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バレンタインデー (リーナ6歳)






ヴィル様と会ってから、1年が経ちました。毎日、毎日ヴィル様にひっつき虫のようにくっついて行動しています。


今日もヴィル様を探していると、家で働いている女性の侍従の方たちが集まって会話をしていました。


「今年は買うか、手作りか悩みます~」


「本命なら手作りじゃないの?」


「あまり作るのが得意じゃないんですもん!」


「なら、大通りの店のチョコとかいいんじゃない?」


「そうですね!あそこなら素晴らしいものが売ってますものね~」


「チョコってなあに?」


「「「お嬢様!!」」」


侍従に近づいて声をかけると、皆とても驚いていました。


「どおしてそんなにおどろいてるの?」


「い、いえ、誰も居ないと思ってたので...ウ、ウィルさんでなくて良かったです...」


「?」


最後の方が聞こえなくて、首を傾げると皆「何でもないです」と首をふりました。


「あ、そ、それよりチョコですよね?」


「はい!なんでチョコのはなしをしてるのですか?」


「それはですね、今度バレンタインデーがあるからですよ」


「ばれんたいんでー?」


「はい、バレンタインデーは好きな異性にチョコを渡す日なのですよ」


そんな日があったことに驚きましたが、私はヴィル様にチョコをあげようと思いました。


「ヴィルさまにチョコ、わたします!!」


「そうですか、きっと喜ばれますね」


「はい!」


その後、チョコは、「手作りは気持ちがこもっていて良いですよ」と言われ、手作りにすることにしました。


バレンタインデーまで一週間、私は手作りのチョコのお菓子を作るために、キッチンに通うことにしました。


チョコはヴィル様とお父様とお兄様に作ることにしました。バレンタインデーの日にサプライズで渡したかったので、キッチンに通うことは秘密にすることにしました。




3日間は何事もなくキッチンへ通っていましたが、今日は朝からヴィル様が部屋にやって来て、キッチンへ向かへません。


「ヴィルさま?きょうなにか、ありましたか?」


「何もないですよ。最近カリーナ様が会いに来てくださらないので、今日は私から会いに来ましたよ」


「そ、そうなんですか~」


笑顔を作ろうとして、失敗してひきっつてるのが分かりました。


「どうかしましたか?」


「い、いえ、なんでもないですよ~」


「そうですか」


ヴィル様の笑顔が少し怖かったですが、ごまかすために、頑張って笑顔を作りました。


今日はキッチンへ行くのは諦めて、ヴィル様と過ごすことにします。


次の日は昨日の遅れを取り戻すようないきおいで、料理長からお菓子づくりを教わっています。


そして、夕方には終わらせヴィル様のところへ向かい夜はヴィル様と一緒に過ごします。それを前日まで続けました。




そうして、いよいよバレンタインデー当日です。今日はお父様もお兄様も家にいる予定なので、一緒に夕飯を取る約束をしています。


私が今回作ったバレンタインデーのチョコはフォン・ダン・ショコラです。


夕飯の時に出せるようにお昼ご飯を食べた後直ぐにキッチンに向かいました。


「きょうも、よろしくおねがいします~」


「はい、カリーナお嬢様。今日は本番ですから頑張って下さい‼」


「はい‼」


横で料理長に教えてもらいながら自分で作って行きます。お菓子作りは力仕事が多いので、とても大変です。


「後は焼くだけですね」


「はい‼たのしみです‼」


焼いている間、私はオーブンの前から離れませんでした。


待っている間とてもいい臭いがして、凄く待ち遠しかったです。


「そろそろ大丈夫でしょう。出すのは危ないので私がやりますね」


「はい‼ありがとうございます‼.....どうですか?」


「おお、とても良い感じにできてますよ‼」


「ほんとですか? わぁ、おいしそう~これでよろこんでもらえますかね?」


「はい、大丈夫ですよ‼」


「そろそろ、お夕飯の準備をした方が良いのではないですか?」


「あ、ほんとうです‼」


「飾りつけは私がやっときますね。では、お夕飯の時にこちらをお出ししますね?」


「はい‼おねがいします‼」


料理長に飾りつけをお願いして、部屋に戻り、着替えてから食堂に急いで向かいました。


食堂に着くとお父様達はすでに席に着いていました。


「おくれて、ごめんなさい」


急いで席に着くと、お父様達は「大丈夫だよ」と言って下さり、ほっとしました。


「なんだか、今日はご機嫌だね?なんか、あったのかい?」


「ふふふ、ないしよ~」


手を口に当てながらそう言うと、隣に座っているお兄様が抱きついて来ました。少し苦しいです。


「おい、ずるいぞアレク!」


「残念でしたね、あー可愛い」


それから、お兄様は私に抱きついたまま、お父様と言い合っていました。ヴィル様はそんな中笑っています。


そろそろ耐えきれなくなったころに、お兄様の腕を叩いて意識を私に向けさせました。


「うん?どうしたんだい?」


「お、おにいさま、くるしいです」


「ああ、ごめんね」


そう言いながら、お兄様は離してくれました。そのタイミングで、食事が運ばれ、ご飯を食べ始めました。


ご飯が食べ終わり、後はデザートだけになりました。


料理長が運んでくる合図をされたので、私は立ち上がりワゴンの方へ向かいました。


「リーナ?どうした?」


「ちょっと、まっててください‼」


そうして、料理長からワゴンを受け取り、まずはお兄様、次にお父様、最後にヴィル様の前にフォン・ダン・ショコラを置きました。


「きょうは、バレンタインデーで、すきなひとにチョコをわたすひだときいて、わたしがきょうのデザートをつくりました。よかったら、たべてください」


「これをリーナが作ったのかい?凄く上手だね。嬉しいよ」


「この上に乗ってるチョコプレートの文字もリーナが書いたんだね。いつもありがとうって、こちらこそありがとう」


「カリーナ様ありがとうございます。私も大好きですよ」


「.....はぁ!!何言ってる‼」


「いや、チョコプレートに大好きと書いてあるので私もお礼を...」


「ちょっといいかな、ヴィルテイト君?」


お父様とお兄様にはチョコプレートにいつもありがとうと書きましたが、ヴィル様には大好きですと書きました。


それを聞いたお父様とお兄様はヴィル様を連れて、部屋から出ていってしまう感じになってしまいました。


「あ、おとうさま、おにいさま、ヴィルさま、たべてくれないのですか?」


「い、いや、ごめんね、食べるよ」


食べてくれないのかと泣きそうになったしまいました。ですが、そんな私の声にお父様達は戻って来て、席に着いてくれました。


「「「じゃあ、いただきます!」」」


「はい‼」


みんなそれぞれ一口食べて、笑ってくれました。


「どうですか?」


「美味しいよ!」「美味しい」「美味しいです」


「わーい、ありがとうございます❗よかったです‼」


その後、みんな食べ終わり、それぞれ「ありがとう、ごちそうさま」と言って下さいました。


そうして、私が寝る時間になるまで一緒にいて下さり、楽しい時間を過ごしました。


バレンタインデー頑張ってよかったです。























カリーナが寝た後


「いいかい、ヴィルテイト君。リーナに大好きと言われたからって私達がいることを忘れてはダメだよ?」


「そうだよ、調子に乗らないでね?」


「は、はい‼」


ヴィルはこの時初めて、カリーナが関わったときの二人の怖さを知りました。



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