6 俊介くん、神様スイッチが、入っちゃいました
その塔のデザイン。その美しさに、僕は、我ながら見惚れてしまった。
そして、思った。
この塔を普通の街に創りたくはない。
この世界の街の景観。前の世界に比べたら、どの街も均整のとれた美しい街に再構築されている。
例えば大阪。
世界連邦帝国の首都として、前の世界に比べたら人口はとても増えたし、大宮殿だけでなく、首都として必要な多くの施設が
建設された(僕が神様として、必要な施設、作ってね。と願っただけだけど)。
同時に、首都としても品格を持った美しい街にしてね、とも願ったので、前の世界での猥雑さはどこへやら。
これが大阪か、というような、調和のとれた街に変貌した。
でも、都市は、大都市ともなれば、何百万、時には一千万を超す単位での人びとが、そこで暮らす。
必然的に、過密にならざるをえない。
その街に、高い塔とそれに伴う付属施設が建てられる。
それらの建造物を含めて、また、街の景観を美しく再構成するとしても、過密であることは免れない。
その中で、宗教的権威を持つとしたら、他の施設を圧する高さも必要とされるだろう。
でもあまりに高い塔は品がない。
僕は、そう思った。
その塔は、それが建てられるに相応しい場所に建てよう。
今、その場所がないのであれば。
創ればいい。
僕にはそれができるのだから。
僕は、世界地図を取り出した。
どこに創るか。
既存のものではない、広大な土地。
太平洋だ。
ここに広大な陸地を創ろう。
気候はどうしようか。
温帯、亜熱帯。熱帯。それらの土地は人間くさく成りすぎるように思う。
人を寄せ付けない森厳な土地。
寒帯、冷帯、せいぜい冷温帯までにしよう。
北緯80度から、40度あたりまで。
ひとつの陸地にするか、列島にするか。
僕の視線は世界地図の中の日本列島の姿をとらえた。
日本列島の海岸線が形作る姿。その列島の姿は、なんと美しいのだろう。僕は、少年時代からそう思っていた。
デザインとして、これほど美しい形を持った国は他にはない、
僕は、そう思っていた。
では、新しく創るのは、列島にしよう。
島の数は?
僕の好きな数字は、11あるいは、17。
17にしよう。
列島の合計面積は、700万平方キロ以上ほしい。
日本の約20倍。
カナダやアメリカ合衆国の約8割。
それらの条件を満たして、僕は、17の島々のひとつひとつが、そして、それらが形作る全体像が、日本列島以上の美しさとなるようまとめてデザインした。
総人口は・・・、百万人もいれば充分だ。
そして、その住民は、僕が創る。
人として、最高を極めた人びと。最高の頭脳。最高の美を伴った容姿。何の欠陥もない、静かで穏やかで、愛と優しさで溢れた人びと。
列島は、神秘的・幻想的・夢幻的美しさの自然景観を持つ。
円錐形の美しき独立峯。
高き峰々が連なり形作る、美しき稜線。
雪嶺。
どこまでも透明な青き湖。
いと高きより、細く、垂直に落下する滝、その瀑布。
そして、数万人を越えることのない街。
天を摩することなく、人を静かに見おろす塔。
大地は森林に覆われ、樹々は凛烈たる生気を放つ。
清らかな冷気。
荘厳なる光。
十七の島々を包む、深き青をたたえた・・・海。
神、創造せし、列島の名は
僕の脳裏にひとつの色彩が浮かんだ。
最も高貴な色。
そう列島の名は、
ロイヤルブルー。 青の列島。
島の名前は・・・シンプルでいい。
北から順番に
ロイヤルブルー1(RB1)
ロイヤルブルー2(RB2)
・・・・・・
ロイヤルブルー17(RB17)
僕は、人間としての田中俊介がだんだん薄れて、
神様のウェイトが高くなってきたようだ。
超神教か。その名、耐えられなくなったな。
ロイヤルブルー。 それでいい。
そう、塔は、ここにしか創らない。
ロイヤルブルー。 青の列島。
いと高き神聖は
いと高き思想は
いと高き芸術は
いと高きひとだけのものだ
僕は神。
僕は・・・酔ってしまったのか。




