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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第四十一節:解石

わたしいくつかのいし購入こうにゅうしたい」目標もくひょう選定せんていした方源ほうげんは、女性蛊師じょせいこしげた。


新米しんまいだわ!)女性蛊師じょせいこしこころ即座そくざ言葉ことばかんだ。


普通ふつう賭博者とばくしゃなら、まずいしてのひらせ、表面ひょうめん質感しつかん重量感じゅうりょうかんたしかめるものだ。違和感いわかんがあれば購入こうにゅうめる。


この少年しょうねんのように即決そっけつするのは、あきらかな初心者しょしんしゃあかしだった。


「では、どちらをおえらびになりますか?」女性蛊師じょせいこし表面ひょうめんでは笑顔えがおくずさず、やさしいこえたずねた。


方源ほうげん指先ゆびさき櫃台きだいたたく:「このいし


女蛊師じょこし素早すばや紫金色しきんいろ化石かせきを取りとりだした。てのひらだい石塊せきかいがカウンターにかれる。


「それと、あのいしも」方源ほうげん二点目にてんめ指差ゆびさす。


二個にこうとは…)女性蛊師じょせいこしまゆかすかにうごいた。賭博癖とばくへきつよいタイプだと内心ないしん判断はんだんする。


さら方源ほうげんゆびうごいた:「ここと、こうのかどにあるいし全部ぜんぶ


女性蛊師じょせいこし一瞬いっしゅん硬直こうちょくした。(まさか四つ(よっつ)も?)あらためて少年しょうねん粗末そまつ麻衣あさぎぬあらせた腰帯こしおび見直みなおす。


外見がいけん貧相ひんそうだが…支族しぞくの隠しかくしだまかしら?)


思考しこうめぐるうちに、女性蛊師じょせいこしみがやわらかくなった。指輪ゆびわかみをかきげる仕草しぐさに、わずかにこびじる。


「お客様きゃくさま、あちらの紫金石しきんいし二点にてんもおわすれでは?」女性蛊師じょせいこし意図的いとてき胸元むなもとまえのめりにさせながら、最奥さいおくいし指摘してきした。


方源ほうげん無表情むひょうじょううなずく:「それも追加ついかだ」


合計ごうけい六個ろっこ十塊元石じゅっかいげんせき×ろく六十塊元石ろくじゅっかいげんせき!)


女性蛊師じょせいこしほおゆるんだ。こし金袋かねぶくろから丁寧ていねい元石げんせきかぞえながら、(今夜こんや大物おおものげたかも)と妄想もうそうふくらむ。


六個ろっこ紫金石しきんいし方源ほうげんまえならべられた。


方源ほうげん躊躇ちゅうちょなくこし金袋かねぶくろから六十塊元石ろくじゅっかいげんせきを取りとりだし、女性蛊師じょせいこし手渡てわたした。


この支払しはら行動こうどうまたた天幕てんまくない注目ちゅうもくあつめる。


「おや? 賭石とせきはじめた者が」

一時間いちじかん以上いじょうててもなかったのに…見物けんぶつさせてもらおう」

学員がくいんか? 六十塊ろくじゅっかい即座そくざはらえるとは。あきれた青二才あおにさいめ、今日きょうほねまでしゃぶられるがいいさ」


蛊師こしたちがささやいながらつめたい視線しせんげかけるなか女性蛊師じょせいこしあまこえ提案ていあんする:「お客様きゃくさま当場とうば解石かいせきなさいますか? 当店とうてん無料むりょうでお手伝てつだいしますわ」


方源ほうげん周囲しゅうい一瞥いちべつし、なぞめいたみをかべて拒否きょひする:「紫金しきんおれのラッキーカラーだ。はじめての賭石とせき自分じぶんきざみたい」


(さすが御曹司おんぞうし!)女性蛊師じょせいこしかがやく。彼女かのじょよしもない――この少年しょうねん孤高ここうで、一切いっさい後楯うしろだてくここまでたことを。


かねがあればなんでもできるとおもってやがる」

おやすねかじりが、ずかしげもなく」

うんだのいろだの…まるで元石げんせきいけげて水跳みずはねをたのしむようなものよ」


天幕てんまくない失望しつぼうした溜息ためいきじる。半数はんすう蛊師こし興味きょうみうしないように櫃台きだい視線しせんもどした。


方源ほうげん無表情むひょうじょうのまま元海げんかい真元しんげん月光蠱げっこうこそそぐ。右手みぎててのひらかぶ三日月みかづき刻印こくいん淡青たんせいひかりはなはじめる。


