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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第六十二節:蠱室での再選蠱

朝日あさひがゆっくりのぼり、あらたな一日いちにちはじまった。

生徒せいとたちがれつつくり、興奮こうふんした面持おももきで学堂がくどう蠱室こしつまえっていた。今日きょう第二だいにえらおおきなだ!


方源ほうげん最速さいそく中階ちゅうかい昇格しょうかくしたため優先権ゆうせんけんち、れつ先頭せんとうっていた。その背中せなかには古月漠塵こげつ ばくじん古月方正こげつ ほうせい古月赤城こげつ せきじょうつづく。


きしり――

蠱室こしつとびら護衛ごえいけられ、方源ほうげんさきあしれた。


ひろくはない室内しつないだが、壁面へきめん大小だいしょうさまざまな方形ほうけいくぼみが穿うがたれていた。いしはちぎょくさらつるんだかご紫泥しでい急須きゅうす――それぞれのくぼみにことなるうつわかれている。


様々(さまざま)な一階蠱いっかいこうつわおさめられており、学舎がくしゃ毎日まいにち千枚せんまい以上の元石げんせき消費しょうひして飼育しいくしていた。


方源ほうげん視線しせんはしらせると、からになったうつわ目立めだつ。本命蠱ほんめいこ選択時せんたくじ月光蠱げっこうこ大量たいりょうえらばれたため、現在げんざい一匹いっぴきのこっていない。


天窓てんまどから陽光ようこうゆか金色こんじき長方形ちょうほうけいえがいていた。はじめてここにとき月光蠱げっこうこ即決そっけつしたが、今回は候補こうほしぼりながらさが必要ひつようがあった。


左壁ひだりかべ沿いにあるきながら、方格ほうかくこまかく確認かくにんしていく。五歩目ごほめあしめた。


かたたかさにある銅碗どうわんに、ひらたく小頭しょうとう鎮座ちんざしている。銅皮蠱どうひこだ。近接戦きんせつせん用蠱師ようこし人気にんき選択肢せんたくし学舎がくしゃ格闘かくとう教官きょうかんもこれをっており、発動はつどうすれば全身ぜんしん黄銅色おうどういろかがや防御力ぼうぎょりょく急上昇きゅうじょうしょうする。


方源ほうげん当然とうぜん見向みむきもしず、さきすすんだ。つぎいたのは石皮蠱せきひこ銅皮蠱どうひこ外見がいけんだが、はいがかった石像せきぞうのようだ。


石皮蠱せきひこ六匹ろっぴきつづいたあと鉄皮蠱てっぴこあらわれた。鉄碗てつわんの中で微動びどうだにせず、黒鉄くろがねのようなつめたい光沢こうたくはなっている。



人類社会じんかいしゃかい氏族しぞくがあるように、なかにも一族いちぞく存在そんざいする。


方源ほうげんつづけて三種さんしゅは、機能きのう似通にたがった同系統どうけいとうだった。


鉄皮蠱てっぴこ銅皮蠱どうひこ石皮蠱せきひこ玉皮蠱ぎょくひこ……もし玉皮蠱ぎょくひこがあれば、今回こんかいはそれをえらんでもいいんだが」期待きたいむねさきすすむ。


だが鉄皮蠱てっぴこあとあらわれたのは、一列いちれつなら獣皮蠱じゅうひこばかりだった。


玉皮蠱ぎょくひこ獣皮蠱じゅうひこ同系統どうけいとうだが価値かちてん獣皮蠱じゅうひこ市場価格しじょうかかく石皮蠱せきひこよりひくく、合成ごうせい可能性かのうせいが多い平凡へいぼん存在そんざい一方いっぽう玉皮蠱ぎょくひこ酒虫しゅちゅう高値たかね取引とりひきされる希少種きしょうしゅだ。


玉皮蠱ぎょくひこがないなんて……まあ当然とうぜんか」方源ほうげん苦笑にがわらいした。「古月山寨こげつさんさい中規模ちゅうきぼ一族いちぞくぎない。ここが玉皮蠱ぎょくひこそなえてたら、ぎゃくおどろくところだ」


左側ひだりがわ壁面へきめん確認かくにんえ、べつかべ移動いどうした。


このかべには天牛蠱てんぎゅうこおおならんでいた。皮蠱ひこ同様どうよう天牛蠱てんぎゅうこ一転いってん蠱虫こちゅうなか大所帯おおじょたいだ。


くろっぽい金属光沢きんぞくこうたく長円筒形ちょうえんとうけいで、背中せなかがやや扁平へんぺいなが触角しょっかく体長たいちょうえ、のこぎりるような「ガリガリ」おとてる。地方ちほうによっては「木切きき小僧こぞう」とばれることもある。


最初さいしょんだのは蛮力天牛蠱ばんりきてんぎゅうこ赤鉄色あかがねいろからだ竹節たけふしじょう触角しょっかく先日せんじつ古月山寨こげつさんさい交易隊こうえきたいでも大量たいりょう取引とりひきされていた人気にんきしゅだ。


一牛いちぎゅうちから五呼吸ごこきゅう持続じぞくさせるが、中階ちゅうかい一割いちわり初階しょかいなら二割にわり真元しんげんう。からだよわいと筋肉断裂きんにくだんれつ危険きけんも……おれからだじゃ無理むりだな」


