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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第五十三節:方源はお前を班頭に任命する

一切いっさい方源ほうげん思惑おもわく通り(どおり)だった。後日ごじつ学堂家老がくどうかろう治療ちりょう蛊師こしび、二人ふたり護衛ごえい救護きゅうごさせた。護衛ごえいいのちたすかったがじゅう障害しょうがいのこり、学堂がくどうから追放ついほうされた。方源ほうげんなんばつけず、ぎゃくたたえられた。この結果けっかは他の少年しょうねんたちをさらに畏怖いふさせた。



しかしこの事件じけんわらなかった。ときつにつれ、波紋はもん全族ぜんぞくひろがった。丙等へいとう資質ししつ最初さいしょ中階ちゅうかい昇格しょうかくした方源ほうげんは、一族いちぞくじゅう奇妙きみょう話題わだいとなった。人々(ひとびと)は茶飲ちゃのばなし合間あいまにこのけん議論ぎろんし、当初とうしょ驚異きょういぎると、方源ほうげん昇格しょうかくなぞ推測すいそくはじめた。



丙等へいとう甲等こうとう乙等おつとうえて中階ちゅうかいたっするのは、べつ不思議ふしぎではない」

「その通り(どおり)、なかには舍利蛊しゃりこのような方法ほうほう存在そんざいする。これを使つかえば竅壁こうへき昇華しょうかさせ、小境界しょうきょうかい突破とっぱするのは朝飯前あさめしまえだ」



様々(さまざま)なせつい、酒虫しゅちゅう異種真元いしゅしんげん可能性かのうせい指摘してきされた。方源ほうげん最初さいしょから酒虫しゅちゅう存在そんざい公表こうひょうしていれば、ここまでの衝撃しょうげきしょうじなかっただろう。しかしかれ秘密ひみかくしたため、人々(ひとびと)の好奇心こうきしんをかきてる結果けっかとなった。



古月山寨こげつさんさい表向おもてむ平穏へいおんだったが、じつ暗流あんりゅう渦巻うずまいていた。無数むすう学堂がくどう注視ちゅうしし、学堂家老がくどうかろう説明せつめいっていた。学舎がくしゃ責任者せきにんしゃたるものが、みずからのおし昇格しょうかく方法ほうほうらないなど、あまりに失職しっしょくだからだ。



ときながれ、二番目にばんめ中階ちゅうかい到達とうたつした少年しょうねんあらわれた。古月漠北こげつ ばくほくである。つづいて三時間さんじかん古月方正こげつ ほうせい成功せいこうした。元石げんせき不足ふそくくわえ、方源ほうげんけんによる精神的せいしんてき打撃だげき影響えいきょうしていた。



三番目さんばんめ古月赤城こげつ せきじょうだった。古月赤練こげつ せきれんみずからの真元しんげん注入ちゅうにゅうけていたが、この方法ほうほう効率こうりつわるく、三日みっか一度いちどしかおこなえず、危険きけんともなった。丙等へいとうながら三位さんい獲得かくとくしたことは、すでに成功せいこうえた。



五日目いつかめ学堂家老がくどうかろうふたた元石げんせき補助ほじょ配布はいふした。

古月方源こげつ ほうげん

かれ最前さいぜん方源ほうげんんだ。方源ほうげん無表情むひょうじょうがり、まえすすんだ。少年しょうねんたちの嫉妬しっと羨望せんぼう猜疑さいぎ憎悪ぞうおじった視線しせんかれそそがれた。



本日ほんじつ補助金ほじょきん配布はいふくわえ、班頭はんとう副班頭ふくはんとう任命にんめいおこなう」

「やはり最初さいしょ方源ほうげんんだ!」

かれ最初さいしょ中階ちゅうかいたっしたから、班頭はんとうかれのものだ」

しんじられない…最初さいしょ方正ほうせいだとおもってたのに」

中階ちゅうかい昇格しょうかくあやしすぎる。重大じゅうだい秘密ひみがあるにまってる!」



生徒せいとたちがささやなか方源ほうげん学堂家老がくどうかろう面前めんぜんった。

古月方源こげつ ほうげん今期こんき最初さいしょ一転中階いってんちゅうかい蛊師こしとして、これが褒賞ほうしょうだ」

学堂家老がくどうかろう青白あおじろふくろした。方源ほうげんはそれをると、即座そくざふくろひらいて中身なかみたしかめた。



安心あんしんせよ。なかには三十塊さんじゅっかい元石げんせきはいっている」

学堂家老がくどうかろう無理むり笑顔えがおつくった。じつのところ、かれ方源ほうげん最初さいしょ昇格しょうかくするとは予想よそうしていなかった。



方源ほうげん家老かろう言葉ことばみみさず、一枚一枚いちまいいちまい元石げんせきかぞえた。三十塊さんじゅっかい不足ふそくはなかった。ようやくふくろふところおさめた。



学堂家老がくどうかろうはこの様子ようすて、方源ほうげん金銭的きんせんてき逼迫ひっぱくしていると誤解ごかいした。(元石げんせきへの欲求よっきゅうがあるかぎり、かれ制御せいぎょける。一族いちぞく体制たいせいめば、秘密ひみはいずれあばかれる)



「さらに」学堂家老がくどうかろうつづけた。「方源ほうげん規定きていにより、三十塊さんじゅっかい元石げんせきくわえ、ちかいうちに二匹目にひきめ優先的ゆうせんてき選択せんたくする権利けんりあたえる。いま、おまえ班頭はんとう任命にんめいする!」



「ついに方源ほうげん班頭はんとうに…!」

だれかが嘆息たんそくした。

「くそ…!」古月漠北こげつ ばくほくいしばった。

「ふん」古月赤城こげつ せきじょうつめややかに見守みまもる。

最大さいだい打撃だげきけたのはおとうと古月方正こげつ ほうせいだった。(班頭はんとうえば挨拶あいさつ必要ひつようだ。副班頭ふくはんとう自分じぶんあにあたまげるのか…)



たれよ」

方源ほうげん突然とつぜんくちひらいた。家老かろうかってゆるやかにう。「家老かろう殿どの学生がくせい力量りきりょうでは班頭はんとう職務しょくむつとまりません。有能ゆうのうものゆずるべきです」



なんだと?班頭はんとうになれば毎回まいかい十塊じゅっかい元石げんせき支給しきゅうされる。本当ほんとう辞退じたいするのか?」

学堂家老がくどうかろうまゆけわしくゆがんだ。数十年すうじゅうねん教職きょうしょくで、みずか班頭はんとう拒否きょひするものなどたことがなかった!



じつ家老かろうも考えていた。方源ほうげん班頭はんとうにすれば、同輩どうはいへの恐喝きょうかつめさせる口実こうじつになる。班頭はんとうとしての義務ぎむたすかぎり、かれ行動こうどう制限せいげんできる。



しかし方源ほうげん拒否きょひした!

規定きてい班頭はんとう拒否きょひしてはならないとでも?」

「…いな



最終的さいしゅうてき班頭はんとう二位にい古月漠北こげつ ばくほく副班頭ふくはんとう方正ほうせい赤城せきじょう就任しゅうにんした。班頭はんとう十塊じゅっかい副班頭ふくはんとう五塊ごかい補助金ほじょきん支給しきゅうされ、貧乏びんぼう生徒せいとたちは羨望せんぼうよだれらした。

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