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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第ハ十二節:年末考核開始

ゆき)あと))わた)そら)


早朝そうちょう)から続々(ぞくぞく)と蛊師こし)たちが学堂がくどう)はい)はじ)めた。


毎年恒例まいとしこうれい)年末考査ねんまつこうさ)再開さいかい)か。ははは、十数年前じゅうすうねんまえ)学堂がくどう))とき)昨日きのう)のようだ」あお)長髪ながかみ)背中せなか))らした中年ちゅうねん)男蛊師おとここし)門前もんぜん)感慨かんがい)ひた)っていた。


「リーダー、はや)はい)りましょうよ、感傷的かんしょうてき)すぎるんだから」くちびる))のようにあか)わか)女蛊師おんなこし)がズボンのポケットに)))み、くさ)くわ)えながら白目しろめ))いた。


「ははは、薬紅やくこう)あせ)るな。はや)かろうがおそ)かろうが問題もんだい)ない。族長ぞくちょう)すで)今年ことし)新顔しんがお))めてるからな」青髪あおがみ)男蛊師おとここし)わら)った。


「その甲等こうとう)天才てんさい)ってやつ?古月方正こげつ ほうせい)?」古月薬紅こげつ やくこう)名乗なの)女蛊師おんなこし)が「チッ」と舌打したう)ち、「族長ぞくちょう)ったら、私達わたしたち)子守役こもりやく)使つか)おうってわけね!」


「だがこの子守役こもりやく)簡単かんたん)つと)まるもんじゃないぜ」青髪あおがみ)蛊師こし)嘆息たんそく)し、「まあ、なか)はな)そう」


とき))つにつれ、演武場えんぶじょう)には老若男女ろうにゃくなんにょ)蛊師こし)たちがあつ)まりはじ)めた。若者わかもの)もいれば中年ちゅうねん)老人ろうじん)姿すがた)()じる。


学堂がくどう)卒業そつぎょう)した蛊師こし)たちは小組しょうそ))み、任務にんむ)遂行すいこう)する。演武場えんぶじょう))もの)たちは各小組かくしょうそ)代表だいひょう)で、新人しんじん)スカウトのため生徒せいと)実力じつりょく)観察かんさつ)しに)たのだ。


小組しょうそ)にとっては新血しんけつ)注入ちゅうにゅう)機会きかい)新人しんじん)にとっては先輩せんぱい)指導しどう)任務にんむ)効率こうりつ)よくまな)べ、生存率せいぞんりつ)向上こうじょう)する。


太陽たいよう)たか)のぼ)なか)生徒せいと)たちが続々(ぞくぞく)と会場かいじょう)入場にゅうじょう)してきた。


今日きょう)本当ほんとう)ひと)が多いなあ」少年しょうねん)たちが感嘆かんたん)していた。


)て! あれが青書様せいしょさま)だよ。)古月山寨こげつさんさい)二転第一人者にてんだいいちにんしゃ)で、青書様せいしょさま)性格せいかく)有名ゆうめい)なほど温和おんわ)なんだ」青髪あおがみ)男蛊師おとここし)指差ゆびさ)してだれ)かがおどろ)きのこえ))げた。


赤山先輩あかやませんぱい))てるよ」

「あっちは漠家ばくけ)漠顔大秀ばくがんたいしゅう)だ!」


青書せいしょ)赤山あかやま)漠顔ばくがん)蛊師こし)なか)でもかがや)かしい存在そんざい)で、生徒せいと)たちに熟知じゅくち)されていた。


「ああ、あの三人さんにん)先輩せんぱい)小組しょうそ)にははい)れないよ。おれ)丁等資質ていとうししつ)だし、本命蛊ほんめいこ)温糸蜘蛛おんいぐも)だし……将来しょうらい)後方支援こうほうしえん)しかできねえ」一人ひとり)少年しょうねん)嘆息たんそく)し、となり)友人ゆうじん)たず)ねた。「おまえ)は?」


「ああ、オレはコネ使つか)ってもう)まってる。叔父おじ)従兄弟いとこ)あね)養子ようし)のとこだ」


……生徒せいと)たちが蛊師こし)たちを観察かんさつ)する一方いっぽう)で、青書せいしょ)赤山あかやま)漠顔ばくがん)らも生徒せいと)たちを分析ぶんせき)していた。



「おや? 古月方正こげつ ほうせい)二人ふたり)いる?」薬紅やくこう)群衆ぐんしゅう)なか)方源ほうげん)方正ほうせい))おどろ)いた。


青髪あおがみ)蛊師こし)古月青書こげつ せいしょ)あき)れたように嘆息たんそく)した。「昨日きのう)わた)した資料しりょう))まなかったのか? 方正ほうせい)には双子ふたご)あに)がいる。外見がいけん))ているが、丙等資質へいとうししつ)だ」


