340.旅団の次の目的地を決定しました
探索の準備を終えた後はぞろぞろと事務所へと移動。
事務所といっても蒼天の剣みたいにものすごく大きなビルではなく、どこにでもあるような商業ビルの一角。
まだまだ人数は少ないし基本は家とダンジョンの往復なので重要視しているのはあくまでもセキュリティのみ、事務所には小さなキッチンと打ち合わせ用の部屋それと全員がくつろぐげるリビング的な場所しかないシンプルな間取りになっている。
「さて、とりあえず今後について話し合うわけだが・・・。ぶっちゃけ稼げたらどこでもいいってのが俺の意見だ」
「ざっくりしてるなぁ」
「そりゃ毎月400万の支払いだからな、毎日コツコツ潜れば達成できる額だけどたまには休みたいし買い物もあるから稼げるときにしっかり稼がないと」
「そうなると梅田ダンジョンなら泉のダンジョン一択になっちゃいますね」
「稼ぐという意味ではそうなるね、でも毎日あそこはちょっとなぁ」
旅団としての今後の方向性について打ち合わせをしているわけだけど、今の俺にあるのは金の事だけ。
そういうと聞こえがあれかもしれないけれど前々からそんな感じだったので彼女達敵には特に問題はないようだ。
とはいえ泉のダンジョンばかりに行くと飽きてくるもの、ということで遠征も兼ねて新しいダンジョンを探索しないかという話になってきた。
確かに近辺のD級やC級ダンジョンはそこそこ制覇してきている。
淡路島はまだそこまでだけど、あそこは収入面であまりおいしくないんだよなぁ。
人気がないわけじゃないけれど目立って高価な素材が落ちるわけじゃない。
となると城崎ダンジョンも選択肢に入ったんだけど、泉のダンジョン同様毎日潜り続ける場所ではない。
なによりあの灼熱地獄に潜るのは体力的にもしんどいわけで。
「え、そんな所まで行ったら日帰りできなくなっちゃうけど本当にいいの?」
「いいも何も目的はローンの返済だからなぁ」
「せっかくのタワマン生活がわずか一週間・・・和人君がそれでいいならいいけどさぁ」
須磨寺さんの言いたいことはわかるけど、ただ寝ているだけで金が入ってくるような人生ではないのでやるべきことはやらないといけない。
それでもあの家に帰るというモチベはしっかりと残るし、それを維持するために必要なことをただ黙々とやるだけだ。
「それじゃあ次はどこに行くかですね、稼ぎが多い素材といえば需要がある物もしくは強くてなかなか手の出せない魔物からとれるものですけど・・・」
「あとは宝石系もねらい目だよね!鉱石を掘るのは大変だけど魔物がドロップする分は別でしょ?」
「ジュエルスカラーべみたいなやつか?」
「そうそう!」
「でも確率系はしんどくないですか?せっかくマジックバッグもあるんですし、確定でドロップするのを積み上げた方が確実だと思いますけど」
須磨寺さんの発想も間違いじゃないし七扇さんの指摘も的確で正しい。
金儲けに近道はないとはよく言うけれど、俺もどっちかっていうと七扇さんと同じ考え方だ。
一発充てるのは嫌いじゃないけれどそれは余裕があるときの話であって、まずは毎月のノルマを達成しつつそういう事が出来ればいいよなぁ。
「つまりその両方を満たせるようなダンジョンがあればいいわけだな?」
「素材が美味しく一発も狙える、でもそんな場所があったら梅田ダンジョンのようになってますよね」
「んー、それだとぶっちゃけ梅田でいいわけなんだよなぁ」
「じゃあ強い魔物が稀に出てそれを倒せたら素材が美味しいっていうのは?」
「ふむ、運ではなく実力で稼ぐわけか。ドラゴンとか?」
「さすがにドラゴンとは毎回戦いたくないですけど、偶にぐらいなら」
ある程度実力がついてきたとはいえ勝てない相手がいるダンジョンには潜りたくない。
あくまでも安全に戦えること、さらにこの条件を加えて導き出されるダンジョンなんて・・・。
「それなら北海道とかどうですか?」
「ん?北海道?」
「ダンジョンもそれなりにありますし場所によっては条件を満たすところもありますよ。時期的に寒くありませんし、大道寺グループの保養所もあるのでそこを使えば滞在費もさほどかかりません」
「北海道!ジンギスカン!回転ずし!ラーメン!」
「食道楽かよ」
「えー、でもせっかく行くならそういうのも楽しみたいよねぇ」
別に観光で行くんじゃないんだからと思いながらも折角行くならそういうのを楽しむのも悪くはない、毎回大道寺グループのお世話になるのは申し訳ないけれどお金を貯めるのに使えるものは使わないとな。
「なら次は北海道のダンジョンってことで、とはいえマジで広いぞ?」
「気楽に西から東に移動はできませんからある程度密集しているところを狙うのがいいかもしれません。E級は流石に簡単すぎるのでD~C級が集まっているところでいいですか?」
「そうだな、とりあえずまずは札幌近辺で探すか」
「なんだかんだ言って和人君も遊ぶ気満々じゃない」
別にそういうわけじゃないけど、折角ならメジャーどころを押さえておきたい。
ただし何か月もっていうのは流石に無理なのでまずは一か月と時間を決めてダンジョンを走破、稼ぎがよければまた現地に戻ってというプチ遠征を繰り返すことになる。
あくまでも所属は兵探連、あまり離れすぎると木之元さんが寂しがるのでこっちはこっちでしっかり仕事をする必要がある。
なにより新居には帰りたい!
「ということでダンジョンの選定は桜さんと七扇さんに任せていいか?」
「はい!」
「お任せください、相場を勘案して探しておきます」
「じゃあ僕は?」
「もちろん仕事だ、一週間なまってたしとりあえず御影ダンジョンで肩慣らしをしたいからついてきてくれ」
調べ物をしている間にゴロゴロしている時間はない、申し訳ないけどリルとルナにも手伝ってもらってしっかり稼がないとなぁ。
スキルストックも使い切ってしまったのでそっちの補充もしたいところ、補充スキルでマックスストックのバフ系は残してあるけど普通のスキルは空っぽだからなぁ。
「はぁ、ゆっくりできると思ったのになぁ」
「十分ゆっくりしただろ?」
「まぁね、でも和人君を手伝うんだから今度は和人君が僕を手伝ってよ?」
「そりゃ構わないが何させるんだ?」
「それはまた今度ね。とりあえずどこから潜る?」
何やら含みのある言い方だが、今まで世話になっているだけに何かあるのなら喜んで手伝おう。
須磨寺さんが今の体になったのも原因は梅田ダンジョン、それを解決すればもしかすると元の姿に戻れるんだろうか。
でもなぁ、そうなると七扇さんが大丈夫か心配なんだよなぁ。
まぁなるようにしかならないだろうけど。
「最初はファットボアを目指して四階から六階、それから十階層に移動して九階層にもどりつつ十二階層でスキルを回収して時間があれば十五階層ってところか」
「多い多い、せめて低階層だけにしようよ」
「調べ物が一日で終わるわけないだろ?ってことだから二人とも後はよろしく」
「頑張ってね綾乃ちゃん」
「うぅ、凜ちゃんに見捨てられた・・・」
「そういうの良いからしっかり働くぞ。桜さん今日の飯はステーキだから、コメの準備よろしく」
「わかりました、行ってらっしゃい和人さん!」
行ってらっしゃい、そういってくれる人がいるとやっぱり気分が違うな。
さて次の目標に向けての下準備だ、しっかりと稼いで見せようじゃないか。




