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第四話「耽美の開花」

今回は短いですが、濃厚な百合となっております。

―――――森の地下の基地



私たちが今住んで居る基地は、森の地下にある部屋。

ここは、「魔術の森」の建物があるところと同じ森の中である。

私たちは、魔術の森に研究を協力する人となっているのだ。

同時に、魔術の森に身の安全を確保してもらっている立場でもある。

いざとなったら、面倒ごとは魔術の森がなんとかしてくれるのだ。


「ひろみ、遊園地に行きたいな!」


さくらは、ここに住むようになってから、ほぼ毎日のようにどこかに遊びに行く。

私が起動装置によってダメージを受けてから、私は体力が無くなってしまったので、さくらが一人で遊びに行くことも多い。

さくらは、いくら魔術で体力を回復できるとはいえ、たまには休んだほうがいいと思った。


「さくら、昨日もその前も、遊びに言ったじゃない。今日くらい、ここでゆっくり過ごしましょう?」

「私は、一日一日を大切にしたいの。」


さくらは誕生日を迎えたばかりで、今は十三歳。

まだ人生の先は長いはずだ。


「もう。さくらは十三歳になったけど、まだ若いのよ。」

「うん・・・。」


さくらは、何かを隠しているような表情で頷いた。

最近のさくらは、どうも何かを隠しているように感じる。


今日は部屋でごろごろすることになった。

しばらく床に横になっていると、二人とも体の力が抜けてくる。

そこで、私はさくらに問い詰める。


「ねえ、さくら。さくらは、私のことをどう思っているの?好き?」

「好きだよ。ひろみは、私のことどう思ってるの?」

「えーっと・・・」

「好きなんでしょ?恋人として。」


私はさくらのことが好きなのだ。恋人として。

でも、私は二十歳で、さくらは十三歳。


「うん。さくらのことが、恋人として好きなの。でも、さくらはまだ十三歳だし・・・ 二十歳の私が、さくらにこんな感情を抱いていいのか分からないわ。」

「ひろみは、いつから私のことが好きなの?」


さくらも薄々気付いていたのだろう。

でも、私には分からなかった。

気がついたら好きだったのだ。


「二十歳は、何歳下まで認められるの?」

「えーっと・・・ 四、五歳?」


自信なさげに答えている自分が嫌になる。

ただでさえこの回答は、さくらを傷つけているというのに。


「二十歳が十三歳に恋したら、ヘンタイだから?」

「まぁ・・・ そんな感じね。」

「私は、ひろみがヘンタイでも構わないけど。」


ここまで言われると、どうしようもない。

私は、さくらに想いを打ちあけることにした。


「最初は、私はさくらの保護者になりたかったの。」

「それ、本当?」


間違いない。最初は、そうだった。


「でも、さくらの幼いのに凛々しいところ、わがままなのにしっかているところ。そして、小動物のようなところが、私の恋心をくすぐったの。」

「私には、最初から恋心は少しはあったように思う。」

「え、でも、それじゃあ十二歳の私が六歳のさくらを・・・?」

「だって、ひろみはヘンタイだもん。」


さくらは、こんな私を受け入れてくれようとしているのだ。


「さくら、もしかして私と接しずらかった・・・?」

「そんなことないよ。恋に気付いたのは最近だし・・・」

「そっか、なら良かったわ・・・」

「ひろみは、私に恋してもいいんだよ。」

「え、うん・・・。」

「私も、ひろみのことが好きなの。だから、ひろみも気にせずに私に恋してほしい。」

「ごめんね、さくら・・・。」


あまりの情けなさに、泣いてしまう。


「もう、泣かないでよ、ひろみ。」

「ごめんね、ぐすっ。でも、さくらの気持ち分かってあげられなくて・・・ ぐすっ。」

「ひろみ、笑顔みせて。」


今、笑顔なんてできない。


「もう、ひろみ、ヘタクソ。」


私はさくらから顔を背け、壁に向かって思いっきり泣いた。



それから、三十分は経っただろうか。

さくらが、とても悲しい顔をしている。


「さくら、悲しませちゃったね。ごめんね。」

「いや、そうじゃなくて・・・ なんでもない。」


最近のさくらはなんか変だ。

何か隠し事があるのは違いない。

何かあるなら、私に話して欲しかった。


「ねえ、さくら最近変よ?何か隠してるよね。隠してるなら、教えてほしいな・・・。」

「やっぱり、話したほうがいいよね・・・。」

「話したくないこと?」

「分からない。話したくないけど、話さなきゃいけない気がするの。」

「じゃあ、話して、さくら。」


さくらが決意を決めた表情をする。

私は息をのむ。


「お母さんが教えてくれたんだけど、私は二十歳くらいまでしか生きられないらしいの。」


えーっと、お母さんは桜の木だったはず。

でも、あの時言っていた、「ちよ」って人・・・

あの人が預言者か何かなら、さくらの寿命も分かるかもしれない。


「寿命が分かるなんて、お母さんは預言者なのかしら?」

「そうじゃなくて、私の遺伝子が他とは違うから、20年しか生きられないの。」


遺伝子が違う・・・?

