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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第五十節:中階!

よるとばりりた。

つき銀盤ぎんばんのように雲間くもまからあらわれ、まばらなほし周囲しゅういかざっていた。


古月漠北こげつ ばくほくにわつきあおる。ひとみ燦然さんぜんかがやいていた。


おとうと今日きょう負傷ふしょうしたそうね」背後はいごからあね古月漠顔こげつ ばくがんこえひびいた。


ねえさん、おれ吐血とけつしたからこころきずのこるかと心配しんぱいしてるのか?」漠北ばくほくかえり、口元くちもとゆるめた。


漠顔ばくがんおとうと笑顔えがおむねろした。本心ほんしんでは心配しんぱいしていたが、くちでは「そんなことないわ。あねはあなたをよくってる。漠家ばくけ将来しょうらい当主とうしたるものが、こんなちいさなきずくじけるはずないでしょ?」


「はは、ねえさんはいつもあまやかしてくれるな」漠北ばくほくあたまきながらわらった。


ってるかねえさん」月明つきあかりのなか、15さい少年しょうねんかがやいた。「今回こんかいけたけど、方源ほうげん息遣いきづかいをのがさなかった。以前いぜんはすぐたたせられてたのに、あいつも余裕よゆうなくなってる。いつかかならず正々堂々(せいせいどうどう)かしてやる!」


「さすがばくおとこよ!」漠顔ばくがんおとうとあたまでながら、心配しんぱいげにつづけた。「でも内傷ないしょうあるんだから、数日すうじつ拳法けんぽう練習れんしゅうひかえなさい」


「もう大人おとななんだからあたまでないでくれよ」漠北ばくほく不満ふまんげにくびった。「かってる。空竅くうこう内壁ないへき温養おんようし、初階しょかいから中階ちゅうかい昇格しょうかくするつもりだ。班長はんちょうれ、方源ほうげんいきおいをいでやる。蛊師こし本道ほんどう資質ししつだってことを思いらせてやる!」


「そうってくれるとあね安心あんしんよ」漠顔ばくがんなつかしむようにつぶやいた。「わたし副班長ふくはんちょうまりだったからね」


心配しんぱいすんなって。班長はんちょうかならおれのものだ!」


ほぼ同時刻どうじこく赤家せきけ密室みっしつで。

かべくぼみにされた松明たいまつ一本いっぽんだけが、せま石室せきしつらしていた。


古月赤練こげつ せきれんまご古月赤城こげつ せきじょうかいい、座布団ざぶとんすわっていた。らめくほのお二人ふたりかげかべうつす。


赤練せきれん巨大きょだいてのひら赤城せきじょう下腹部かふくぶてた。銀色ぎんいろ真元しんげん老人ろうじん意思いししたがい、赤城せきじょう空竅くうこうながむ。


「ぐっ…!」赤城せきじょう必死ひっし空竅くうこうない元海げんかい波動はどうおさんだ。


このに同じ存在そんざいしないように、異種いしゅ真元しんげん空竅くうこうはげしく拒絶きょぜつする。制御せいぎょあやまれば真元衝突しんげんしょうとつこり、最悪さいあく場合ばあい空竅くうこう崩壊ほうかいいた危険きけんがあった。


なが時間じかんぎ、赤練せきれんあせだくでいた。「ありがとう、おじいちゃん…三日みっかごとに真元しんげんそそいでくれて」赤城せきじょう安堵あんどいきいた。


丙等へいとう資質ししつでは中階ちゅうかい昇格しょうかく時間じかんがかかりぎる」赤練せきれんひたいあせぬぐいながらった。「乙等おつとうばい甲等こうとう四倍よんばいもかかれば、正体しょうたいあばかれる。危険きけんでもこの方法ほうほう使つかわざるをない」


「おじいちゃんの苦労くろうかってます」


赤練せきれんおもそうにうなずいた:「この方法ほうほうには重大じゅうだい副作用ふくさようが…わしのぎん真元しんげん温養おんようした空竅くうこうかべは、将来しょうらいまえ成長せいちょう制限せいげんする異物いぶつる」


赤家せきけのためなら!」赤城せきじょうこぶしにぎめた。「この未来みらいなど――」


「良い心構こころがまえだ」赤練せきれんひげでながらわらった。「だが希望きぼうのこされている。浄水じょうすいつければ異種気配いしゅけはい洗浄せんじょうできる。さらに酒虫さけむしれれば、真元精錬しんげんせいれん副作用ふくさようなしに温養おんようできる」


酒虫さけむし!?」赤城せきじょうかがやいた。


「しかし珍品ちんぴんゆえ市場しじょうれば即座そくざく」赤練せきれんとおをした。「資質ししつ変更へんこうなど、わしも生涯しょうがい一度いちど目撃もくげきしたことがないがな…」


