第132話 悪役なら自分の未来を聞く
古代遺跡。
世界管理用生命体。
イリス。
その少女は。
淡々と俺を見ていた。
「危険因子。」
その言葉に。
全員が反応する。
「待ってください。」
リリアが前へ出る。
「男爵様は世界を救った人です。」
「事実です。」
イリスは答える。
「ですが。」
「世界へ与えた変化も最大級です。」
「……。」
セレナが聞く。
「つまり。」
「アルベルト様が悪いという意味ではないのですね?」
「はい。」
イリスは頷く。
「危険とは。」
「善悪ではありません。」
「影響力です。」
「……。」
なるほど。
少しだけ理解した。
「俺がいることで。」
「未来が変わった?」
「正確には。」
「無数の可能性が消滅しました。」
「……。」
イリスが壁へ触れる。
古代文字が光る。
「本来。」
「この時代では。」
「人間と魔族の全面戦争が続いていました。」
「……。」
「しかし。」
「あなたの行動により。」
「その未来は消えました。」
レオンハルトが黙る。
「さらに。」
「古代魔王。」
「世界再生計画。」
「複数の災厄。」
「全ての結果が変化しています。」
「……。」
リリアが笑う。
「つまり。」
「男爵様が頑張ったからですよね。」
「違う。」
即答。
「……。」
イリスが首を傾げる。
「なぜ否定するのですか。」
「俺は。」
「面倒を片付けただけだ。」
「……。」
イリスは数秒。
俺を観察する。
「理解不能。」
「何が。」
「世界を大きく変えた存在が。」
「自分の影響を認識していない。」
「……。」
いつものことだ。
その時。
遺跡の奥。
警告音。
『管理システム異常』
『未確認存在接近』
「……。」
イリスの表情が初めて変わる。
「ありえません。」
「?」
「この遺跡は。」
「私以外の管理生命体を認識していません。」
地面が揺れる。
奥の扉が開く。
そこから現れたのは。
黒い影。
「……。」
イリスが呟く。
「古代管理兵。」
「本来。」
「存在してはいけないものです。」
ルシアが剣を抜く。
「敵ですか。」
「はい。」
イリスは答える。
「目的。」
「アルベルト・フォン・グランディアの排除。」
「……。」
俺を見る。
全員を見る。
「また俺か。」
リリアが苦笑する。
「本当に狙われますね。」
「……。」
黒い管理兵が動く。
圧倒的な魔力。
しかし。
以前とは違う。
「アルベルト。」
魔王が言う。
「どうする。」
「……。」
俺は前へ出る。
そして。
「倒す。」
全員が笑う。
「いつものですね。」
セレナが言う。
「違う。」
「?」
「早く帰るためだ。」
イリスはその姿を見て。
小さく呟く。
「……。」
「予測不能。」
「ですが。」
「興味深い。」
古代管理兵との戦い。
そして。
世界の秘密。
新たな問題が。
また始まった。
第132話を読んでいただきありがとうございます!
イリスによって、アルベルトが世界へ与えた影響の大きさが明らかになりました。
本人は相変わらず自覚していませんが、未来そのものを変えてしまった存在になっています。
次回、古代管理兵との戦闘が始まります!




