最終論考 ギルドの消滅
こんばんは。こんなどうでもいい論考に付き合ってくれてありがとうございます。なろう世界にある冒険者ギルドとはどういう存在なのかという妄想をいろいろと描いてみましたがどうなったでしょう。
冒険者ギルドとは、世俗の貴族や王族の修業の場として高貴な人材も吸収しつつ、村々の余剰人材も取り込んで巨大化し、権力とのかかわりの深い組織であり、そして中世の行政の整備されていない町々の中でギルド職員として大勢を雇用しているようです。冒険者をサポートする仕事を通して社会における様々な階層の人々、例えば医者や鍛冶屋などとのパイプもあるでしょう。
そして魔物退治をはじめとした武力を必要とした仕事や商人や貴族・王族や他の人々からの幅広い仕事を請け負い、それをギルド内部の優秀なスタッフ(官僚といえるレベルではないか) が処理していく高い事務能力を持っており、さらに魔物退治などの素材を商流を確保して売買を行っている、つまり政治経済において重要な役割を果たしているといえるでしょう。
さらにさらに様々な仕事をしている関係で素材や資金を保管する倉庫を持っていると思われます。この資金をそのまま保管するとは思われず、さまざまに投資などを行っている可能性があります。
なろう世界における描写を統合していくとこのような組織体でなければ成り立たないと思われ、そしてこれくらい巨大な組織であればそれを維持する資金も莫大でしょう。この組織を使って様々に物語を彩りを加えることができそうです。
普段なんとなく見ている冒険者ギルドというのは想像以上に高度な組織である可能性が高いです。仕事の範囲を見るとそこに必要なスタッフの技量というかスキルも冒険者をやっているほうが楽な部類の仕事もあるかもしれません。
さてこの組織が許されているのはなぜでしょうか。高い組織力を持ち、高度な事務能力を保有し、王侯貴族や商人とパイプがあり、医師や鍛冶屋などの社会に重要な仕事をしている彼らともつながりを持つ。そして何よりもすさまじい武力を保有する「冒険者」を大勢確保している冒険者ギルド。
社会に必要といえば聞こえはいいですが、反面政治経済に深く結びつきすぎてしまうことで様々な摩擦があり得るでしょう。そしてそれはあくまで中世という行政の未発達な状況での黄昏なのかもしれません。ギルドは滅びる、どのように滅びるか勝手に想像していきましょう。
① 国家権力の増大による衰退
冒険者ギルドというものが存在するのはあくまでそれに対抗する権力側がそれに利用価値があるからという側面があります。基本的に封建社会のような世界における互助組織としてギルドは存在している側面が強いのです。実際に我々の歴史でも中世から~近代においては常に国家、いわばナショナリズムの成長期でした。
例えば明治維新のころに大陸国家「清」から留学生を大勢受け入れましたが、彼らの中には国名が不明というかバラバラに答えたという話があります。国名は「清」だろという話ですが、それはあくまでも東洋的国号であって今の我々が私は日本人ですという「日本」とはまた違う語感でした。同じ土地に住んでいても同じ国民という意識は近代以前は今よりはるかに薄いわけです。
国家という共同体が形作られていく中で権力や武力は収束していきます。そうすると気ままに武力を持ち経済力のある冒険者ギルドという存在を許しておくわけにはいかないわけですね。また、魔法技術が発達あるいは我々の世界のように銃器類が発達すると冒険者にわざわざさせるよりも軍隊やそれに準じた組織に治安維持や魔物退治をさせるようになるでしょう。
ギルドという組織が社会に担っていた仕事は近代の中に消えていく可能性がありますね。
また、冒険者ギルドは歴史上の似ている組織があります。それは「テンプル騎士団」と言われる組織です。彼らは中世ヨーロッパにおいて聖地を奪還した後に結成され、巡礼の保護とのために武装した騎士団ですね。彼らはその力で活躍しましたが滅びました。
なぜか?