そのひかりまとった紫金石しきんいしつかみ、指先ゆびさき丹念たんねんほぐしていく。青白あおじろかがやきのなか石粉いしこゆきのようにち、絨毯じゅうたん薄紫うすむらさきめていく。


公子こうし、お見事みごとです!」女蠱師じょこし即座そくざ称賛しょうさんこえをかけた。


「この少年しょうねん、まんざらでもないな。本物ほんもの腕前うでまえってる」この光景こうけい蠱師こしたちは複雑ふくざつ眼差まなざしをかべ、方源ほうげん見直みなおはじめた。


方源ほうげんあおひかりいし表面ひょうめん研磨けんまする――これは月光蠱げっこうこ精密せいみつ操作そうさだった。通常つうじょう2~3年月光蠱げっこうこ使つかんだ蠱師こしでなければ到達とうたつできないいき


この年齢ねんれい学員がくいん身分みぶんものがここまでできるのはきわめてまれだ。


ろ、かれ使つかってるのは我々(われわれ)古月一族こげついちぞく固有こゆう月光蠱げっこうこだ」ある蠱師こし気付きづき、きゅうほこらしげな表情ひょうじょうになった。


「だがこの手法しゅほう解石かいせきにはあらすぎる」老練ろうれん蠱師こしたちはくびよこった。


紫金石しきんいしは徐々(じょじょ)に小型化こがたかし、最初さいしょてのひらおさまらなかったが、やがてこぶしだいになり、方源ほうげんゆびつつまれた。


あおひかりさらつよまり、いしはビー玉大だまだいに。最終的さいしゅうてきには絨毯じゅうたんうえ小山こやま石粉いしこだけがのこった。


完全かんぜん中身なかみしのいしだった。


「やはりてにならん」蠱師こしたちが一斉いっせいくびる。「公子様こうしさま、まだ五個ごこのこってますわ」女蠱師じょこしやさしくはげました。


方源ほうげん表情ひょうじょうえず、二個目にこめ紫金石しきんいしつかつづけた。


結果けっか同様どうよう中身なかみし。三個目さんこめおなじだった。


蠱師こしなかからあきれたこえがる:「もうるんじゃねえ。いろえらんだいしける価値かちなんてねえ」


たったらこのこなってやるよ」わらいながら茶化ちゃかものあらわれた。


公子様こうしさまあきめないで。まだみっのこってますもの」女蠱師じょこし吐息といきらしながら応援おうえんした。


方源ほうげん四個目よんこめり、てのひらだいまでけずったとき突然とつぜん動作どうさめた。


「おっと? たりか!?」


材質ざいしつわった! 紫金しきんじゃなく漆黒しっこくだ」


「まさか本当ほんとうたるなんて?」


周囲しゅうい蠱師こしたちがかるおどろきのこえげた。


公子様こうしさま以降いこう慎重しんちょうに。休眠中きゅうみんちゅう非常ひじょうもろいんです」女蠱師じょこし予想外よそうがい展開てんかいあわて、いそいで注意ちゅういした。


方源ほうげん動作どうさきわめておそくなり、指先ゆびさきから時折ときおりパラパラとこなちるだけになった。最初さいしょのような連続れんぞくしたうごきではなかった。


くろ石粉いしこそそぎ、いしは徐々(じょじょ)に小型化こがたか方源ほうげんうごきはさら繊細せんさいになった。


絨毯じゅうたんこなもるなかついくろ石核せきかくった。


「ああ、残念ざんねん。ただの石中石せきちゅうせきか」


空騒からさわぎさせやがって、本当ほんとうはいってるとおもったのに」


だまされやすいんだよ。賭石とせきなんてそんなもんさ。たるのは10じゅっこに1いっこいんだから」


公子様こうしさまうんすでに上々(じょうじょう)ですわ。はじめてで石中石せきちゅうせきくなんて普通ふつうじゃできません」女蠱師じょこしなぐさめつつ、つぎ結果けっかへの心構こころがまえをうながした。


賭石とせき空振からぶりするのは日常茶飯事にちじょうさはんじ彼女かのじょなかでは、方源ほうげんてる可能性かのうせい最初さいしょから微々(びび)たるものだった。


方源ほうげんわらみだけをかえし、五個目ごこめを取りとりだした。


丁寧ていねい研磨けんまはじめると、十呼吸じゅうこきゅうほどで紫金しきん表皮ひょうひがれ、凹凸おうとつだらけの黄色きいろ泥玉どろだまあらわれた。

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