第140話 悪役なら管理者と対話する
世界の境界。
白い空間に。
新たな存在が現れた。
観測者。
世界外側の生命体。
その彼女が警戒する相手。
「管理者。」
イリスが呟く。
「存在情報。」
「解析不能。」
「……。」
今まで。
イリスが分からないと言うことはなかった。
「何者だ。」
俺が聞く。
管理者と呼ばれた存在は答える。
「私は。」
「世界を正しい形へ戻す者。」
「……。」
また。
同じような言葉。
「正しい形?」
リリアが聞く。
「はい。」
「世界には。」
「本来あるべき流れがあります。」
管理者は手を広げる。
無数の未来が浮かぶ。
「戦争。」
「争い。」
「災害。」
「全て。」
「不完全な存在が選択した結果です。」
「……。」
嫌な予感。
「だから。」
「修正します。」
「修正?」
セレナの顔が険しくなる。
「それは。」
「人々の意思を変えるということですか?」
「違います。」
管理者は淡々と言う。
「間違った選択が起きない世界へ。」
「最初から調整するのです。」
「……。」
アステル。
世界再生計画。
似ている。
だが。
もっと大きい。
「つまり。」
「自由を消す。」
俺が言う。
管理者は否定しない。
「自由は。」
「不幸を生む原因です。」
「……。」
「なら。」
「お前が作る世界は。」
「誰のものだ。」
「?」
「人間のものか。」
「魔族のものか。」
「それとも。」
「お前のものか。」
管理者は少し沈黙する。
「世界を守るためです。」
「答えになっていない。」
空気が揺れる。
観測者が小さく笑う。
「やはり。」
「あなたは変わっていますね。」
「……。」
「普通なら。」
「圧倒的な存在を前に。」
「従うか。」
「戦うか。」
「その二択です。」
「でも。」
「あなたは。」
「質問する。」
「……。」
俺は管理者を見る。
「本当に世界を守りたいなら。」
「なぜ。」
「世界にいる奴らを信用しない。」
「……。」
管理者の魔力が揺れる。
「信頼。」
「非効率です。」
「やはり。」
俺は言う。
「お前は。」
「世界を見ている。」
「でも。」
「そこに住んでいる奴らを見ていない。」
その瞬間。
管理者の背後。
巨大な装置が現れる。
「対話終了。」
「危険因子。」
「アルベルト・フォン・グランディア。」
「排除対象へ変更。」
「……。」
また。
俺が対象。
「本当に。」
「俺ばかり狙われるな。」
リリアが苦笑する。
「それだけ影響が大きいということですよ。」
管理者の攻撃。
世界の法則そのものが変化する。
「……。」
避ける。
しかし。
足元の空間が消える。
「これは。」
イリスが叫ぶ。
「存在そのものへの干渉!」
「普通の防御では不可能です!」
「……。」
なるほど。
力ではない。
ルールを変える相手か。
「アルベルト。」
観測者が言う。
「どうしますか?」
俺は少し考える。
そして。
「いつも通りだ。」
「?」
「面倒な問題を。」
「解決する。」
拳を握る。
管理者を見る。
「お前が世界を管理するなら。」
「俺たちは。」
「自分たちで生きる。」
戦いが始まる。
世界の未来。
そして。
自由というものをかけた戦いが。
第140話を読んでいただきありがとうございます!
ついに世界外側のさらに上位存在「管理者」が登場しました。
アステルとは違い、管理者は「最初から正しい未来を作る」という考えを持っています。
アルベルトがこれまで貫いてきた「自分たちで選ぶ」という価値観との対立になります。




