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魔の山  作者: こたつぬま
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魔境

あたしは猿飛空さるとびそら15才。

クライミングの天才である。

友だちからはサルって呼ばれてる。

子供の頃から高いところに登るのが大好きで木登りをしていた。

大人でも登れないようなものすごい高い木にも登った。

最初の枝が高すぎたので家にあったロープを枝に引っかけたのだ。

木登りは創意工夫である。

岩壁に登ることに興味を持ったのは7才の頃だ。

テレビで岩壁をすいすい登ってるクライマーを見て興味を持った。

それで近所のクラミング施設に通うようになる。

人工的な岩壁だと物足りないから近所の山にある岩壁にもよじ登った。

両親はあたしが山に興味を持つことに大反対だったけど、道具なしで素手で登って落下して怪我したらクライミングに必要な道具を一式買ってくれた。

学校から帰って毎日、あちこちの山に登った。

週末はクライミング施設にも通う。

ハーケン(岩の割れ目にロックハンマーで打ち込み、安全確保の支点や手がかり・足場とする鉄製のくさび状の道具)を打つのが楽しくて仕方なかった。

あたしは14才でクライミングの世界大会で優勝する。

天才少女としてテレビやCMにも出演したし登山雑誌にも乗った。

登山関連企業のスポンサーもつく。

おかげで登山の費用が稼げて海外の名山に遠征できた。

世界のクライマーの憧れアメリカ・ヨセミテ渓谷(カリフォルニア州)も登ったよ。

世界中あちこちの岩壁によじ登った。

あたしは背は低いけどバネがあるし運動神経はめちゃくちゃいい。

体重が軽いから握力や腕力がそんなになくてもひょいひょい岩壁を登れる。

ボルダリング大会にも出たことあるけどスピードクライミングで圧倒的な速さで優勝した。

体力温存のためにもすばやく登るほうがいい。

時間かけるとそのぶん体力を削られるからね。

登山家としての名声を手にしたあたしは未踏ルートに挑戦することにした。

未踏ルートとは過去に誰も登った記録がない、あるいは公式にルートとして認定されていない未知の登山コースのことだ。

あたしは人喰い山と呼ばれる富山県・獅子牙岳ししがだけに狙いをつける。

山容は獅子の牙のように鋭く尖った岩峰で古くから登頂禁忌の山として有名だ。

今まで1000人以上の遭難者を出した魔の山である。

急峻な岩壁、天候の激変、冬季はドカ雪と呼ばれる大量の降雪が発生してしかも崩れやすい地質により雪崩が多い。

話を聞くだけで身震いしてしまう。

もちろん武者震いだ。

獅子牙岳を制覇した登山家はいっぱいいるけど、大物の未踏ルートが存在する。

獅子牙岳の最難関ルートである獅子牙尾根の厳冬期初登攀げんとうきはつとうはんだ。

ベテランでも恐れをなす厳冬期にこの最難関ルートを制覇したものはだれもいない。

獅子牙尾根とは獅子牙岳の西側に位置し千尋せんじんの谷という急峻な谷に囲まれた非常に険しい尾根の名称だ。

厳冬期の獅子牙尾根は人智を凌駕する神の領域だ。

このルートは神が登頂を拒む神からの挑戦状なのだ。

このルートに挑むのは生きるか死ぬかの大博打と言える。

人喰い山の餌食となるか生きて栄光を手にするか。

命を賭けた挑戦に笑みがこぼれ体の芯からメラメラと闘争心が燃える。

あたしは人生のクライマックスを15才で迎えたい。

あとは落ちていくだけでもいい。

人間の体力は徐々に確実に衰えていく。

歳を取れば人は保身に走る。

責任が増え選択肢が減り自由気ままに生きられなくなる。

きっと命が惜しくなる。

無鉄砲が許され無責任に命を賭けられるチャンスは今しかない。

気力だけじゃなく肉体的にも充実している。

花を咲かせるのはいまだ。

この機会を逃せば再びこれほど頑丈な肉体を作れる気がしない。

毎日毎日鍛えに鍛えた登山に特化した肉体だ。

とはいえ魔の山に1人で挑むほど命知らずじゃない。

あたしはすでに目星をつけてある有能な人材を仲間に引き入れるために行動を開始した。



参考文献 YouTube【幻の厳冬期初登攀】富山県登山届出条例を犯し、世間を欺いた剱岳・剱尾根への挑戦そして全員遭難

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