女優退場
ウォーン・バウルの優位は変わらない。ナプテスたちはこちらの追撃が緩むと見ると我先に自分たちの根城へと撤収して行く。
串刺しの一騎をのぞいて──その一騎はアイリスドライブを切り、その場に座りこむ、慣例的な降伏意志の表明だ。
ウィンは仲間に戦闘終了の合図として、白い発煙筒を起動した。
ウィンの属する「猛虎」義勇兵部隊はナプテスにハシゴを掛け、操縦槽を強くハンマーでノックする。三度、二度、三度。
降伏受諾と、アイリスドライブで起動中以外の残存の虹石を引き渡す要求だ。
虹石がなければ、DLは戦闘のような激しい行動は不可能となる。
操縦槽が中から叩かれた、同じ回数だけ。要求受諾だ。
取り引きは終了し、操縦槽が開放される。
中にいたのは女性だった。少女のように若い。未成熟だが、柔らかそうな曲線美を持っている。
「オンナがそんなに珍しいから!?」
「オンナは珍しいし、いいオンナはもっと珍しい」
後ろから指笛で囃し立てる下卑た連中もいた。
女性は拳ほどの大きさの革袋を出す。
「虹石の在庫だよ」
「少ないな、消耗が大きいのは。アイリスドライブに負荷がかけすぎじゃないか」
「山賊じゃ、マトモな整備士はいないんだよ」
ウィンは操縦槽から半身を出し、少女に呼びかけた。
「次は戦場で会おう」
「デートのお誘いなら、お断りさ」
少女は言うと、「猛虎」を後にした。
異形のDLたちの一幕であった。




