↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
視線の重なりでできた日常  作者: ゆら。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/20

最終話 ただ隣に


放課後。


夕方。


光、斜め。


自販機前。


ふと止まる。


急にジュースが欲しくなる。


並んだ缶を眺める。


少し考える。


ガコン。


結局、いつもの。


青木、少し笑う。


顔を上げる。


鞄を持った雨宮が通りかかる。


青木

「……今帰り?」


雨宮

「うん」


自然に隣。


いつもの距離。


青木、缶を見る。


今、自販機で止まらなかったら。


たぶん、

会ってなかった。


青木

「……最初さ」


雨宮

「うん」


青木

「こんなの、

 ただの偶然だと思ってた」


雨宮

「偶然ではあると思うよ」


青木

「でもお前、

 “寄る”って言ったじゃん」


雨宮、少し考える。


雨宮

「……うん」


缶、軽く回す。


青木

「最近さ」


青木

「分かるんだよ」


雨宮

「何が」


青木

「欲しいって思うと」


青木

「そっち行く」


小さく笑う。


青木

「自分で」


風。


静か。


雨宮

「……うん」


青木

「で、行くと」


青木

「たまに、寄る」


雨宮、視線を落とす。


少し遅れて、

瞬きをする。


青木

「……だからさ」


雨宮、青木をチラッと見る。


目が合う。


距離が少しだけ近い。


青木、少し笑う。



青木

「俺、

 ここまで来るの結構頑張った」


雨宮

「うん」


即答。


青木

「そこ即答なんだ」


雨宮

「ちゃんと寄せに来てたから」


青木、少し止まる。


少しだけ照れる。


青木

「……それ、

 言い方ちょっと恥ずい」


雨宮

「そう?」


青木

「そう」


風。


髪が揺れる。


沈黙。


でも、

もう困る沈黙じゃなかった。


青木、ジュースを開ける。


一口飲む。


青木

「で」


雨宮

「うん」


青木

「お前は?」


雨宮

「何が」


青木

「寄せてたのか」


雨宮、少し考える。


いつものみたいに、

順番に整理する。


きっかけ。


変化。


距離。


理由。


でも。


途中で止まる。


続きを探すみたいに、

雨宮の視線が少し揺れる。


雨宮

「……分からない」


青木

「ふーん」


責めない。


雨宮

「最初は、

 見てただけだった」


青木

「うん」


雨宮

「でも」


間。


目が合う。


雨宮

「気づいたら、選んでた」


青木、止まる。


ほんの少しだけ。


雨宮、自分で言ってから、

少し遅れて黙る。


青木

「……それ」


雨宮

「まだ、いい」


青木

「何が」


雨宮

「そのままで」


青木、少し黙る。


青木

「……そっか」


青木、笑う。



遠くでチャイム。


いつもの音。



雨宮、空を見る。


青木、隣にいる。


何も確定していない。


でも。


ここまで来た流れを、

偶然だけとは思えなかった。


青木

「まぁ」


小さく笑う。


青木

「来る時は来るんだろ」


雨宮

「……」


少し遅れて、

雨宮が視線を落とす。


否定しない。


沈黙。


青木、

その反応を見る。


一瞬だけ、

息を止める。


それから。


口元が、

少しだけ緩む。


でも、

笑いすぎない。


缶を持ち直す。


指で少し回す。


落ち着かないみたいに。


青木

「……そっか」


歩き出す。


並ぶ。


同じ速度。


夕方の影が、

少しだけ近づく。



   ー視線の重なりでできた日常・終ー


この二人「待つ時間」という作品(未投稿ですが)にちょこっとですが友情出演予定です(^^)


そちらもよろしくです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。