赤ずきん
キャラの名前がイソノとナカジマですが、二人ともあだ名です。
本名は園井と中嶋 (なかしま)です。
ナカジマは友人であるイソノと一緒に彼の部屋でマンガを読んでいた。
ナカジマは読み終わったマンガを閉じると、一度目を閉じて何か考え込む。
眉間に力を入れていたナカジマは、おもむろに目を開いて友人へ視線を向けた。
「イソノ、赤ずきんちゃんって知ってるか?」
「唐突にどうした。それ読み終わったならこっちに回してくれ。これもうすぐ読み終わる」
「あるところに、赤ずきんというかわいい女の子がいました」
「始めるな」
「ある日、赤ずきんは母親にお使いを頼まれて亡き祖母の墓参りに行くことになりました」
「祖母を殺すな。その段階では生きてるだろ」
「赤ずきんは森の中を歩いて祖母の家に行きました」
「森の中に墓があるのか?」
「コンコン。こんにちは、おばあさん。具合はどう?」
「生きてた! 墓参りはどうした!?」
「ちょっと風邪をひいただけさ。たいしたことないよ」
「迫真の演技やめろ。笑う」
「おばあさん声が変よ? なんだかいつもより低いわ」
「あれ? やっぱ死んでる?」
「風邪で喉を傷めてしまってねぇ。赤ずきんちゃん、よかったら家で休んでおいき」
「狼に食われてるんじゃなかったっけ?」
「おじゃまします。あら? おばあさんいつもより体が大きいわ。どうしたの?」
「体の大きさより顔を見ろ。不審者だぞ」
「赤ずきんちゃんを抱きしめるために大きくなったのさ。さあおいで」
「頭からガブリって食われるやつだ」
「おばあさん、なんで私をベッドに引っ張るの?」
「赤ずきんちゃん逃げて!」
「それはね、お前を性的にいただくためさ!」
「急に生々しくなるな!」
「お婆さんは送り狼になって、赤ずきんは食べられてしまいました」
「お婆さんはどうした!? っていうか、急に小芝居を始めるな!」
「イソノ」
「なんだよ」
「この本、カバーと中身が違うぞ」
「!? ぅおおい! 早く教えろぉ!」
ナカジマがカバーを外すと、彼らの年齢で所持をするのはちょっと問題がある肌色が多めの漫画がポロリした。中身は童話を元ネタにしたそこそこハードな本だった。
「いい趣味してるよ」
「うおおお!! 見るなぁ!」
イソノは光の速さで本を奪い、即座にベッド下へアンダースローで投げ込んだ。勢いよく飛んでいった本はボゴン! と段ボールにあたったような鈍い音を立ててベッド下へ消えていった。
「続きが出たら貸してくれ」
「貸さねーよ!」
彼らは今日も仲がいい。
補足:イソノが持っていた肌色多めの本は、大学生のいとこが同棲することになり慌てて避難させたものです。一時的に預かっているだけで、イソノの所持品ではありません。
違うカバーをつけていた理由はお察しください。いとこの許可はあります。




