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キリが良いので短めです。
我は話を聞いた後、家へ帰り、いつも通りの生活を終えた後、寝床に着いた。
目を閉じると、何だかデジャブのような光景が前に広がる、
寝たのに寝てないあの感覚だった。
(ふむ、調和は成功したようじゃな)
「あぁ、成功したぞ......しかし、口調はどうにもならぬのか?」
(それは仕方なし、我がその口調で生きてきたもので変えようはない。魂レベルで刻まれておるからの)
「そうか......」
ナチュラルに会話に入ったのだが、まさか今日もラレウスが夢に出てくるとは思わなかった。
いや、これは夢ではないのかもしれぬ。我の五感からは現実っぽさがひしひしと伝わってくる。
(一つだけ言っておかないといけぬことがあってな)
「ん?なんじゃ?」
(其方は調和をして、恐らく身体能力......ステータスが上がっただろう)
「うむ、確かに体がいつもに比べ軽く感じた」
(それは元の我の力が加算されていってるからじゃ、レベルで言うところの1から2になったくらいだと思ってくれ)
「要は2倍くらいということか」
(そう言う認識で相違ない、それでだ。其方はまだ力の制御ができてない)
「制御?」
(そうじゃ、其方はただ力にモノを言わせる、常時力解放の状態で生活をしておるのじゃ)
「......なるほど」
(それだと正直言って燃費が悪い、体にも負担がかかる...と言いたいところだが其方の体の場合は負担はかからぬだろうな)
「燃費が悪いということは、どうにかして抑えることができるという認識で大丈夫か?」
(うぬ、率直に言えば自身の力制御の練習......はするまでもないからせめて抑えるくらいはできるようになってくれ。多分だが体はやり方を覚えておるからのう)
「成程のぅ、助かる」
(礼を言うでない、我は其方で其方は我なのだ。同一の存在なのだから上下はない)
「わかった」
(そろそろ時間じゃな、我がこうやって其方と会話できるのは其方の意識が完全に現実世界から遮断された時のみとなる。なので睡眠の時と気絶、会ってはなら
ぬが死亡したときとなるな。何か聞きたいことがあればこの時間を用いて聞いてくれ、用がなければ我が来ることもないだろう......_)
ラレウスの会話が切れると同時に我の視界は再び真っ暗となった。
もしかしなくてもこうやってラレウスとの会話ができるようになったのも調和のおかげなのかもしれないと、一人納得するのであった。
*
我は目が覚めたと同時に、昨晩言われた力の制御とやらを実践してみた。
結果、簡単にできた。やはり、体が覚えているというのは事実だったようだ。
制御は、いつものステータスの10分の1くらいにしておいた。
あまりに低い数値にしてしまうと、これから行く総合科で落ちこぼれになる可能性があるからだ。それと弱すぎても自衛ができぬしな。
力制御を終え、朝食も食べ終えた我はアルヌと共に学校に向かう。
「ねぇ、ラレウスってさ、何か変わった?」
「変わったとは......」
出会い頭、確信に迫った質問をされ、少し我はどもってしまった。
「それだよ、何か......なんていうんだろうか、前よりさ」
「う、うぬ」
もしかしたら気持ち悪いと思われておるのかもしれない。
アルヌはわしを受け付けなくなるのかもしれない。
そう思うと我の心臓は、いとも簡単に動きを速めた。
「かっこよくなったよね」
「……ん?」
「え?」
想像していた返事と180度違った回答は、急速に我の鼓動を治めた。
「いやだってさ、歴代の賢者とかそんな喋り方してそうじゃない?○○じゃ!みたいな感じでさ......ちょっとかっこいいかなって」
「そ、そうか。そう思ってくれるのなら有り難いぞ......」
我の考えは浅はかだった。アルヌという少女がそんなに薄情だと思っていたのか。
何だか自分が嫌になってしまう。彼女はこう見えても気遣いができる素敵な少女だというのに、我は一瞬でも彼女を疑ってしまった。
あぁ、なんて情けない。
そんな自己嫌悪に飲まれながらも、少しは悩みが取れ、足取りが軽くなった我らはそのまま学校へと向かった。
*
学校へと着いたのでアルヌとわかれ、我は職員室へと向かった。
何度か道には迷いかけたが、一度着たことがあるのと、所々に貼られている地図を頼りに辿り着くことができた。
職員室の前へ立ち、ノックをしてから中へと入る。
「失礼するぞ」
「あら?」
我が入室する明らかに教員といった若手の女が近づいてきた。
「もしかしなくてもラレウスさん?」
「うむ、そうじゃ」
「あら!そうなの!私は貴女の担任のマリアよ!」
結構大きな声でそう言う女性は我の担任のようだ。
容姿はまぁまぁといった感じで、背は低めだった。
「これから朝礼がありますから、一緒に行きましょうか」
話がポンポンと進み、我はそのままこれから時間を共にする仲間の元へと歩みを進めるのだった。