方源ほうげんさきすすむと、「おや?このわるくない」とあしめた。


黄駱天牛蠱おうらくてんぎゅうこ――暗黄色あんおうしょく細長ほそながからだに、根元ねもと先端せんたんくろ触角しょっかく蛮力天牛蠱ばんりきてんぎゅうこ瞬発力しゅんぱつりょくがたたいし、こちらは一刻いっこく持続じぞく持久力じきゅうりょく強化きょうかがた副作用ふくさようもなく、市場価格しじょうかかく月光蠱げっこうこみで玉皮蠱ぎょくひこ高値たかねだ。


方源ほうげん周囲しゅうい見渡みわたすと、黄駱天牛蠱おうらくてんぎゅうこたしかに一匹いっぴきだけだった。


わるくないだが、おれ戦略せんりゃくわない」くびり、第三だいさん壁面へきめん移動いどうした。


このかべには豕蠱しこ大量たいりょうならんでいる。豕蠱しこシリーズ――花豕蠱はなしこ粉豕蠱こなしこ黒豕蠱くろしこ白豕蠱しろしこ存在そんざいする。


粉豕蠱こなしこ価値かち最底さいてい。「ふとらせるだけ」の能力のうりょくしかなく、真元しんげんそそぐとからだが丸々(まるまる)とふくらむ。学舎がくしゃでも二、三匹(に、さんびき)しか飼育しいくされておらず、軽視けいしされている様子ようすだ。


最もおおいのは花豕蠱はなしこ数十匹すうじゅっぴき斑模様まだらもようかべくしている。黒白くろしろ黒桃くろもも白桃しろもも配色はいしょくまれ三色さんしょく混在こんざいした個体こたいも。


能力のうりょく蛮力天牛蠱ばんりきてんぎゅうこ同様どうよう一時的いちじてき怪力かいりき。「一牛いちぎゅうちから」にたいし「一猪いっとのちから」だが、真元消費量しんげんしょうひりょうおなじで持続時間じぞくじかんばい十呼吸じゅっこきゅうちからよわぶん筋肉断裂きんにくだんれつ危険性きけんせいひくい。


花豕蠱はなしこ大衆的たいしゅうてき市場しじょうでも大量流通たいりょうりゅうつうしてる。価格かかく蛮力天牛蠱ばんりきてんぎゅうこ半値はんねでコスパ最強さいきょうだ。だが黒豕蠱くろしこ白豕蠱しろしこ玉皮蠱ぎょくひこ酒虫しゅちゅうより高値たかねなんだよな」方源ほうげん思索しさくかがやきを宿やどした。


くろ白豕蠱しろしこ市場しじょう六百元石ろっぴゃくげんせきえのき、即座そくざあらわれる。体質たいしつ改造かいぞう根本的こんぽんてき筋力きんりょく増強ぞうきょうする能力のうりょく評価ひょうかされている。


蛮力天牛蠱ばんりきてんぎゅうこ一発勝負いっぱつしょうぶちがって、黒白豕蠱くろしろしこ蓄積ちくせきがたんでもちからえないから、酒虫しゅちゅうより実用性じつようせいが高いってわけか」


実際じっさい世間一般せけんいっぱんでは酒虫しゅちゅうより黒白豕蠱くろしろしこ価値かちうえだと見做みなされていた。真元精錬しんげんせいれんだけの酒虫しゅちゅうより、持続的じぞくてき肉体強化にくたいきょうか有利ゆうり判断はんだんされているのだ。


黒豕蠱くろしこ白豕蠱しろしこ出来できたら最高さいこうなんだけど……」方源ほうげん苦笑にがわらいした。黄駱天牛蠱おうらくてんぎゅうこですら一匹いっぴきしかないこの蠱室こしつに、そんな貴重品きちょうひんがあるはずもない。


結局けっきょく壁隅かべすみ小光蠱しょうこうこった。五角形ごかくけい星型ほしがたつめ半分はんぶんほどの大きさ。月光蠱げっこうこ補助ほじょとして最普遍さいふへん選択肢せんたくしだ。


「まあ、月光蠱げっこうことの連携れんけいかんがえれば及第点きゅういてんか」自身じしん進路しんろ沿った妥協だきょうだった。


方源ほうげんてきたぞ」

随分ずいぶん時間じかんかかったな」

なんえらんだんだろう?」

酒虫しゅちゅうってるのに三匹目さんびきめか?れるかなあ、へへ」


方源ほうげん蠱室こしつから悠々(ゆうゆう)とあらわれると、づかれた生徒せいとたちがさわはじめた。


つぎおれだ!あのられてないだろうな?」古月漠塵こげつ ばくじん大股おおまたなかはいり、唯一ゆいいつ黄駱天牛蠱おうらくてんぎゅうこつけてかおかがやかせた。


古月方正こげつ ほうせいかべをつきなやんだすえ、「月光蠱げっこうこ攻撃こうげきは出来(できるから、防御ぼうぎょよう銅皮蠱どうひこにしよう」


四人目よにんめ古月赤城こげつ せきじょう器用きよう指先ゆびさきころがしながら、「回避能力かいひのうりょくのある龍丸蛐蛐蠱りゅうがんこおろぎこ最適さいてきだ。てき攻撃こうげき全部ぜんぶかわしてやるぜ」

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