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おまもり
ユズスケはときどき、この山を越えてオチョウの母親がいる山までゆくのだが、そのとき、その骨にしゃべりかけられるのだ。
ああ 痛いなあ 目の中に藤がはいりこんで痛い あしもとちゅうで折れておかしなほうにむいている 腕 はどこだ? ああ そこな者 おれの声がきこえているな? ならば こっちへこい おれがどうやって落ちたのか みせてやろう さあ はよう こい
「あんなの、あたしらにはなんにもできないんだから」
「だって、こわいもんは、 ―― こわいよ」
「よわむし」
「弱虫でもいいことあるよ。オチョウねえちゃんに、お守りつくってもらえるから」
「あ!」
ユズスケは首にさげていた『お守り』をひっぱりだしてジョウカイにみせた。
顔を赤くしたオチョウは、まだいっちゃだめっていったのに、とおこりながら、袂からなにかをとりだし、その手をジョウカイのほうへつきだした。