「そうだったの? ああ、詩作しさく)してた方源ほうげん)ってやつ)か? じゃあかれ)もスカウトする?」薬紅やくこう)突然とつぜん))ひら)ひたい)たた)き、おも)いつくままにはな)はじ)めた。


青書せいしょ)くび))る。「族長ぞくちょう)とく)注意ちゅうい)した。かれ)採用さいよう)するなと。なに)観察かんさつ)したいようだ。それに兄弟きょうだい)なか)険悪けんあく)たと)勧誘かんゆう)してもおう)じないだろう」


薬紅やくこう)はな)わら)った。「全小組ぜんしょうそ)最強さいきょう)の我々(われわれ)にはい)れば将来保証しょうらいほしょう))きだ。ことわ)理由りゆう)があるか?」


青書せいしょ)かる)わら)った。「きみ)かれ))らんのだ。資料しりょう))めば)かる」


そのとき)族長ぞくちょう)古月博こげつ ひろし)家老かろう)古月赤練こげつ せきれん)古月漠塵こげつ ばくじん)らがれつ))して入場にゅうじょう)小屋こや)せき))いた。


今年ことし)族長自ぞくちょうみずか)らにくわ)え、赤練せきれん)漠塵ばくじん)両老りょうろう)来臨らいりん)か」


この光景こうけい)生徒せいと)蛊師こし)騒然そうぜん)となった。過去かこ)考査こうさ)では)られなかった事態じたい)だ。


当然とうぜん)だ。赤練せきれん)漠塵ばくじん)まご)同輩どうはい)在籍ざいせき)している」

方正ほうせい)族長ぞくちょう)白凝冰はくぎょうひょう)対抗たいこう)する希望きぼう)たね)当然とうぜん)注視ちゅうし)するわさ」


群衆ぐんしゅう)から))がる噂話うわさばなし)あた)りにひろ)がった。



おとうと)よ、しっかり)せてちょうだい」漠顔ばくがん)群衆ぐんしゅう)なか)漠北ばくほく)見詰みつ)めながらこころ)つぶや)いた。彼女かのじょ)小組しょうそ)最大規模さいだいきぼ)で、周囲しゅうい)を取りかこ)蛊師こし)たちがその威勢いせい)際立きわだ)たせていた。


宿敵しゅくてき)である赤脈あかみゃく)古月赤山こげつ せきざん)は、まわ)りよりあたま)一つぶん)たか)巨体きょたい)紅塔こうとう)のようにそび))てていた。赤城あかぎ)一瞥いちべつ)するや、しず)かに視線しせん)はず)した。


族長ぞくちょう)みじか)挨拶あいさつ))わるや、年末考査ねんまつこうさ)まく))けた。


三基さんき)擂臺らいだい)同時どうじ)戦闘せんとう)開始かいし)怒号どごう)応援おうえん)さけ)び、月刃げつじん)))うシュッシュッというおと)拳脚けんきゃく)激突音げきとつおん)観戦者かんせんしゃ)たちの議論ぎろん)混然こんぜん)となった。


今期こんき)格闘技かくとうぎ)レベル、全体的ぜんたいてき)たか)いわね」薬紅やくこう)早速さっそく)異変いへん)気付きづ)いた。


「ははは、これ全て(すべて)方源ほうげん)功績こうせき)だよ」古月青書こげつ せいしょ)笑顔えがお)こた)えた。


「どういう意味いみ)?」薬紅やくこう)くび)かし)げる。


説明せつめい))いた薬紅やくこう)した))らした。「方源ほうげん)ってやつ、きも))わってるわね。無法者むほうもの)みたいなところもあるし。フフ、実弟じってい)いじめまでするなんて面白おもしろ)いわ」


群衆ぐんしゅう)なか)双子ふたご)兄弟きょうだい)見比みくら)べながら疑問ぎもん))いた――どっちがあに)でどっちがおとうと)なのかしら。



次戦じせん)古月金珠こげつ きんじゅ)たい)古月漠北こげつ ばくほく)!」擂臺らいだい)司会しかい)蛊師こし)さけ))げた。


古月漠北こげつ ばくほく)かる)やかに))一方いっぽう)古月金珠こげつ きんじゅ)けわ)しい表情ひょうじょう)階段かいだん))がっていった。


たが)いにれい))わすと、ただ)ちに月刃げつじん)そら))った。あお)やいば)交錯こうさく)するなか)両者りょうしゃ)移動いどう)回避かいひ))かえ)す。


少女しょうじょ)である金珠きんじゅ)基本きほん)堅実けんじつ)で、当初とうしょ)互角ごかく)たたか)った。だが時間じかん)経過けいか)とも)体力たいりょく)おとろ)え、劣勢れっせい))たされた。つい)あせ)だくで降参こうさん)もう))た。


