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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第二十二節: 月刃飛舞

そらとおるようにあおく、あらきよめたような純粋じゅんすいさをたたえていた。

太陽たいよう黄金こがねいろ燦然さんぜんかがやく。


しろくもがふんわりとかび、彩雀鸚鵡さいじゃくおうむれがにぎやかにわしながら、青空あおぞらした矢印やじるし陣形じんけいみ、はねを雄々(おお)しくばたかせていた。


この彩雀鸚鵡さいじゃくおうむはるにのみ大群たいぐんあらわれる。全身ぜんしん羽根はね七色なないろかがやき、たかほどの巨躯きょくを持つ(もつ)。頭部とうぶくちばし鸚鵡おうむそのものだが、孔雀くじゃくのようになががっている。


方源ほうげん本命蛊ほんめいこ煉化れんか試験しけん首位しゅいだっしゅしてから、十日余とおかあまりが経過けいかしていた。


春風はるかぜ山肌やまはだみどりめ、野花のはなきそうようにほこる。はちれとちょうれがみだい、生気せいきみなぎはる情景じょうけいひろがっていた。


はる気配けはい濃厚のうこうで、演武場えんぶじょうかこたかたけかべさえもさえぎれないほどだった。


この演武場えんぶじょう三畝さんほひろさをち、地面じめん分厚ぶあつ青灰色あおはいいろいしたいらに舗装ほそうされている。周囲しゅういには青矛竹せいぼうちく移植いしょくされ、碧玉へきぎょくのような緑色みどりいろ竹竿たけざお隙間すきまなくならび、ぐにびた姿すがたみどり高壁こうへき形成けいせいしていた。


かべ根元ねもとには石畳いしだたみかれているが、所々(ところどころ)で青草あおくさむらがってている。たけたけあいだからは野薔薇のばらそとからはいり、壁頭へきとうまでつるばしていた。


十五歳じゅうごさい少年しょうねん五十七名ごじゅうしちめいが、いま演武場えんぶじょうなか半円はんえんえがき、中央ちゅうおう学堂家老がくどうかろう注視ちゅうししていた。

これは月光蛊げっこうこ使用方法しようほうおしえる授業じゅぎょうであった。


月光蛊げっこうこ古月一族こげついちぞく象徴しょうちょうたるである。熊家ゆうけ熊力蛊ゆうりきこ白家はくけ渓流蛊けいりゅうこ同様どうようだ。本命蛊ほんめいことして月光蛊げっこうこえらんだものておけ。攻撃こうげき方法ほうほう実演じつえんする。ほか使つかもの注意ちゅういせよ。この遠距離えんきょり攻撃法こうげきほう応用おうようく」


学堂家老がくどうかろう右手みぎてばし、てのひら生徒せいとたちにせた。


「まずねん月光蛊げっこうこ掌中しょうちゅううつせ」 月牙げつが刻印こくいんうでつたっててのひら中心ちゅうしん移動いどうする。


つぎ空竅くうこう真元しんげんそそむ」 銀色ぎんいろかがや真元しんげんほそいと体内たいないからし、刻印こくいん吸収きゅうしゅうされる。三転さんてん蛊師こし特有とくゆう白銀真元はくぎんしんげんだった。


月牙げつが昼間ひるまにもかかわらずあわあおひかりはなつ。「すごすぎる!」「きれい…」 少年しょうねんたちから感嘆かんたんこえれる。


家老かろうてのひら宿やどった月光げっこうかかげながらかたる:「最後さいご発射はっしゃだ」


五指ごしおもむろにじ、うで水平すいへいばし、てのひらとす動作どうさ


シュッ。


あわひかりてのひらからはなれ、幽藍ゆうらん月刃げつじんとなって飛翔ひしょうする。十米じゅうメートルさき草人形くさびとかたくびを30センチのあつさごと切断せつだん断面だんめんかまったように平滑へいかつだった。


