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プロローグ
「君はどうして泣いているの?」
白い壁に囲まれた小さな部屋。その部屋の白い床に立つ少女と少年。
少女は少年の問いに俯きながら答える。
「大切な人を失ったの」
「僕と同じだね」
少年の言葉に顔を上げると、少年の目には涙が浮かんでいた。
「あなたも泣いて――」
白い部屋が突然真っ暗になり、少女の言葉は遮られる。
その後、少女の意識は徐々に薄れ、遂には完全に意識を失ってしまう。
「……これが夢」
少女は目を覚ますと、白いベットの上で、白い天井を見つめていた。
体を起こすと、前の壁に掛かった時計は12時ちょうどを指していた。
「不思議なものね。現実なのか夢なのか、目が覚めるまで気が付かなかったわ。それにしても彼は一体……」
少女は顎に手を当て考え込むが、どんなに考えても答えは見つからなかった。
ただ、この夢は少女にとって特別なものとなる。
なぜなら十六年間で、『初めて見た』夢だったからだ。




