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第117話 悪役なら黒幕を倒す

 白翼会の砦。


 崩れかけた建物の中。


 仮面の男との戦いが始まった。


「君は理解していない。」


 男は黒い魔力を放つ。


「世界は。」


「綺麗事だけでは変わらない。」


 無数の黒い刃。


 空間を埋め尽くす。


「……。」


 速い。


 だが。


 見える。


 俺は一歩横へ動く。


 全ての刃が壁へ突き刺さる。


「避けた?」


 男が驚く。


「以前より。」


「力の使い方が変わったな。」


「……。」


 確かに。


 昔なら。


 全部壊していた。


 今は。


 必要なものだけ守る。


「リリア!」


「はい!」


 光魔法。


 黒い魔力を打ち消す。


「セレナ!」


「分かっています!」


 氷の魔法が床を覆う。


 仮面の男の動きが止まる。


「今です!」


 クラウス隊長が斬り込む。


「魔族側も続け!」


 ルシアの剣撃。


 人間と魔族。


 同じ敵へ向かう。


 仮面の男はそれを見て。


「……。」


「本当に。」


「変えてしまったのだな。」


「何を。」


「この世界を。」


 男は黒い魔石を取り出す。


「ならば。」


「最後の確認だ。」


 魔石が砕ける。


 巨大な魔力。


「まだ隠していたか。」


 セレナが呟く。


 仮面の男の姿が変わる。


 黒い鎧。


 古代魔法の力。


「これが。」


「私の答えだ。」


「世界を変える力。」


「……。」


 俺は見る。


「それ。」


「もう何回目だ。」


「何?」


「世界を変える力。」


「魔王も。」


「古代魔王も。」


「お前も。」


「全員それを言う。」


「……。」


「だが。」


「結局。」


「守りたいものがない力は。」


「ただの破壊だ。」


 仮面の男の魔力が揺れる。


「違う!」


 巨大な一撃。


 黒い光。


 俺は受け止める。


「……。」


 重い。


 だが。


 後ろを見る。


 仲間たち。


 もう一度。


 力を借りる。


「リリア。」


「はい。」


「セレナ。」


「はい。」


「ルシア。」


「任せてください。」


「クラウス。」


「了解した。」


 全員の力が集まる。


「なぜだ。」


 仮面の男が叫ぶ。


「なぜ。」


「君は一人で全てできるはずなのに。」


「仲間を頼る。」


「……。」


 俺は答える。


「その方が。」


「早いからだ。」


「……。」


 全員が苦笑する。


 最後まで。


 理由はそれだった。


 だが。


 それでいい。


「終わりだ。」


 白い光が砦を包む。


 黒い魔力が消えていく。


「……。」


 仮面の男は膝をつく。


「私は。」


「間違っていたのか。」


「知らない。」


 俺は言う。


「でも。」


「人を利用した時点で。」


「お前のやり方は間違っている。」


「……。」


 男は静かに目を閉じた。


 こうして。


 人間と魔族の関係を壊そうとした事件は終わった。


 白翼会の者たちは保護され。


 交流機関は再び動き始める。


 そして。


 王都。


 新聞の一面。


『アルベルト男爵』


『憎しみを利用した陰謀を阻止』


「……。」


 俺は新聞を置く。


「またか。」


 リリアが笑う。


「有名になりましたね。」


「望んでいない。」


 セレナも微笑む。


「でも。」


「必要な人には届いています。」


「……。」


 その時。


 王城から新たな知らせ。


『国王陛下より正式な発表』


『アルベルト・フォン・グランディア男爵へ』


『王国最高評議会への参加要請』


「……。」


 嫌な予感しかしない。


「断る。」


 即答。


 しかし。


 手紙の最後。


『なお、拒否権は存在しない』


「……。」


 俺は空を見る。


「最悪だ。」


 静かな生活は。


 まだ戻らない。

第117話を読んでいただきありがとうございます!


白翼会事件、決着です。


アルベルトの「力を持つ者が何を守るのか」という考えが、仮面の男との対比として描かれました。


しかし事件解決後も、本人の望まない立場へさらに進んでいくことになります。


次回、最高評議会編が始まります!

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