月刃げつじんさら六米ろくメートルび、空中くうちゅうえる。少年しょうねんたちは首筋くびすじでながら驚愕きょうがくし、興奮こうふんした私語ささやきがひろがった。


ただ一人、方源ほうげんだけが人混ひとごみにまぎれ、つめたい表情ひょうじょうかべていた。

前世ぜんせ六転ろくてん境地きょうちたっし、中洲ちゅうしゅう血翼魔教けつよくまきょうきずいたかれにとって、三転さんてん蛊師こし演示えんじなど児戯じぎひとしかった。


月光蛊げっこうこ煉化れんかしたものまえよ。草人形くさびとかたを使って月刃げつじん練習れんしゅうをするがよい」

学堂家老がくどうかろうこえおうじて三十五人さんじゅうごにん少年しょうねんれつつくった。


今期こんき五十七名ごじゅうしちめい生徒せいとのうち、丁等ていとう資質ししつ二十二名にじゅうにめい場外じょうがい羨望せんぼう眼差まなざしをけるしかなかった。月光蛊げっこうこ古月一族こげついちぞく栄光えいこう象徴しょうちょう――かれらにはとどかぬ存在そんざいだった。


十メートル間隔かんかく設置せっちされた草人形くさびとかた目掛めがけ、少年しょうねんたちがてのひらとす。青銅真元せいどうしんげんそそがれた月牙げつが刻印こくいん水色みずいろかがやき、七八しちはち月刃げつじんした。


しかしその大半たいはん空中くうちゅうりに――二、三メートルでくずれるもの、方角ほうがくあやまてんくもの。草人形くさびとかた命中めいちゅうするのは偶然ぐうぜん一撃いちげきのみだった。


每年まいとし光景こうけいよ」家老かろう苦笑にがわらいをかべた。


五分ごふん演武場えんぶじょう淡青たんせい月刃げつじん乱舞らんぶする空間くうかんす。空中衝突くうちゅうしょうとつするやいばかべさるやいば――秩序ちつじょなき飛翔ひしょうはるを切りさいいだ。


学堂家老がくどうかろう個別指導こべつしどう開始かいしした。

かれ方正ほうせい漠北ばくほく赤城あかぎといった資質ししつすぐれた生徒せいと重点的じゅうてんてき指導しどうし、姿勢しせいあやまりを辛抱強しんぼうづよ修正しゅうせいし、自身じしん心得こころえ伝授でんじゅした。一方いっぽう方源ほうげんのような丙等へいとう生徒せいとには、わずか二言三言にごんさんごん助言じょげんあたえるだけだった。


方源ほうげんのひらにあおひかり凝集ぎょうしゅうしたまま、数回すうかいむなしくてのひらり、発射はっしゃせずにかたちだけを真似まねていた。混乱こんらん見計みはからい、月光蛊げっこうこ制御せいぎょとき)てのひらをわずかにかたむけて斬撃ざんげき動作どうさおこなった。


目立めだたぬよう、自身じしん正面しょうめん草人形くさびとかたではなく、左斜ひだりなな前方ぜんぽうひとつをねらった。

「シュッ」というおととも月刃げつじんはなたれ、混乱こんらんした中央ちゅうおう地域ちいき直線的ちょくせんてきつらぬき、正確せいかく草人形くさびとかたくび命中めいちゅうした。


草人形くさびとかたふるえ、くび大半たいはん切断せつだんされたが、みどり草茎くさくき急速きゅうそく再生さいせいし、傷口きずぐちもと通り(どおり)に癒合ゆごうした。

この草人形くさびとかた普通ふつう藁人形わらにんぎょうではなく、一転いってん草人蛊そうじんこであり、木草系もくそうけい微弱びじゃく自己治癒能力じこちゆうのうりょくゆうしていた。


