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迎え
しばらくすると、ジョウカイさま、ジョウカイさま、と子どもの声がこんなけわしい山道に響いた。
「ジョウカイさまあ、」
「うるさいね。ジョウカイさまはとっくに聞こえてるよ」
としかさの女のこどもがおこったように小さなこどもにいいきかすのがきこえ、おおすまん、とようやく声をだすと、小さな影のほうが提灯をゆらしながら走ってよった。
「ジョウカイさま、おむかえにきました」
六つか七つほどの男のこどもの姿をしているのは、ちかごろ預かりだした狸の子どもだ。
《タヌキ》と言っても、妖怪の部類だが。
「おお、提灯をもってきたのか?」
「だって、人間はこんな暗いと提灯を持つって、オチョウねえちゃんが」
ふりかえりみられた十ほどの女のこどもは、ユズスケがつかいたいっていったんだろ、と口をとがらせた。




