Sad Echo編3
第三十二話 敵か味方か
アシリアに手を引かれてやってきたのは、宝の隣のフロア。
さっき岩を渡る前は見えなかったのに、なぜかこっちでは見える。
床はそのまま石が敷き詰められており、殺伐とした雰囲気だった。
「野宿したっぽいところだね」
「そのままよ。逃げた直後、ここで野宿したの」
「じゃあ宝の力はここを隠すためってこと?」
「いいえ」
アシリアは落ちていた手帳を拾い、ここと宝のフロアの間に落ちていたランプを拾い上げた。
「ヘラがいたらマッチ使わなくてよかったのになぁ」
と呟いてからマッチでランプに火を付けた。
ランプのガラスにヒビが入っていたので、少し光り方がおかしいが……ちゃんと光っている。しかし、優しい光とは言いがたい。嫌な気がするからだ。
「それ、何て書いてるの?」
「あなたたちには読めないでしょうね。地球では使われていないもの」
「ってことは宇宙語ってやつ?すごい!商人ちゃんならわかりそうだね」
「かもね」
ペラペラとめくっていくアシリア。
とあるページを見つけたあと、オレの方へと向けた。
「こんなものだけど、私の行動を信じてほしいの」
「どれどれ。あ、やっぱ読んで」
「……」
オレでもわかる。絶対「あんたね……」って言いたいんでしょ!?
……そんな目を向けられたが、優しいアシリアは読んでくれた。
「『◯月□日、三隻の船に囲まれた。三隻ともお父様の部下だ。メリアはさすがに来なかったらしい』」
「メリア?」
「仲良かった女の人。今頃怒ってるだろうなぁ……」
アシリアは悲しそうな顔をした。
それほど仲が良かったのだろう。
「どんな人なの?」
「私の世話係だったの。昔はアルカディアに住んでたらしいんだけど、オリオンにスカウトされて……というか、半分脅されて来たらしいの」
「アルカディアって、あのアルカディア!?」
「そうよ」
アルカディアは最初に向かった星だ。
あそこではやばい女の人が宗教を開き、民をコレクションと称して皆殺しにしたと……。
「じゃああの聖女さんが活動する前にオリオンに行ったの?」
「えぇ。彼女は優しい人で、牧場を開いていたの。飼ってたのは主に牛だったそうよ。でも、その牛を脅しに使われて……それでやむを得ず……ってね」
「他のアルカディアの人は?」
「半分くらいはオリオンに来たわ。オリオンが手を引いたのは、その聖女さんが出てきたあとよ」
ここで、もしかしてと頭を働かせる。
聖女さんは悪役を演じて他の人を守ろうとしたのかなと。
あのゾンビたち、全ての民にしては少なすぎた気もするし……。
まさか……ね。
「でもメリアは挫けなかった。ずっと愛してきた牛を忘れないために、光線銃に牛のキーホルダー付けてたのよ」
「いい人なんだね」
「最初に言ったじゃない」
そう言って手帳を閉じる。
そしてずいとこちらに寄ってきた。
「な、なに……」
「私のこと、信じてくれる?」
宝からの光がひときわ強くなる。
これが……ここでの試練?
「ふふっ、何言ってんだよ」
「笑わないで。私は本気なのよ」
「当たり前だろ!何のためにこんなところまで来たと思ってるの!アシリアはオレたちの仲間……友達だろ?」
「!」
アシリアの瞳の中の星がキラリと輝いた。
「最初からアシリアを信じてる。だから、こんなところを出て早く行こ?」
「……うんっ」
__________
目も開けていられないほどの白い強い光だった。
宝の台の後ろに隠しボタンでもあったのか、ゴゴゴゴゴ……と音を立てて壁が横にスライドしていく。
俺と月光は顔を見合わせて夢じゃないかと確かめ合った。
「ムジナ……やったのか?」
「姿は見えないけど、異変は起きたようだね。とりあえず構えておいたほうが……」
「いや、大丈夫っぽいぞ」
いつからそこにいたのかはわからないが、宝の前にムジナとアシリアが『出現していた』。
「あ、開いた!にっひひー、ただいまー!!」
ムジナがいい笑顔で両手を上げ、ゴールテープを切るかのように駆けてくる。だが……。
「うわぁ!?」
期待を裏切らないというか、ドジなのか……。とにかく、ムジナは足を滑らした!
「……って、あれ?」
「まったく、世話がかかる子供だよ」
「月光さん!」
いつの間にか帯を締め直していた月光がムジナを前から抱きかかえていた。
カランと景気のいい音を鳴らし、浮いている岩の上に降り立つ月光。
笠と着物と足元から照らす光で、この世のものとは思えないほど美しく、目を奪われた。
「何ボーッとしてるんだ、ヘラ。ほら、ちゃんと支えて……次、行くよ」
「あ、あぁ」
ムジナを引き渡してもらい、月光はアシリアも迎えに行った。
「ヘラ、早く早く!置いてっちゃうよ!」
「もう、一体誰のせいだと思って……」
「ふふーん……オレ☆」
「開き直ってる!!!」
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




