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1-2.エラー発生、再起動します。

なにやら水晶に向かって作業しているみたいだが、いったいなにをしているだろう。

あっ、こっち見た。


「……ん? 起きたみたいよ。レーラ」


「そうみたいですね、予想よりも1時間以上早い結果です。」


気付かれたらしい。

なぜか手招きされているがこれは断っても良いんだろうか?


……よくわからないことも多いし、行った方が得ではあるだろ。

見ている感じ敵意がとそういうのがあるわけでも無さそうだし。


近寄ってわかったがこの二人見た目から人間ではなかったらしい。

一人はわかりやすく山羊みたいな角に黒いコウモリみたいな羽が生えている、

そしておっぱいが大きい(重要)。

よくあるサキュバスとかその辺だろうか?

もう一人は肘と膝で手足が離れてる。なんとも妙にメカニックな身体をしている少女に見える、こっちはさっぱりわからない。


「おはよう?いらっしゃい? どっちでも良いわ、とりあえず説明とかめんどくさいからこれに触って貰える?」

「いえいえ、流石になんの説明もなしに巻き込むというのは契約違反となります。まずは説明から始めさせて――」

「それだと時間掛かるじゃない。とりあえずやらせてそれから決めれば――」

「ですから……、」


なにやら言い合いを始めてしまった。

これはしばらく埒が明かないだろうな、

ともあれ説明を聞くにしろこれは乗っておいた方が良いだろうな。


どうせ右も左もわからない場所なんだし、それなら巻き込まれてしまった方が楽だろう。


大きさからして自分の背と同じくらいのサイズ、

色は中心か淡く青い発光をしていて、表面からはよくわからない文字が浮かんでは消えていっている。

見てる限りだと同じ紋様が浮かんで、その後ろになにかの文字が出ては消えるを繰り返しているらしい。


「まぁいいか。えっと、触ってみれば良いんだよな…?」


横の二人はまだなにか論争しておりこっちのことはもう気にもなっていないようだ。


ピタッと手を水晶に重ねてみる。


――ブウゥゥゥゥゥンッ――


あ、知ってる。ブルースクリーンエラーとかでいきなりHDDが止まる音だ、これ

つまり、これは物凄くヤバいのではないか。


「あーっ!! なにやってんのアンタ!」


「いや、触ってみろって言われたもんだから触っただけなんだが、やっぱり不味い?」


「不味いなんてもんじゃないわよ! 私達じゃ操作出来ないし…どうしよう、レーラ」


お姉さんの方はすごく慌てている様子だが、

たしかに重要そうな物って感じではあったものな。

なんかこう、ネトゲのアプデしたらPCぶっ壊れた的な背筋の寒さとか胸の圧迫感をお姉さんから感じる。

わかる、すごくわかる、原因が明らかに俺だけど。


「これは確定的にシーシェが悪いですね。ですが、まさか稼働停止するとは予想外です。」


「ちなみにこれってなにをするものだったんだ?」


こっちの、レーラ?という子もシーシェさんほどではないが焦っているようだけど、

今の状況が危ういという以外わからない以上、

こちらも今どうなっているのか説明してもらえないとわけがわからない状況だ。


「……えぇ、はい。 そちらも含めてアナタが喚ばれた理由をご説明いたしましょう。」


しばらくの沈黙の後、こちらを見てようやく口を開き説明を始めた。――


――――――――――――――――



「――、なるほど。確かに今ここがすごく危険な場所っていうのはわかった。」


掻い摘んで説明すると、ここは先日まで魔王が住んでいたダンジョンらしい。

現在は老衰によって死去したものの、管理自体はこの水晶の形をした管理用魔道具が自動的にやってもらえるらしく現状維持だけなら問題はなかったとのこと。

そして最近、仕掛けられていた罠やモンスターハウスなどの数も限界を迎えてきており、

その内攻略されるだろう、というのが二人の問題。


とりあえず、なんで俺が選ばれたかは置いておくとして現状を打開するために自分を呼んだというのは納得は出来ないが理解は出来る。


そしてこっちがダンジョン全部の問題。

なにやらあの水晶、召喚したモンスターなどにある程度だが行動を制限する効果があるらしく、

同じモンスター同士で殺し合ったり、上層に上級のモンスターが行って冒険者の攻略が困難にならないよう制御しているらしい。


つまり、その制御装置が停止したということは気性の荒いモンスターやいるだけで害悪になるようなモンスターが俺を襲いにやってくる可能性が高いとのこと。


ちなみに、シーシェさんとレーラは自分が生き残るだけなら問題なく、俺はその戦闘の余波だけで確実に死ぬらしい。


外に出るための転移なども水晶が停止しているため不可能らしく、すでにツンデレ(詰んだ、出れない)状態。


「そういうこと、わかった? シュウ」


あと、自己紹介は終わっていて、

シーシェと呼ばれているお姉さんがクイーンヴァンパイア、吸血種では最上位の一人で、

レーラと呼ばれているター◯Xよろしくなメカニック女子の種族はゴーレム種の特異体でスピリットゴーレムというそうだ。

どちらも名前が付けられている時点で魔力など他の同一個体よりも高くダンジョンに関してある程度の権限や独立した知性を持っているらしい。


他にもこういった"名前付き"の個体はいたらしいが魔王の死去後、倒されたり離れたりしたそうな。


「よくわかったけど、俺はどうすればいいんだよ。このまま死ぬなんて御免だぞ。」


「とはいえ、私達は守護特化型でもないのでアナタを守ることは不可能ですね。水晶も止まってますし戦闘が始まれば大人しく死んでください」


「そうそう、私達にコロコロされないだけマシと思いなさいな。さて、どうしようかレーラ、」


これである。二人は水晶が止まったことが問題であって俺は眼中にない、

というよりは他の魔物より理性的な分、あえて生かされてるだけの状況だ。


事実、ほとんど蚊帳の外で二人はまた話し込んでしまっている。


……ふと、ポケット入れていた携帯が鳴ったのに気付いた。


「ん、さっきのアプリか。これ?」


電波は繋がっていないはずではあるが、

先程のアプリのインストールが終わったとの通知が来た。


二人は変わらずこちらには目もくれず今後の話をしているし、慌てふためくのも癪だし。


とりあえず、起動させてみるか……。

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