第14話 エピローグ
「へー、そんなことがあったのかい。大変だったね」
レキエスはハムのようなものを食べながら、そう答える。
「全部お前のせいだろ!!おめーが送り込んできた人間のせいでこっちは死ぬところだったんだぞ」
メフィストフェレスはレキエスにけたたましく迫る。
場所はレキエスの小屋の中のバーカウンターだ。
レキエスはメフィストフェレスの苦情をさらっと聞き流しながら、コップでワインを飲む。
「へー、そんなことがあったのかい。大変だったね。」
「繰り返すな!エコーかお前は。」
「まぁまぁ、これでも飲んで、今、君が飲むべきワインだよ。」
レキエスはそう言って、コップにワインを注ぐ。
「なんだそりゃ。そのワインのラベル。」
メフィストは気になった。そのラベルが、どー考えても、下手だったからだ。
レキエスのワインは全て瓶もラベルもレキエスのハンドメイドだ。
業者が印刷したような整ったものではないが、手書きで凝った装飾や絵を刻んでいる。
しかし、これは明らかに歪んでいる。レキエスの作るものでは無い。
「ああ、これは報酬さ。」
「報酬?」
メフィストはそう言いながらワインを飲む。お椀で。
メフィストは飲んだワインに驚く。お椀で飲んでいるのだが。
「美味いじゃないか。このワイン。」
「酸味が強く出たからね。酸味が強いと、肉に合うんだ。」
レキエスは、焼いたハムをつまみに、ワインを飲む。
「報酬か、」
この件でメフィストは何を得たのか考えた。
そう、知識だ。
邪神の卵の中、あれを見た時の衝撃、千年は無かったな。
四大天使の全力も見れたし、サタンの力を垣間見ることもできた。
それを知れたのは、知識欲が満たされるという意味では非常に満足している。が、
二度とごめんだ。とも思った。サタンに睨まれ、邪神の卵の中で死にかけ、世界が滅ぶ寸前、
悪夢としか言いようがねぇ。
出されたハムを食べ、ワインを飲む。
出されたハムは塩味が強い金華ハムだった。
それを軽く焼いたもの。焦げが生み出す複雑な旨味、苦み、脂。
それに酸味の強いワインが絶妙に合う。そこに、渋みが全体の味を引き締める。
旨い。これは旨い。
メフィストは、知識欲の充実に満足しながら、ワインを楽しんだ。
終わり。




