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1-26.異世界転生?

ぼーっとしていた。

どうやらいつの間にか起きていたらしい。

いつ起きたのかなんて覚えていないが身体が自分の物だと戻ってくる感覚がある。


軽く腕や腰を回してみる。…異常なし。

背が伸びたかなと少し上がった目線に気付いた。身体も少し筋肉質になっている。

もしやと思い慌てて姿見に駆け寄ると自分とは思えない誰かが立っていた。


「身体が…、なんか変わるとか言ってたけどこれがそうなのか。」


身長も身体付きも別の物になってるんじゃないかと思うくらいには大人っぽくなっているが特に違和感は感じない。

強いて言うなら以前感じていた重さがなくなり身体が軽くなったと思うほどだ。

髪の色なんかは変わってないがよく見ると右眼が蒼くなり瞳が濁っている。

試してみたが見えていないわけじゃないようだ。別にそれ以外に違和感もないのだがどうも自分を見ている感じがしなくて違和感というよりも気持ち悪さが若干ある。


「だからって変わりすぎじゃないか。いや、不満はないのだが」


何故か服も変わっていないのだが。

むしろイケメン度は前より断然上がっているのでこれはこれで良し。


「おはようございます。ようやくお目覚めになられましたか。」


えっと…、確かミレイさんだったか。

記憶の中にある姿形と一致したので軽く会釈を返す。


「おはよう。ミズホとエミリーは?」


そういえばあの二人はどこにいるのだろうか。

どうあれ心配してそうな気がするが、気配すらないというのはどういうことだろうか。


「ダンジョンの方に帰られております。」

「あれ、なんか急ぎの用事でも出来たのか?」


そこまで長い間眠っていたとは思わないんだが。

むしろ、ずっと起きていたんじゃないかとすら思っているのだが、ミレイさんの反応的に怪訝そうな雰囲気はない。やはりずっと寝ていただけだと判断していいだろ。

問題はどれくらい寝ていたかと言うことだが。


「説明が後となり申し訳ございません。ご主人様はあの時より約一月程お眠りになられていたのでお二人は待機のためあちらに戻られました。」

「一ヶ月も?! その間ダンジョンの方は大丈夫だったのか?」


一ヶ月眠りっぱなしという話は驚きと共にダンジョンの事が心配になった。

彼処は今、絶賛混乱中ではなかったろうか。あんまり放置していても良いものでもなかったような気がするのだが。そんな時に自分はのんびりと眠りこけていたらしい。


「鎮圧の方でしたらミズホがご主人様と合流なされたときには既に終わっておりました。モンスターのリポップに関しましても以前同様変更などはございませんのでそちらも問題にはなっていないかと。」


