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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第四十六節: 殺人については考えすぎるな

記憶きおくたよりに、方源ほうげん賈金生かきんせいれてふたた山壁さんぺきけ目へかった。


二人ふたりけ目にはいると、みち次第しだいせまくなり、視界しかいくらになった。賈金生かきんせい不慣ふなれな土地とち不安ふあんつのらせながらすすんだ。


ついれずくちひらく:「疑問ぎもんがある。賈富かふやつ誠実せいじつ評判ひょうばんい。おれ強引ごういん商売しょうばいばかりしてる。どうしておれえらんだ?」


岩陰いわかげから方源ほうげんこえひびく:「やつ四転よんてん修爲しゅうい影壁えいへきせれば古月族長こげつぞくちょう献上けんじょうする選択肢せんたくしもありる。主導権しゅどうけん他人たにんわたすのはきじゃない。そもそも誠実せいじつなんて糞食くそくらえだ。利益りえきすくなけりゃ信用しんようなんてくずれる」


本当ほんとう理由りゆう賈金生かきんせいよわあやつやすいからだ――当然とうぜんくちにしない)


「ハハ」賈金生かきんせいかわいたわらいをらし、「最後さいご一言ひとことおれ琴線きんせんれたぜ」


ようやく洞窟どうくつ辿たどくと、賈金生かきんせい影壁えいへき哄笑こうしょうした:「けがたった! だまされてなかったな!」


方源ほうげん背後はいご薄笑うすわらい、無言むごんっていた。


岩壁がんぺきうつ花酒行者かしゅぎょうじゃ四代目族長よんだいめぞくちょう確執かくしつながえた賈金生かきんせいが、あざけるようにった:「あんたの先祖せんぞたいしたことないじゃねえか」


当然とうぜんはなしさ」方源ほうげんこたえる。「英雄えいゆう必要ひつようなら英雄えいゆうになり、悪役あくやく必要ひつようなら悪役あくやくになる。評価ひょうかなんて他人たにんめるものだ」


名言めいげんだな!」賈金生かきんせい洞窟どうくつない見回みまわしながらてのひらつ。


花酒行者かしゅぎょうじゃ白骨はっこつまり、「五転ごてん強者きょうしゃがこんな末路まつろか…。あんた、かれからかなりの利益りえきたんだろう?」


賈金生かきんせい貪欲どんよくひかる。五転蠱師ごてんこし遺産いさんへのよくにじんでいた。


方源ほうげんくびる:「なが年月としつきえた。酒虫さけむし一匹いっぴきだけだ」


うそつけ!」賈金生かきんせいせまる。「共犯きょうはんなんだからかくすなよ。本当ほんとうはどれだけってる?」


方源ほうげん嘲笑ちょうしょうかべ、無視むしして洞窟どうくつた。


賈金生かきんせいのこの反応はんのうは、方源ほうげんまえもって予想よそうしていたことだった。これこそがかれ賈富かふでなく賈金生かきんせいえらんだ理由りゆうである。


賈金生かきんせいひとごとのようにしゃべつづけた:「ほかのことはさておき、花酒行者かしゅぎょうじゃ有名ゆうめい千里地狼蛛せんりちろうぐもってたのはってるだろ? 五転移動蠱ごてんいどうこで、巨体きょたい土潜つちもぐりが得意とくい。あの魔道まとう野郎やろう正道せいどう包囲網ほういもう何度なんどせたのも、こののおかげだぜ」


「へえ、そうなのか?」方源ほうげんかるまゆせた。花酒行者かしゅぎょうじゃに関する情報じょうほう実際じっさいほとんどらなかった。


賈金生かきんせい得意とくいげにつづけた:「去年きょねんまえたちの山寨さんさいとき、このうわさいてわざわざ実家じっか調しらべたんだ。千里地狼蛛せんりちろうぐも花酒行者かしゅぎょうじゃとほぼ一心同体いっしんどうたい、この洞窟どうくつ間違まちがいなくやつつくったにまってる。青茅山せいぼうざんねばつく青土あおつち自然しぜんにこんな洞窟どうくつができるわけないだろ? おい弟分おとうとぶんかくしても無駄むだだぜ。花酒行者かしゅぎょうじゃがここでんだんなら、千里地狼蛛せんりちろうぐもかならずあるはずだ!」