くび完全かんぜん両断りょうだんしないかぎり、きず短時間たんじかん修復しゅうふくされる仕様しようだった。


「わっ! いま月牙げつがたか!?」

「すごい! だれはなったんだ?」


草人形くさびとかた命中めいちゅうする月刃げつじん自体じたいまれだったため、方源ほうげんかる一撃いちげきがこれまででもっと顕著けんちょ効果こうかしょうじさせ、場外じょうがい生徒せいとたちから驚嘆きょうたんこえがった。


学堂家老がくどうかろう注意ちゅういかれ、けた:「いま月牙げつが出来できている。おまえはなったのか?」

かれ対応たいおうする草人形くさびとかた管理かんりする丙等へいとう生徒せいとながらいた。


その男子生徒だんしせいとまばたきをらね、突然とつぜん注視ちゅうしされるや当惑とうわくした様子ようすせた。正直しょうじき混乱こんらんした状況じょうきょう月刃げつじんなか自分じぶんはなったかどうか確信かくしんてなかった。


「しかし、多分たぶん自分じぶん仕業しわざだろう…?」少年しょうねんおもみ、無意識むいしきうなずいた。


周囲しゅうい生徒せいとたちはきゅうかれ見直みなおした。

かれだれ名前なまえは?」女子生徒じょしせいとたちがまわりにたずまわった。


やつでも出来できるなら、おれ尚更なおさらけられん!」古月漠北こげつ ばくほく決意けついひかり宿やどした。


兄貴あにき仕業しわざじゃなかったのか…」古月方正こげつ ほうせい理由りゆう安堵あんどいきいた。伯父夫婦おじふうふなぐさめもあり、前回ぜんかい衝撃しょうげきから回復かいふくしていた。


兄貴あにき先回さきまわりの首位しゅい意志薄弱いしはくじゃく月光蛊げっこうこえらんだ幸運こううんぎない。蛊師こし修行しゅぎょううんだけではつづかん。今度こんどこそおれつ」方正ほうせいこころうちみずからをふるてた。


くやった。この感覚かんかくわすれず、練習れんしゅうつづけろ」学堂家老がくどうかろう少年しょうねんかたたたき、微笑ほほえみながらはげました。


少年しょうねん興奮こうふんしてうなずつづけ、あらたなかがやきが宿やどった。


家老かろうはこの機会きかい利用りようし、宣告せんこくした:「全員ぜんいんけ。これが諸君しょくん課題かだいだ。三日後みっかご成果せいか査定さていする。最優秀さいゆうしゅうものには元石げんせき十個じゅっこあたえる。こえたか!?」


「おおー!」生徒せいとたちは元石げんせき報酬ほうしゅうち、大声おおごえ応答おうとうした。


しかしわず三分後さんぷんご空中くうちゅう月刃げつじんかず激減げきげんした。


「ちくしょう…一発いっぱつごとに一割いちわり真元しんげん消費しょうひする」

月刃げつじん消耗しょうもうはげしい。丙等へいとうおれ空竅くうこう三割八分さんわりはちぶ青銅真元せいどうしんげんしかたくわえられん。三発さんぱつ限界げんかいだ」


めた生徒せいとたちは一様いちよう嘆息たんそくした。


学堂家老がくどうかろうはこの様子ようす無表情むひょうじょう見守みまもりつつ、こころの中で感慨かんがいひたった:「これがすぐれた資質ししつ利点りてんよ。月刃げつじん使用法しようほうは『熟能生巧じゅくのうせいこう』の四文字よんもじきる。資質ししつたかければ空竅くうこうたくわえられる真元しんげんおおく、回復速度かいふくそくどはやい。練習機会れんしゅうきかい自然しぜんえる。資質ししつひくくても元石げんせきおぎなえば練習量れんしゅうりょうやせる。しかし資質ししつ元石げんせきければ、意欲いよくはあってもちからともなわん。蛊師こしみちとはこれほど残酷ざんこくなものだ。やはりすぐれた資質ししつもの重点的じゅうてんてき指導しどうするべきだろう」

すみません皆さん最近ちっと気持ち悪いけど

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