突然ですがパーティーにやって参りました
隣国の王子がやって来た。
王子を歓迎するため城で大きなパーティーが開かれ、エクラリュール家も招待を受け家族総出で出席をする。
パートナーのいない私は一番年の近いお兄様、アレク兄様をパートナーにして会場に入場した。
会場はキラキラとしていて、家族のキラキラ度がいつも以上に上がる。
眩しい……。眩しい……。眩しくて隣が見えない。
「アレクお兄様……。もう少しキラキラ度を落としてくださいませ。ダウン!ダウン!」
「は?意味がわかんないだが……」
はぁ。どうやら私とアレク兄様は通じ合えないらしい。
兄弟のなかで一番仲が良く、唯一両親共に同じ兄妹のはずなのにこんな些細なことですら、通じ合えないなんて。
やっぱり住む世界が違うのかもしれない。
悲しいね……。寂しいね……。そう思いながら、目を細め隣を見る。
アレク兄様はそんな私の視線に居心地悪そうにしながら、変なやつ、と呟いた。
しかもそのすぐ後にまあ、いつものことか、と言い残して。
私はとりあえずムッとしたので、ヒールの靴で足を踏んでおいた。
アレク兄様に睨まれたが気にせず笑っていたらデコピンをされてしまった。
痛い。かなり痛い。
「女の子に暴力を振るうなんて最低だと思いませんか?」
「男女平等。そもそもお前が言ったんだろう?女だからって舐めるなって……っ!おい!やめろ!足を狙うな!」
「あら?なんのことかしら~」
狙いをアレク兄様の足に定め、足を振り下ろす。
くっ!ちょこまかと動くなっ!
大人しく踏まれろ!!
私がアレク兄様の足を踏もうと奮闘しているその時。
「リリアンナ!」
名前を呼ばれ振り返る。
「リーゼロッテ姉様」
そこにいたのは、私と同じ金の髪に深緑の瞳を持った美しい少女。八番目のお姉様、リーゼロッテ姉様だった。
うう!眩しい!
突然の輝きが私の目を焼こうとする。
日を浴びた吸血鬼のごとく苦しむ私の手をリーゼロッテ姉様がぐいっ!と引いた。
「リリアンナ!来て!!私を手伝って!!」
「ええ!?ちょっ!?待って!」
突然のことに驚く私にかまわずリーゼロッテ姉様はずんずんと私の手を握ったまま進んでいく。
助けを求めてアレク兄様を振り返るが、いつの間にか友人と談笑しており、私のことは目に入っていない。
あいつっ!絶対後で踏む!踏んでやる!!
そう決意して、私はリーゼロッテ姉様に引きずられていった。