心配は杞憂に終わったようだがそれよりもサクラから聞いていた話からするとあんまり時間がない気もする。


「えーっとそうじゃなくて、勇者が来るかもって話だよ。そっちはレーラから聞いてないのか?」

「ふむ、勇者ですか。レーラは知っておりますか?」


反応的にミレイさんの方は勇者が来るという話は聞いていないようだ。

この事が後々って展開はないだろうが。

それにこの屋敷から長い間離れることが出来ない彼女からすれば聞いたところで意味がないんだろう…?……。

いや、なんだろうかこの違和感。まぁいいか。


「一応前に話したときに言ってはおいたけど。」

「その時はなんと?」


なんと言っていたろうか。

すぐに対処しなければならないような自体ではなかったはず。

あぁ、思い出して来た。そんな昔のことでもないはずなんだが、なんでこんなに以前の事がボヤッと靄が掛かっているのだろう。


「撃退したことはあるから大丈夫だろうとは言っていた。もしかしてヤバかったりするのか。」


ともかくミレイさんからの見解が知りたい。

レーラは大丈夫だと言っていたがもしかすると見当が甘い可能性もある。

意見は多く聞いておいた方が動く時に手が広がる可能性だってある。


「……いえ、彼女がそう言うのでしたら問題は無いでしょう。心配でしたらレーラの状態を確認なされてみれば?」


だが返答はどちらも一緒のようだ。

俺が来るまでの間、たぶん何年かなん十年か、ダンジョンの事に関してはレーラが管理していたという話は聞いている。

それだけレーラはダンジョンの事に関してだけなら任されているのがわかる。


それはわかっているのだがどうしてもどこかシコリが残っているような、首の後ろでなにかが這っているような気持ち悪さが残る。


「レーラとは契約してないんだ。あとシーシェも。」

「……そうですか。あの二人はそちらを選んでしまわれましたか。」


彼女たちとは何故か契約の話をしたことがなかった。

二人とも以前の主人を大切にしているように思えたしこちらからするべき事じゃないと思ったから俺も自分から契約の話をするのを躊躇ったからだ。


それを後悔してなどいない。

だがミレイさんは表情など変えもしない人形ではあるが、どこか寂しそうにポツリと零した。


彼女は、もしかすると彼女たちは……、


「時にご主人様、体調の方に問題はございますか?」

「…? いや、むしろ身体が軽いくらいでビックリしてる。」


思案している中、割って入るようにミレイさんから言葉が入り込んで来る。

身体の方はヤケに快調である。

それこそこれまでの身体が嘘だったように軽い、今ならなんでも出来る気がする。

とは行き過ぎた感じもするがそれだけ今の身体を動かすのに不自由を感じないのをわかってもらいたい。


「ご主人様は今、擬似的ではありますが冒険者となっております。彼らの権限を一部使用することが出来るように、例えば契約なさった魔導具の使用やお自身のステータスの確認程度ではございますが。」


ミレイさんの言うとおりなら俺の立場は現在は冒険者というわけだ。

使い方もなんとなくだがわかる。

片手を前へと突き出し意識をそちらへ向けるとウィンドウが開いた。


────────────

name[シュウ]

job[剣士]

str[15]

dex[18]

vit[14]

agi[13]

int[16]

mde[10]

luk[15]

skill[]


level[1/65]

hp[46/46]

mp[0/0]


契約印[1/16]

マナ残量[6812094]


進行状況[チュートリアル]

────────────


「うわ、マジだ。…って、ステータス低いな。」


比較対象がいないからなんとも言えないがとてつもなく低いのはわかる。

表記がちがうからなんとも言えないがミズホたちと比べたら月とスッポンどころの話じゃない。

こういうのは覚醒したりしてめちゃくちゃ強くなってますという展開ではないのだろうか。

俺の転移した世界は理不尽である。


それにしても進行度ってなんだ。

チュートリアルって事はなにかすることでもあるんだろうか。


「権限が許可されただけですので。身体的な変化はただのおまけのようなものでございます。」

「色々期待したんだけどなぁ…。」


ミレイさんの言うようになんらかの方法で冒険者の権利をもらい形だけステータスに表示されているだけであまりこの数値すら信用がない可能性もあるわけだ。


他には、マナ残量は徴に貯蓄されているマナの事だろう。前見たときよりも増えてはいるが寝ている間に溜まった分が増えているとする、契約印もミレイさんと契約したから表示されてると考えると…あれ、やはり他の数値も正しいと考えるべきか。


どう言い繕っても俺がクソ雑魚なのは変わりがないようでせっかく希望を見出した分余計に泣けて来た。


「まぁいいか。とりあえずそろそろダンジョンに帰るよ。」


うん、深く考えるのは止めよう。

もうステータス欄も開きたくないし見たくない、やめだやめ。


くそぅ、俺も異世界転移で無双する世界に行きたかったなー!


「了解致しました。ではこちらに。」


心の中でいくら叫んでも事実が変わるわけでもなく。

ミレイさんも特にこちらへの反応もなく、機械のように綺麗なお辞儀をしてみせると部屋の外へ行くよう促してくる。


「こちらの扉をくぐっていただければ奥間の方に転移する事ができます。」


廊下を進んでしばらく、何の変哲もない他の物と特に変わりのない扉の前にやってくるとガチャリと扉を開いてみせた。

中は普通に他の扉と同様、部屋があり内装がある。とてもダンジョンの方に続いているようには見えない。


からかっているのだろうかと、手を扉の先に潜らせて見ると扉から先に出た途端に自分の腕が消えた。

ただし切れたりしたわけでもなく繋がって動いている感触もちゃんとある。そのまま身体ごと潜らせてみるとその先では風景が一変しダンジョンらしい岩肌が見えるし身体も五体満足で存在している。


見た目にはわからないようにしてあるがちゃんと部屋とダンジョンは繋がっていてビックリした。

なんとも不思議だがカモフラージュの一つなんだろう。


「それじゃあ行ってくるよ。」


確認のためだけであったが一度潜ってしまったにしてもこのまま行ってしまうのもなんだか味気ない気がした。

一度扉を通して戻ってみるとこちらを見届けたと踵を返しているミレイさんを見つけた。


何故戻ってきたのだろうかと小首を傾げる素振りを見せる彼女はなんとも人間らしい動きをしていてなんだかかわいく見えた。


挨拶はしっかりとして行こう。こちらに振り向いた彼女を見て軽く手を振り言葉を掛けるとまたお手本のようなお辞儀をしてみせた。


「はい、いってらっしゃませ。」


いつもの彼女と変わりなく最低限の抑揚のみの機械的な言葉が耳を打つ。

なんとなくではあるし、こちらの勝手な思い込みではあるのだろうがその言葉は嬉しそうに聞こえた。

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