夜風よふうまどから部屋へやながんだ。


古月方正こげつ ほうせいとこ座禅ざぜんみ、両手りょうて元石げんせきにぎめていた。青銅色せいどういろ真元海しんげんかい無風むふうなかなみち、しろ空竅壁くうこうへきあらつづけていた。


甲等こうとう資質ししつにより、真元海しんげんかい空竅くうこう八割はちわり以上いじょうめ、真元しんげん回復速度かいふくそくど方源ほうげん整整せいせい二倍にばい!この天恵てんけいともえる優位性ゆういせいが、かれ一転中階いってんちゅうかい昇格しょうかく目前もくぜんへとし上げていた。


「ふぅ…」なが時間じかんぎ、方正ほうせいにごったいきき、ゆっくりとけた。まどそとにはつきあかるくほしがまばらで、青竹色あおたけいろ楼閣ろうかくとおくまでつづいていた。


修行しゅぎょうしてると時間じかんつのははやいな…けば真夜中まよなかか」ひとごとをつぶやきながら、にぎりしめたゆるめると、灰白色かいはくしょくこな二筋ふたすじゆかった。元石げんせき天然真元てんねんしんげんくすと粉塵ふんじんすのだった。


こなちるようつめながら、方正ほうせいかすかにまゆひそめた。ふところからからびた財布さいふを取りすと、なかには元石げんせき三塊さんかいだけがさびしげにころがっていた。


学舎がくしゃから七日なのかごとに三塊さんかい支給しきゅうされるけど…兄貴あにき一枚いちまいうばわれるから実質じっしつ二塊にかいか」

叔父おじ叔母おば仕送しおくりも三塊さんかい…これじゃりるわけないよ」


甲等こうとうほこりにえる方正ほうせいは度々(たびたび)親戚しんせきたよって追加ついか元石げんせき懇願こんがんした。しかし回数かいすうかさなるにつれ、叔母おばが「家計かけいくるしくて…」と苦悩くのう表情ひょうじょうびるようになった。


ちちはは精一杯せいいっぱい支援しえんしてくれてる…もうたのめない」こぶしひざうえにぎめ、「一日いちにち一塊いっかいずつ使つかえば三日みっかつ…四日後よっかごまでにはかなら中階ちゅうかいに…!」


まどわくをかけて学寮がくりょう方向ほうこうやる。「丙等へいとう兄貴あにきよりはや昇格しょうかくしてやる…甲等こうとう実力じつりょくせつけてやる!」


学舎がくしゃ宿泊棟しゅくはくとう

方源ほうげん部屋へやとびらかたざされていた。


暗闇くらやみなかかれねむりにつかずとこすわんでいた。蛊師こし修行しゅぎょう睡眠すいみん代替だいたいするものではない。普段ふだんならとっくに就寝しゅうしんしている時間じかんだ。


今夜こんやはもうずに、中階ちゅうかいすすむ!」ひとみ決意けついひかりはしった。


意識いしき空竅くうこう集中しゅうちゅうさせる。四割四分よんわりよんぶあった青銅せいどう元海げんかいが、酒虫さけむしによって蒼緑色そうりょくしょく中階真元ちゅうかいしんげんへと精錬せいれんされていた。「さあ」


心念しんねんうごくと、平穏へいおんだった元海げんかい波紋はもんひろがりはじめた。


波紋はもん次第しだいに大きくなり、やがて怒涛どとうごと光膜こうまくかべせた。


ガシャン!


ほとんどの真元しんげん翡翠色ひすいいろ飛沫しぶきってうみもどなか一部いちぶ無形むけいちからわりしろ光膜こうまく浸透しんとうしていった。


つづけ」意識いしき鼓舞こぶすると、波濤はとう馬群ばぐん奔流ほんりゅうへと変貌へんぼう


りゅうごと激浪げきろう空竅くうこうるがす。真元しんげん劇的げきてき消費しょうひされ、水面すいめんがっていく。


ガシャン!ガシャン!


連続れんぞくした衝撃しょうげき量変りょうへんから質変しつへん誘引ゆういん光膜こうまく突然とつぜんはげしくふるし、にぶ白光はっこう刃物はものごとするどかがやいた。


る!」方源ほうげんこころさけびながら真元しんげんながれを加速かそくさせた。


ひかり渦巻うずまき、無数むすう光帯こうたいからいながら水膜すいまくへと変容へんよう最終的さいしゅうてき球状きゅうじょう光輝こうき収斂しゅうれんし、あつみをした水膜すいまく形成けいせいされた。


中階ちゅうかい突破とっぱ!」方源ほうげん歓喜かんきこえけた。


窓隙間まどすきまから朝日あさひ部屋へやらしていた。いつのにかよるけ、午前中ごぜんちゅうになっていた。


ドン!

突然とつぜんりょうとびらいきおいよく蹴破けやぶられ、二人ふたり護衛ごえいはいってきた。


方源ほうげん無断むだん授業じゅぎょう欠席けっせきしたつみ学堂家老がくどうかろうからしだ。ついてい!」

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