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旅人をつかまえ
「そうか。 たしかに、提灯をつかったほうが人らしくてよいからな」
ジョウカイはオチョウのあたまをなでてから、ユズスケの頭もなでた。
「ねえねえ、ジョウカイさま、もう、あのサレコウベ、なくなった?」
頭をなでる手をつかみ、ユズスケが期待にみちた目をむける。
オチョウが意地の悪そうな笑顔で、あんたほんと弱虫ね、とユズスケの頭を指で突いた。
「あんなの、藤のえだにぶらさがって、ちょっとしゃべるだけじゃない」
この山道に、おおいかぶさるようしげる木の枝から人の頭の骨がぶらさがっているというはなしは前からあったが、元の枝も、それにからまった藤もどんどんのびてゆき、下から見上げただけでは骨のありかもわからなくなっていた。
だが、その骨がときおり、夜道をゆく旅人をつかまえ、道の下がきりたった岩場から突き落とすというのはつづき、ジョウカイも気にしてはいたが、別の新しい道ができたことで、それもすっかりなくなった。
その古い道をつかうのは、獣か、猟師か、またはジョウカイたちのように、人ではない者たちだけだ。