たしかに桜の遺伝子を持っているけど、見た目は完全に人間だ。


「さくらは、人間だよね?見た目も心も。」

「ひろみは、犬の寿命を知ってる?」

「えっと、十五歳くらい?」

「うん。そして、人間の平均寿命が百二十歳。そして、私の遺伝子では、寿命がニ十歳なの。」


納得はできた。

でも、突然そんなことを言われても実感が湧かない。

いくら成長が早いさくらとはいえ、まだ見た目は十三歳の少女なのだ。


「うっ、ぐすっ・・・」

「さくら・・・。」

「私、死にたくないよ・・・!」

「さくら、落ち着いて・・・。」


私はさくらを抱きしめ、優しく頭を撫でる。


「やだ!やだやだ!ぐすっ。ひろみとお別れなんて、やだよ!」

「さくら・・・。」


さくらは本気で泣くので、これが事実なのだということを実感させられる。

私には何もできない。

無力だから、さくらを救うことはできない。



―――――出来る限りのことを本当に尽くしたの?



救うことはできなくても、できる限りのことをするだけだ。

私は、私にできることをする。


さくらが落ち着いた頃、私はさくらに提案をする。

明後日、ここから徒歩二時間ほどの所にある公園にデートに行きましょう、と。


そこには、悠久の湖という名の湖がある。


はるか昔、とある男と女がいた。

女は病気で長生きできないことが分かっていたが、この湖の近くで二人が口づけを交わしたところ、女神の加護によって女の病気は治り、二人は長生きして永遠の愛を紡ぐことができたという。


つまり、その湖の近くで口づけを交わした二人は、永遠に続く愛を手に入れることができる、という伝説があるのだ。

この世に永遠など存在しない。

でも、今は伝説に頼るしかなかった。


永遠は存在しない。でも、信じるものは報われなければいけない。

これが、古代の大魔術師が残した哲学だ。



―――――デートの前日の夜


「ひろみとキス、するんだよね。キスのしかた、分からないな・・・。」

「私もしたこと無いのよ。でも、愛に身を任せれば、きっと上手くいくわ。」


その日はなかなか眠れなかったが、恥ずかしさのあまり、手をつなぐことしかできずに眠りについた。



―――――デート当日



六月なので、周りには六月の植物が生い茂り、六月の花が咲き乱れていた。


「これはコスモスだよね?こっちの赤い花はなに?」

「これはハイビスカスよ。花言葉は、『新しい恋』。」

「新しい恋・・・ これから、私たちは、その・・・」

「そろそろ湖に着くわよ。」


さくらはまだ十三歳だから、深いキスはまだ早いかな・・・?

いや、そんなことはない。

永遠を手に入れるためなのだ。

精一杯のキスをしよう。


「さくら、準備はいい?」

「うん、ひろみ、お願い。」


私は、左手をさくらの背に当てる。

そして、右手をさくらの頬に当てる。

右手の親指で頬を軽く撫でた後、さくらのもう片方の頬に軽くキスをする。


そして、私は一旦引く。


「これで終わり?」

「そんな訳無いじゃない。本番はこれからよ。」


右手をさくらの左肩に当てる。

そして、左手をさくらの頬に当て、唇同士を軽く触れさせる。

さくらの顔は真っ赤だ。

私はどんな顔をしているのか分からない。


そして、唇同士を強く重ねた後、さくらの唇の中に舌を入れる。


「んっ!」


さくらが驚く。可愛い・・・。

さくらが引こうとするが、負けずにキスを続ける。

私がさくらに舌を絡めると、さくらは不器用に舌を絡めてくる。


これが、永遠ね・・・

幸せな時間は、心の中ではかけがえのないものとなる。

二人の中では、この時間は永遠の物だった。


私が顔を離すと、絡まった唾液が糸を引いて溢れる。

さくらの頭を優しく撫でると、さくらが更に求めてくる。


「ひろみ、もっとお願い。」


そして、私は再びさくらに唇を重ねた。

ついに、残るは後二話となりました。

五月中に完結目指して、頑張ります!

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