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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第五十一節:どう釈明するか見ものだ

方源ほうげん今日きょうついに授業じゅぎょうサボったぜ!ろよ、せきずっときっぱなしだ」

「よくも家老かろうさま授業じゅぎょう欠席けっせきできたもんだ!度胸どきょうありすぎ!」

「ヤバいわ…家老かろう顔色かおいろ最悪さいあく方源ほうげんみだなクスクス」


教室きょうしつじゅう生徒せいとたちがささやう。方源ほうげん空席くうせき家老かろうけわしい表情ひょうじょう交互こうご視界しかいう。


強奪ごうだつ事件じけん以来いらい方源ほうげん全員ぜんいんかたきだった。かれ失脚しっきゃくだれもがのぞ出来事できごとだ。


空竅くうこう温養法おんようほうはまず第一だいいちに…」

家老かろう青黒あおぐろかお解説かいせつしながら、方源ほうげんせきをチラリとにらむ。(昨日きのうまでよわみがつかめなかったが、みずか弱点じゃくてんさらしやがった。さすが十五歳じゅうごさいのガキ、やはり見込みこぎていたか)


けわしい表情ひょうじょう八割はちわり演技えんぎだった。方源ほうげん増長ぞうちょうくじき、権威けんいしめ絶好ぜっこう機会きかいだ。


つごとに方源ほうげん存在感そんざいかんし、他の生徒せいと窒息ちっそくさせていた。家老かろうもとめるのは「百花繚乱ひゃっかりょうらんきそい」であって、一人勝ひとりがちではない。


ものども」

家老かろう講壇こうだんをコツコツたたく。


「はい!」とびらそと護衛ごえい二人ふたり入室にゅうしつ


方源ほうげんめが不届ふとどきわまりない。この老夫ろうふ面前めんぜんで堂々(どうどう)と欠席けっせきとは!すみやかにりょうからしてまいれ!」


護衛ごえい背中せなか見送みおくりながら、教室きょうしつがザワメキつ。


今度こんどこそわりだぜ」かがやかせるもの

面白おもしろいことになりそうだな」わらもの


古月方正こげつ ほうせい空席くうせきとす。(兄貴あにき家老かろう権威けんいぎだ。どんなばつ自業自得じごうじとくだよ)


ドン!ドン!ドン!

学堂家老がくどうかろう冷厳れいげん表情ひょうじょう教卓きょうたく三度さんどたたきつけた:「静粛せいしゅくに!学舎がくしゃさわぐでない!」


いまかれ気迫きはく爆発ばくはつ寸前すんぜん火山かざんのようで、生徒せいとたちはちぢがった。瞬時しゅんじ教室きょうしつはりちるおとこえるほどの静寂せいじゃくつつまれた。


表面上ひょうめんじょう姿勢しせいただしたものの、生徒せいとたちのこころすで事件じけんくぎづけだった。授業じゅぎょう再開さいかいされても、窓際まどぎわものは度々(たびたび)そとうかがい、みな上のそらだった。


ときぎ、やがて廊下ろうかから足音あしおとひびいてきた。


「!」

数十すうじゅうかがやき、教室きょうしつにざわめきがふたたこる。


たか…」学堂家老がくどうかろうみみませた。すでめていた――方源ほうげん三時間さんじかん廊下ろうかたせるという処罰しょばつを。


肉体にくたいてき苦痛くつうはないが、面目めんもく丸潰まるつぶしにする)

授業中じゅぎょうちゅう出入ではいりするものばつける姿すがた目撃もくげきすれば、方源ほうげん恐怖きょうふ仮面かめんがれる。学舎がくしゃへの畏敬いけいし、従順じゅうじゅんさをけるだろう。


単純たんじゅん手段しゅだんながら、深遠しんえん計算けいさんひそんでいた。


足音あしおととびらまえまった。


トントントン。

ノックのおとひびく。


「はは、わたしけよう!」とびらぎわ生徒せいといきおいよくせきち、ドアノブにをかけた。


教室きょうしつみずったようにしずまり、無数むすう視線しせんとびら集中しゅうちゅうした。


きいっ。


とびらほそ隙間すきまからひらかれる。ひかりむが、けた生徒せいと突然とつぜんからだふるわせた。


「うわあっ!?」

悲鳴ひめいともあとずさりし、つくえこしをぶつけて転倒てんとう青白あおじろかおべたをまわる。


なんだ!?」全員ぜんいんまゆげた。好奇心こうきしんられた視線しせんとびらくぎづけになる。


とびらそとからしずかにひらかれる。


学堂家老がくどうかろう講義こうぎ中断ちゅうだん最初さいしょんできたのは――とびらさえる少年しょうねん左手ひだりて


まみれの左手ひだりて


「きゃあっ!」女子生徒じょしせいとたちがくちびるさえる。


徐々(じょじょ)に全開ぜんかいするとびらしろ陽光ようこうみ、人影ひとかげがシルエットとなってかびがる。


なにかがおかしい…)学堂家老がくどうかろう背筋せすじ寒気さむけはしる。


方源ほうげんだ!!」だれかのさけこえひびく。


ひとみひかりれた生徒せいとたちは、まった方源ほうげん姿すがた認識にんしきした。とびらした左手ひだりてむと、右手みぎて護衛ごえいかみつかんで引きずっている。


左腕ひだりうで根元ねもとから護衛ごえい意識不明いしきふめいだ。


方源ほうげんれにいった護衛ごえいじゃないか!」

一体いったいなんがあったんだ!?」

護衛ごえいころしたぞ!?」指差ゆびさふるえる。


教室きょうしつ騒然そうぜんとなった。


多数たすう生徒せいと規律きりつわすれ、椅子いすからがった。驚愕きょうがく恐慌きょうこうじったまみれの方源ほうげん凝視ぎょうしする。


かれらの予想よそうでは、二人ふたり護衛ごえいはさまれて連行れんこうされるはずだった方源ほうげん。しかし現実げんじつは――血泊ちばく悪鬼あっきのごとき姿すがた片方かたほう護衛ごえいえ、のこ一人ひとり血溜ちたまりにしずみかけている。


生臭なまぐさてつにおいが教室きょうしつたした。


学堂家老がくどうかろう思考しこう停止ていしした。まさかこの光景こうけいとは!


おどろきがいかりにてんじる。外姓がいせい護衛ごえいなどんでもかまわないが、問題もんだいはその立場たちばだ。学舎がくしゃ権威けんいみずからの面目めんもくへの挑戦ちょうせんだった。


方源ほうげんなんたる所業しょぎょうだ!釈明しゃくめいせよ!もなくば家法かほうもとづき牢獄ろうごくおくりだ!」逆上ぎゃくじょうした家老かろうこえ窓枠まどわくふるわせる。


生徒せいとたちはシンとしずまりかえなか方源ほうげん平然へいぜん護衛ごえいかみはなした。ドスンとあたまうみしずみ、ズボンのすそ飛沫しぶきがかかる。


家老かろう殿どのもうげるべき事柄ことがらがございます」

拱手きょうしゅれいをしながら、方源ほうげんこえ水晶すいしょうのようにつめたい。


もうしてみよ」家老かろう背中せなかみ、こおり視線しせんげかける。(おろものめ、墓穴ぼけつつづけやがって…)

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