果てしないハイレベルの死闘
「爆炎!」
「大魔波動!」
初代魔王と2代目魔王は立て続けに大きな呪文を使った。
初代魔王の『爆炎魔法』は非常にレベルが高い。
半径4メートルの程の爆発する光の弾が、まばゆく目がくらむ閃光と共にスパルダスの体で爆発した。
その場を支配するような大爆発で、勿論爆風はキッド達の所に吹き飛ばさんばかりに来た。
火花と煙がスパルダスを覆い尽くさんばかりに飛び散る。
同時に2代目魔王は、大きな手を広げて『大魔波動』を放ったがこれは波動による物理的ダメージを与えた上に相手の能力を下げる効果がある魔王固有の能力である。
また意外に消費エネルギーが少ない。
同時攻撃が決まり、2代目魔王は言った。
「どうだ、我々の連携攻撃は!」
キッドは言った。
「これが魔王の同時連携攻撃、何て威力だ」
スパルダスが答える間もなく、さらに3人目の魔王は詠唱し『素早さ上昇』『防御上昇』の効果魔法を魔王全員にかけた。
3人の魔王の能力が20パーセント程上昇した。
「くっくっく、3人とも能力を上げたぞ!」
スパルダスはむすっとして言った。
「ふん、今までの動きがのろすぎるぐらいだ」
「強がるな!」
怒った初代魔王たちはさらに大技攻勢に出た。
初代魔王は2本の角から怪光線を放ち、2人目魔王は口から酸を霧状に吐き出した。
酸はこれまでに魔王が吐いた直線状攻撃ではなく霧状に極めて広範囲の前方に向かって吐き出され避けるのは困難だった。
スパルダスはまた無言の防御姿勢で頭と顔をひじや上腕で覆い、かつ表情まで隠し効いているのかを見せなかった。
これがプライドなのだろう。
肉体は酸も跳ね返すのかはたまた焼けるのか。
キッドは聞いた。
「魔王たちは今は中島のコントロールでなく悪の心で戦っているんですか」
ロゼオムは答えた。
「うむ、目的や思想は違えど基本は両方悪だしかも我々の手におえんほど強い。だからどちらが生き残っても大変な事となる。もう魔王は中島君のコントロール下ではない。自身の悪の意思で動いているからだ」
キッドは再度言う。
「こうして成り行きを見るしかないのか」
ロゼオムも言った。
「共倒れしてくれるのが一番だがな。元々は冥王達を倒すのは我々の力では無理だから魔王の力をあてにしたが、今はコントロールが効かない」
3人目の魔王はワニ顔の中にある人間型の顔からストロボの様な一瞬だけぴかりと光る光線を出した。
素早さも上がっておりこれはさすがにスパルダスもかわせなかった。
キッドは聞いた。
「スパルダスは反撃しないんですか」
ロゼオムは答えた。
「そこが不気味な所だ」
2体目魔王は様子を伺うようにスパルダスに言った。
「どうした反撃してこんのか?」
魔王としては実は効いているのか不安な気持ちもあった。
だがあくまでもスパルダスは『こんなものが効くか』とばかりに焼けた体で薄ら笑いで見下した。
体は焼けていても。
焦げたため体温と周囲の温度が上がっていた。
強がりもあるだろうが強がりだけではない。
「君たちはどうせ力がなくなって自滅するんだろ? それを待ってるのさ」
「なめるな!」
挑発に怒った初代魔王は肉弾戦を挑むため向かって行った。
初代魔王はスパルダスに太い腕、鋭い爪で殴り合いをしかけた。
さらに2体目魔王は距離を取り向きを変え、巨大な尻尾を運ぶように動かし、唸りを上げるほどの勢いで尻尾を振り上げスパルダスを攻撃した。
放たれた大蛇の様な尻尾はついにスパルダスに巻きついた。
首以外を縄のように締め上げ圧迫した。肉体をがんじがらめにされスパルダスの体がぎりぎりときしんだ。
キッドは言った。
「あいつがひるんでる?」
さらに初代魔王は翼を広げ空を飛び動けなくなったスパルダスに空中体当たりをした。
凄い勢いだった。時速300キロメートルほどの飛行速度か。
さらに翼の衝撃波もある。
遂にスパルダスはこれをまともに正面から食いもんどりうって倒れた。
「あいつが倒れた!」
キッドは驚いた。
「よし今だ!」
カノンは魔導人の光線をスパルダスに向けて撃ちこれが命中した。
「多勢に無勢は嫌いだけど」
これもスパルダスを中心に半径8メートルほどの大爆発を起こした。
大翔は目を覚ましトライブが話しかけた。
「大翔君、気がついたか」
「う、うーん」
その時退魔の剣が大翔に語りかけた。
「剣を持って奴の所まで行くんだ! 頼む!」
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