テンプル騎士団というのはその勇名と信頼において多くの人々の寄付を受けたり、あるいは現金等の輸送任務をしていき高い財力を保有することになりました。もちろん「彼らから見て」異教徒との戦いも行いましたが、だんだんと金融機関としての力をつけていきました。
前の論考に書きましたが金をそのまま持っていてもだめなのです。何かに投資しなければ意味がありません。現代の銀行預金にだって多少金利がありますね? テンプル騎士団は集まったお金を土地などの経営に投資し莫大な財産を築きました。おお、冒険者ギルドと似てそうですね。
そこに目を付けたがフランス王です。テンプル騎士団の団員を一斉に逮捕して異端審問にかけて財産を没収し、責任者を処刑しました。彼らの財産はフランス王に転がり込み、さらにフランス王はもともと「テンプル騎士団から金を借りていた」わけですから、借金がそのまま消えました。
中途半端な武力は国家権力の前では無意味に消し飛ぶという事例のように見えますね。冒険者ギルドは冒険者を抱えていますが直接的な雇用ではありません。王の軍団が襲えば壊滅されるでしょう。冒険者ギルドを守ろうと冒険者が思うかどうかは別です。
時の権力者に財政的支援をしていればお金を貸していてるくらい助けているのだから、などにはならず債権者が物理的に消えれば借金も消えるという冷酷で乾燥した事実が人を動かすわけです。
余談ですが古代ローマのカエサルは凄まじい額の借金をしていましたが、彼が権力確立の過程で彼に金を貸していた人たちが彼を助けました。そら、金を貸しているカエサルが死ねば金を貸している人たちが困るわけです。お金の貸し借りというものは貸してたらえらい、借りてたら下のようなカイジ世界になるかどうかはわかりません。
冒険者ギルドは巨大になりそこを時の王などに目をつけられたら、その財産を没収することに魅力は常にあるわけです。ギルドの最後の話を書けるならだれか書いてもいいかもしれません。
② 発展的解消
あるいは国家権力とうまく付き合ってギルドが別の形で生き残ることもあるかもしれません。流石に武力保有は無理でしょうから別の形と思われますね。
どういう風になるのでしょうか。個人的には私の作品では「銀行」説をとっています。
多くの商人や王侯貴族と付き合いがあるなら金の融資は当然しているでしょう。また、素材集めのための金庫や倉庫はかならず整備されているはずです。銀行のない世界で蔵のある組織とはそれだけで価値があります。
冒険者ギルドは冒険者という大勢の人間のお金を扱っています。そこでいちいち報酬を全額手渡ししているとかなかなか難しいと思われます。これは小切手、つまり手形や割符のようなものが発展して報酬化していく気がします。それをギルドに持っていけばいつでも現金化できるわけで、一時的にギルドがお金を預かるわけですね。これは銀行口座のようになるでしょう。冒険者カードに自分の預金を記載するようになるかもしれません。
現金ではなく小切手などが出回るようになるこれはもう金融の大発展につながります。これは信用創造という現代の管理通貨制度の重要な……なんてことはどうでもいいのですが、前に言った通りくそ重たい金属貨幣はギルドに預けて軽い手形あるいは紙の証文などが商売で行き来するようなるでしょう。
そしてギルドのもとには大量の現金が残ります。彼らの発行した手形で勝手に商売している商人たちをしり目に。ギルドにある金を全額引き出そうとするものがない限りは手元にある金はさらに誰かに貸して、投資を行います。ちなみに! この方式は現在では行われません。現在の銀行はお金を貸すときに現金で貸すわけではないからです。そもそも誰かの預かり金を勝手に誰かに貸すってやばいでしょ? 私有財産を存分に横領するわけですからね。
ごほん
それはそれとして冒険者ギルドは銀行の前身としてのスキルを大いに持っていると思います。受付のお姉さんたちも高い事務能力を持っているわけですしね。資本力もある。倉庫もある。商人たちのパイプもある。そして国家権力との摩擦を避けるためには武力は捨てていく必要があります。
さて、この私のくだらないお話に長々付き合っていただき誠にありがとうございました。いくつかテーマを作ればもう少しかけそうな気もしますが、最後は滅亡と発展を比較して考察をしてみました。繰り返しになりますがこの論考内容に書かれていることについては使えるものはどう使ってもらっても構いません。
悪辣なギルドでも整然とした素晴らしい組織体であるギルドでも、冒険者たちが苦しんでいる場合でもあるいはしっかり福利厚生が考えられていたりしたり。そしてギルドの職員たちの様々な仕事でもなんでも、誰かのネタにでもなれればいいのかなと思います。
それでは!