対照的たいしょうてき)漠北ばくほく)平然へいぜん)とした様子ようす)だ。


耐久力たいきゅうりょく)強化きょうか))か……黄駱天牛蠱こうらくてんぎゅうこ)だろう」方源ほうげん)観察かんさつ)しつつ真相しんそう)見抜みぬ)いた。


方源ほうげん)六匹ろっぴき))あやつ)るのは特例とくれい)同世代どうせだい)もの)たちは通常つうじょう)二匹にひき)限度げんど)だ。


飼育費しいくひ)問題もんだい)だけでなく、)使用しよう)には練習れんしゅう)経験けいけん)必須ひっす)


おお)きにむさぼ)れば)くだ)けず」――新米蛊師こし)たちには二匹にひき)でも習得しゅうとく)精一杯せいいっぱい)なのだ。


前世ぜんせ)豊富ほうふ)経験けいけん)を持つ方源ほうげん)だけが例外れいがい)かれ))わた)れば、どの)瞬時しゅんじ)に使いこな)せる。


考査こうさ)つづ)いていく。


「ちくしょう、ウサギみたいに)ねやがって!」べつ)擂臺らいだい)少年しょうねん)怒号どごう)した。「古月赤城こげつ あかぎ)おとこ)なら肉弾戦にくだんせん)勝負しょうぶ)しろよ!」


「バカめ、わざわざ接近戦せっきんせん)する義理ぎり)なんてねえよ」擂臺らいだい)うえ)古月赤城こげつ あかぎ)あざけ)るようにわら)った。赤丸蛐蛐蠱あかまるこおろぎこ)縦横無尽じゅうおうむじん)跳躍ちょうやく)し、素早すばや)攻撃こうげき)かわ)す。


対戦相手たいせんあいて)花豕蠱かしこ)いのしし)怪力かいりき))たが、赤城あかぎ)近接きんせつ)徹底的てっていてき))けるため無駄骨むだぼね))わった。最後さいご)むね)月刃げつじん))け、多量出血たりょうしゅっけつ)敗退はいたい)


場外じょうがい)治療蠱師ちりょうこし)たちがいそ)いで))り、手当てあ)てをほどこ)した。


とき))つにつれ、多数たすう)生徒せいと)容赦ようしゃ)なく脱落だつらく)一方いっぽう)赤城あかぎ)漠北ばくほく)方源ほうげん)方正ほうせい)らが頭角とうかく)あらわ)してきた。


正午しょうご))ぎるころ)丁等資質ていとうししつ)もの)たちは全員ぜんいん)敗退はいたい)生産せいさん)輸送ゆそう)など後方支援類こうほうしえんるい))選択せんたく)した彼等かれら)にとって、戦闘せんとう)への適性てきせい)きわ)めてひく)かった。



後輩こうはい)ちゃん、きみ)本命蛊ほんめいこ)生息草せいそくそう)だよね?うちの小組しょうそ)治療担当ちりょうたんとう))しいんだけど」

先輩せんぱい)わたし)はい)りたいです!本命蛊ほんめいこ)月光蛊げっこうこ)なんです」

わる)いけど攻撃要員こうげきよういん)いま))りてるんだよね」


各小組かくしょうそ)すで)新人獲得しんじんかくとく)開始かいし)生徒せいと)たちも小組しょうそ)えら)まわ)っていた。


擂臺らいだい)での戦闘せんとう)観戦性かんせんせい)たか)くなく、目立めだ)った見所みどころ)とぼ)しかった。月光蛊げっこうこ)選択せんたく)したもの)おお)く、月刃げつじん)))いがおも)真元しんげん))きたがわ))けるパターンがつづ)いた。


真元しんげん)同時どうじ))れると素手すで)格闘かくとう)移行いこう)結局けっきょく)だれ)かがたお)れるまで続く。


生徒せいと)蛊師こし)家老かろう)たちも退屈たいくつ)そうで、居眠いねむ)りするもの)あらわ)れた。


夕暮ゆうぐ)どき)会場かいじょう)のこ)生徒せいと)片手かたて)かず)ほどになっていた。


「やっと)わるか……」欠伸あくび))ころ)蛊師こし)たち。


そのとき)司会しかい)さけ)びがひび)いた。「次戦じせん)古月方正こげつ ほうせい)たい)古月漠塵こげつ ばくじん)!」

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