、力を使いすぎたみたい」
ヒロミ
「大丈夫よ。 回復!」
ヒロミの守護霊、白銅の獣聖『迷い犬』がその能力でアスカが受けたダメージを回復。ただし、アスカは精神力をほとんど使い果たしているので、これ以上戦闘に参加することはできない。
人型は、ヒロミや『迷い犬』を無視して、コウセイに近づいていく。彼の霊気がもっとも強いと見たのだ。
キツネ男
「加勢が現れてヤバイと思ったが、小娘はもはや戦闘できない様子。 どうも、もう1人の小娘は、大した霊気がなさそうだ。 とすると、最初に斃すべきは、そちらの男か! 行け! 人型!」
コウセイ
「どうも攻撃を止めてはくれないようだね。 ならば、僕は召喚する! 蒼き竜騎士『空飛ぶイルカ』!」