方源ほうげんまゆしわさらふかくなった。なに見落みおとしている重要じゅうようてんがあるような違和感いわかんつのってきた。「たしかに出口でぐち石割いしわれしかない。千里地狼蛛せんりちろうぐも巨体きょたいとおれるはずがない。もしかすると四代目よんだいめ先回さきまわりされてころされたのかもしれん。影壁えいへき映像えいぞうでも、花酒行者かしゅぎょうじゃ最後さいごまで千里地狼蛛せんりちろうぐも召喚しょうかんしてない」


「じゃあ余計よけいあやしいじゃねえか」賈金生かきんせいうたがぶか方源ほうげんた。「洞窟作成どうくつさくせいほか手段しゅだんがあるってのか? 本当ほんとうはもっと良いものかくしてるんじゃないのか?」


方源ほうげんひたいふかしわきざまれた。賈金生かきんせいからあらたな情報じょうほうが、なに重大じゅうだい見落みおとしを暗示あんじしているようだった。


賈金生かきんせい思考しこうふけっていた。影壁えいへきでは物足ものたりなくなり、花酒行者かしゅぎょうじゃ遺産いさん方源ほうげんからしぼりたい欲望よくぼうふくらんでいた。


二人ふたり思案しあんれているまさにそのとき異変いへん突如とつじょ発生はっせいした。


延々(えんえん)とループしていた影壁えいへき突然とつぜん明滅めいめつまみれの青白あおじろ禿頭とくとう蠱師こしうつんだ。


やつ岩壁がんぺきあずけてくずち、むね四肢ししに深々(ふかぶか)ときずっていた。だが不気味ぶきみなことに、皮肉ひにくがれているのに一滴いってきながれていない――まるで全身ぜんしん血液けつえきられたかのようだった。


おれ花酒行者かしゅぎょうじゃだ」禿頭とくとう蠱師こしがギラリとき、「あとものよ、百日ひゃくにち影壁えいへき見続みつづけたおまえ古月こげつにくんでるにちがいねえ。遺産いさんをやるわりに、古月一族こげついちぞく皆殺みなごろしにしろ!鶏犬けいけんのこすな!」


賈金生かきんせい呆然ぼうぜんと立ちくし、かおじゅう驚愕きょうがくひろがった。


五転ごてん伝承でんしょう!?」

あたまがガンガンり、思考しこう渦巻うずまいた。


「まさか!五転ごてんって…三転さんてん家老かろう四転よんてん族長ぞくちょう五転ごてんなら山主さんしゅだぜ!こんな田舎いなかにそんなものがあるなんて!」


てよ、魔道まとうちからぐのはまずいか?いやちから善悪ぜんあくはねえ。古月こげつほろぼせって?んだじいさんのぶんなんてかねえよ」


「これでおれ丁等ていとう資質ししつえられるかも…レアながいるかも!賈富かふえてやる!」


「クソ!こいつ(方源)がいる…まえ冗談じょうだんじゃねえ!ころして秘密ひみつまもる。油断ゆだんさせて不意打ふいうちだ…ここなら跡形あとかたもねえ!」


思考しこう電光石火でんこうせっかめぐり、賈金生かきんせいほそめてにせ笑顔えがおつくった。


ゆっくりいた瞬間しゅんかん二枚にまい青白あおじろ月刃げつじんせまってきた!


ひとみはりさきのようにちぢんだ。回避かいひするもなく――


「おまえ…」

首筋くびすじやいばい込み、あたまがった。血潮ちしおいずみのようにした。


二秒にびょうおくれて胴体どうたいゆかたおれ、たぎつる真赤まっかめた。


ころすならさっさところせ」方源ほうげんつめたくしかばね見下みおろし、影壁えいへきうつした。「予想外よそうがい展開てんかいだ…面白おもしろい」

おくかすかにひかりながらつぶやいた。

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