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蛊真人  作者: 魏臣栋
青茅山
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第二十節: 学堂家老無言だ

巨大きょだいよろこびも方源ほうげん冷静れいせいさをくもらせることはなく、かれ即座そくざ思考しこう春秋蝉しゅんじゅうせん影響えいきょうてんじた。


春秋蝉しゅんじゅうせん能力のうりょく転生てんせいだ。だが現状げんじょうでは使用しようすなわ意味いみする。しかし六転蛊ろくてんことしての気配けはい利用りよう可能かのうで、本体ほんたい損害そんがいおよばない」


「ふふふ…」思考しこうえると、方源ほうげん意識いしき現実げんじつもどひらいた。


目前もくぜんには、けむじょう青銅真元せいどうしんげんつつまれた酒虫しゅちゅうふるがっていた。


先程さきほど孤軍奮闘こぐんふんとう意志いし春秋蝉しゅんじゅうせん粉砕ふんさいされ、残存ざんそんする意志いし最盛期さいせいきの1%以下いかにまで激減げきげんしていた。


春秋蝉しゅんじゅうせん方源ほうげんねんじると、かすかな気配けはい放出ほうしゅつされた。


酒虫しゅちゅうねこにらまれたねずみごと硬直こうちょくし、うごきをふうじられた。


方源ほうげん高笑たかわらいし、真元しんげん怒涛どとうごとそそんだ。


煉化れんか初期しょきくらべ、青銅真元せいどうしんげんなん抵抗ていこうけず一気いっき浸透しんとう酒虫しゅちゅうしろからだまたたく間に青緑色あおみどりいろまり、残存意志ざんそんいし最後さいご一撃いちげき霧散むさんした。


こうして酒虫しゅちゅう煉化れんか完遂かんすいされた!


以前いぜん山越やまごえのような苦労くろうくらべ、いま煉化れんかみずむほど簡単かんたんだった。


酒虫しゅちゅう方源ほうげんあいだ親密しんみつ神秘しんぴ的なつながりがしょうじた。煉化れんかされた酒虫しゅちゅう方源ほうげん手足てあしごとく、命令めいれい通り(どお)にからだまるめたり湯円タンユェンじょうになったりする。


真元しんげんおさめると酒虫しゅちゅうもとしろふくらんだ姿すがたもどり、空竅くうこうんだ。青銅元海せいどうげんかい表面ひょうめんびとからだをくねらせ、温泉おんせんかるようにくつろいでいる。


春秋蝉しゅんじゅうせんがある以上いじょう計画けいかく変更へんこうせねば」方源ほうげん月光蛊げっこうこを取りし、同様どうよう春秋蝉しゅんじゅうせん気配けはいびせた。


月光蛊げっこうこ意志いし瞬時しゅんじ屈服くっぷくし、青銅真元せいどうしんげん翠玉すいぎょくいろがる。最後さいご抵抗ていこうかる粉砕ふんさいされた。


煉化後れんかご月光蛊げっこうこひたい中央ちゅうおう淡青色たんせいしょく三日月みかづきしるし形成けいせい全工程ぜんこうてい五分ごふんようしなかった。


従来じゅうらい苦戦くせんとは対照的たいしょうてきはやさで、真元しんげん消耗しょうもう極微量ごくみりょう酒虫しゅちゅう煉化れんか六個ろっこ元石げんせきついやしたのにくらべ、今夜こんや空竅くうこう真元しんげん使っただけだ。


春秋蝉しゅんじゅうせんかみ加護かごごとし! 今後こんご一転蛊いってんこなど容易ようい煉化れんか可能かのう丙等へいとう資質ししつでも元石げんせき不要ふようだ」


方源ほうげんこころわたった。春秋蝉しゅんじゅうせん極度きょくど衰弱すいじゃくしていても、六転蛊ろくてんこ余威よい修行しゅぎょう強力きょうりょく推進力すいしんりょくとなる。んだとら威厳いげんのこすというがごとくだ。


このとき

まどそとつきあかるく、方源ほうげんかお月光げっこうしていた。


最下位さいかいだと覚悟かくごしていたが、まさかの逆転ぎゃくてんか。いそごう」方源ほうげんするどひかった。


空竅くうこうなか春秋蝉しゅんじゅうせん姿すがたし、酒虫しゅちゅう寝室しんしつすみかくした。学内検査がくないけんさけるためだ。


一刻後いっこくご家族かぞく学堂がくどう


学堂家老がくどうかろう寝床ねどこでうつらうつらしていたが、ドアをたたおと目覚めざめた。「こんな夜中よなかに、だれだ?」


とびらそとから部下ぶかこえひびいた。「家老様かろうさま今年ことし首席しゅせき月光蛊げっこうこ煉化れんかしました。早速さっそく報告ほうこく参上さんじょうしました」


「……たしかにそうっておいたな」家老かろうまゆしかめながらふくた。「甲等こうとう古月方正こげつ ほうせいか?」


支族しぞくほうきました」


「ふむ、時期じきからえばかれだろう」家老かろうひとごとちながらわらった。「乙等おつとうどもが元石げんせき使つかおうが甲等こうとうにはかなわん。これが資質ししつというものさ」


部屋へやると、部下ぶかが深々(ふかぶか)とあたまげた。「ご明察めいさつでございます」


あかるい広間ひろまで、事務員じむいん方源ほうげんいぶかしげにていた。「え? 古月方源こげつ ほうげんだと? 方正ほうせいさんではないのか?」


ちょうど家老かろうはいってた。二人ふたり同時どうじれいをすると、家老かろう方源ほうげんかたたたいた。「よくやった! 甲等こうとう実力じつりょく伊達だてではないな!」


双子ふたご兄弟きょうだいのため、家老かろう完全かんぜん勘違かんちがいしていた。


方源ほうげんしずかに後退こうたいし、微笑ほほえみながらった。「家老様かろうさまわたし方源ほうげんです。おとうと方正ほうせいではありません」


「……は?」家老かろうくちなかけたまままった。


数秒すうびょうかん沈黙ちんもくあと、ようやくこえた。「おまえ方源ほうげん?」


「はい」


月光蛊げっこうこ煉化れんかしたと?」家老かろう方源ほうげんひたい三日月みかづきじるし凝視ぎょうしした。


「そのとおりです」


「つまり……今年ことし首席しゅせきはおまえだと?」家老かろうこえ呆然ぼうぜんとしていた。数十年すうじゅうねん教師きょうし人生じんせいで、丙等へいとう甲等こうとう逆転ぎゃくてんするなどはじめての体験たいけんだ。


方源ほうげんはなさわりながらこたえた。「ほか先駆さきがけたかたがいなければ……そういうことになりますね」


家老かろう:「…………」


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