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第137話 悪役なら観測者の試験を受ける

 グランディア領。


 屋敷の庭。


 平和な時間。


 ……のはずだった。


「……。」


 空を見る。


 嫌な予感。


「男爵様。」


 リリアが声をかける。


「来ましたね。」


「ああ。」


 空間が歪む。


 黒い穴。


 そこから。


 あの少女が現れた。


「こんにちは。」


 観測者。


「また会いましたね。」


「……。」


 俺はため息を吐く。


「早いな。」


「楽しみでしたから。」


「何が。」


「あなたの選択を見ることが。」


「……。」


 少女は周囲を見る。


 屋敷。


 領民。


 仲間。


「なるほど。」


「ここが。」


「あなたが守りたい場所。」


「……。」


 リリアが警戒する。


「何をするつもりですか?」


 少女は笑う。


「試験です。」


「この世界が。」


「どれほどの価値を持つか。」


 指を鳴らす。


 瞬間。


 世界が変わった。


「……。」


 景色が消える。


 白い空間。


 そこには。


 巨大な扉があった。


「これは。」


 セレナが周囲を見る。


「幻?」


「違います。」


 イリスが答える。


「別空間へ移動されています。」


「……。」


 観測者が言う。


「試験内容は簡単です。」


「この世界で。」


「最も価値あるものを選んでください。」


「?」


「もし。」


「あなたたちが。」


「本当に守る価値のある世界なら。」


「証明してください。」


 扉が開く。


 中には。


 三つの光。


 一つ目。


 巨大な力。


「これを選べば。」


「世界の全てを守る力を得られます。」


 二つ目。


 完全な未来予知。


「未来の全てを知ることができます。」


 三つ目。


 小さな光。


「これは。」


 リリアが見る。


「何もない?」


 観測者は頷く。


「ただの可能性です。」


「力もない。」


「未来を見ることもできない。」


「……。」


 少女は俺を見る。


「選んでください。」


「世界を守る力。」


「全てを知る力。」


「それとも。」


「何もない可能性。」


「……。」


 全員が黙る。


 普通なら。


 力を選ぶ。


 未来を選ぶ。


 世界を守るために。


 だが。


「三つ目。」


 即答。


 観測者が少し驚く。


「理由は?」


「簡単だ。」


「……。」


「力があれば。」


「頼りすぎる。」


「未来が見えれば。」


「自分で考えなくなる。」


「……。」


「何もないなら。」


「自分たちで決められる。」


 沈黙。


 リリアが微笑む。


「男爵様らしいです。」


 セレナも頷く。


「確かに。」


「あなたはずっとそうでした。」


 観測者は。


 初めて。


 少し嬉しそうな顔をした。


「なるほど。」


「だから。」


「あなたは予測できない。」


「……。」


 小さな光が輝く。


 すると。


 白い空間に。


 大量の映像が浮かぶ。


 未来。


 可能性。


 その中には。


 戦争。


 平和。


 様々な未来。


 そして。


 一つだけ。


 今まで存在しなかった未来。


「これは。」


 イリスが呟く。


「新しい未来。」


 観測者は言う。


「あなたが選んだ結果です。」


「……。」


「試験。」


「合格です。」


 しかし。


 少女の表情が変わる。


「ただし。」


「次の試験があります。」


「……。」


 またか。


「今度は。」


「あなた個人ではありません。」


「世界そのものです。」


 空間が崩れる。


 遠くで。


 巨大な影が動く。


「世界外側からの侵入。」


 イリスが警告する。


「危険度。」


「過去最大。」


「……。」


 俺はため息を吐く。


「やっと静かになったと思ったのに。」


 観測者は笑う。


「だから面白いのです。」


「アルベルト。」


「あなたの世界は。」


「まだ終わりません。」

第137話を読んでいただきありがとうございます!


観測者による最初の試験が終了しました。


アルベルトは力や未来ではなく、「自分たちで選ぶ可能性」を選択。


その答えが、観測者にも新たな興味を与える結果となりました。


次回、世界外側からの侵入者との戦いが始まります!

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