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私、いつ人間やめましたっけ?  作者: 雲梯
一章
19/21

19

「皆さんおはようございます。本日から新たにこのS組に入ることとなった子がいます!」


 先生であるマリアの発言と同時に教室内はざわざわと盛り上がる。

 何を言おうが一週間前に入学式があったばかりである。たったその短期間で人が新たに入ってくるのがおかしいのは、誰から見ても分かった。


「では、はいって来てくださーい!」


 その声と同時に我は教室の扉に手を掛け、中へと踏み込む。

 中へ入り、目に映ったのは言うまでもなく生徒だ。だが、その中で明らかに異質な存在が自身の目に飛び込んできたのだ。

 一番後ろに座る、黒髪で碧眼の少年だった。


「はい!じゃあ、自己紹介をしてもらいましょうか」

「う、うぬ。そうするか」


 割と後ろの少年に釘付けだった我は、自己紹介の振りに驚いてしまった。


「我の名は、ラレウス。齢は14くらいだと思う。戦闘などは生まれてこの方やったことがなければ、世界の常識さえも知らぬ無知である。こんな我だが是非仲良くしてほしい」

「「「お、おぉ......」」」


 あまりに堅苦しい口調の所為か、周りは何とも言えない様子で我の話を紹介を聞いた。

 人前に立つことになれてない我にとって拷問ではあったが、紹介を終えることで座ることができる......そう思った次の瞬間、

 先生が悪魔の発言をした。


「では、質問の時間をとりましょうか!」


 許さん!!我は久しぶりに心で人を恨んだ。

 先生の言葉に次々と手が上がっていく。


「質問内容を喋る前に、簡単に自己紹介してくださいねー......じゃあ、はい」

「はい!」


 先生がさした先の生徒が立ち上がり元気のいい返事をする。


「俺はジェーン・ケンドラっていうんだ。よろしく」


 はにかみながら、我にそう語りかけてくる青年は育ちの良さがうかがえた。


「うむ、我は先ほど言うた通りじゃ。宜しく」

「それじゃ、早速質問なんだけどステータスってどれくらいかな?」


 我は雷が落ちたかの衝撃に打たれる。

 まさかいきなりこんな確信に迫るものが来るとは思わなかった。

 ......しかし、我は今朝能力の制御をしてきたはずだ。

 ならばもしかしなくても、ギルドカードのステータス表記も変わっているのではないか......?

 我はそう思い、左のポケットから小さなギルドカードを取り出し覗く。


 Lv.2

 物理攻撃力 57.2

 物理防御力 69.7

 魔法攻撃力 81.2

 魔法防御力 79.9

 俊敏力    70.1

 器用力     58

 運力      34.6


 【スキル】

 身体強化A

 全属性魔法S


 予想通りといった感じの能力が出てきた。

 この能力値だともしかして、浮かないのではないだろうか。

 いや、浮かないはずだ。だって、アルヌの最高値が166だったんだ。

 その半分以下である数値に驚きなど誰もしないであろう。


 そう思った我がギルドカードを公開した瞬間、教室が凍った。

 いや、正確には皆の目が当分の間、瞬きされなかった。


 我はなぜこのような事態になったのか理解ができずにいたが、漸くといった感じでジェーンが口を開く。


「全属性...魔法...S!?」

「あっ......」


 失敗したと思った。我はあまりに能力値に固執しすぎてて、スキルを全くといっていいほど見逃しておった。

 非常にまずく、場の空気が微妙に重くなる。


「......すまないラレウスさん。非礼な態度を許してくれ。これで俺の質問を終わりにします」


 礼儀正しく、きちんと謝りを入れて先生へと返すその態度は、紳士そのものだった。

 外見は少しチャラく見えるところもあるが、思いの外彼は常識人なのかもしれない。

 そんなこんなで、質問コーナーはあと少しだけ続き、朝の時間は終幕を迎えた。


 我はこの時、ずっと教室の後ろから感じる強い視線に気付かずにいたのだった......



 初日ではあるものの、彼らにとっては初日ではないため普通に授業が始まった。

 授業内容の座学は、この世界の神の存在や、モンスターについてを教わった。

 その最中......


「では、皆さんに問題です。この世界上で、最強と謳われているモンスターは何でしょう」


 マリア先生の質問に、生徒たちは周りに顔を向け話を始める。

 我も席の周りの人に声を掛けようと思ったが、生憎話しかけれるやつがいなかった。

 仕方なく、我はボッチを極めた。


「じゃあ、分かる人!」

「はい」


 先生の声に反応したのは、我が初めに目を盗られた少年だった。

 少年はあてられると同時に立ち上がり、ゆっくりと口を開いた。


「神古龍エウトロラレウスです」


 発言と同時に、彼がこちらを少し見た気がしたが我はそんなことを、気にするのはやめておいた。


「おぉ、正解です、よく知ってますね。では、ティラウス君、そのエウトロラレウスで最近問題になっている噂は?」

「......死亡説です」


 死亡説、その単語よりも我の脳にはティラウスという名前が頭を埋めていた。

 どこかで聞いたことあるその名前......瞬間、我の調和が一段階進まった。


 脳内に、懐かしい記憶が流れ込んでくる。


 ......黒神龍ティラウス、実に人間臭い性格をしており、我を古くから知る旧友でもある。

 彼は、我が小さいころの面倒を見たこともあって非常になついていた。しかし、最近は我の衰退に気付いたのか絡まなくなっていたのだ。

 彼は優しく、そして脆かった。恐らく、我の最期を見る勇気がなかったのだろう。今だからわかる話だ。

 だから、さっきから此奴は我を信じれぬ目で見てきていたのか。今更ながら納得が言った。

 

 その他にも、彼のステータスや生い立ち、性格などがどんどんと頭に流れ込んできた。

 

 だがそんなことより我は只、何故ここにティラウスがいるのか、それだけが気になって仕方なかったのだった。

ティラウス!?何故ティラウスがここに!?

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