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ラスボス、最初から馬鹿にされる。

いざ、出陣である。




「おはようございま痛い!!」

私が気合いと共に開くはずだった扉はいきなり私の顔面に攻撃をしかけてきた。思わずよろけた隙にその隣を何かが通り過ぎた気がするがそれどころでは無い、ただでさえ低い鼻が更に潰れたかもしれないどうしよう困る。

「ヒナコ様、ハパルーの王女が飛びだして行きましたが」

よろける私を支えてくれたギルバートが声をかけてくる。どうやら扉を内側から開けて私を攻撃し、そのまま逃走したのはハパルーのアティ王女らしい。あの小動物王女、可愛い顔してなかなかやってくれるじゃないか。いや、多分私が居たことに気付いてさえないだろうけど。それより飛びだしたって何処に。

「困る困る!ギルバート、追いかけて!」

「・・・直ぐに戻ります」

ディアローザの外は王宮の敷地内とは言え、何処に何がいるかもあるかも解らない。それに他国の王女に見られてはまずい事もあるのだ。私の指示に素早く従ってくれたギルバートはアティ王女が逃走した方へすぐさま向かった。一体何だというんだ。

アティ王女の事はギルバートに任せるとして、私は改めて王女達がいるはずの談話室の部屋に続く扉を開いた。









開いたはずだった。





「開かない」

押しても引いても叩いても蹴ってもうんともすんとも言わない。それどころか私が蹴った場所の装飾が壊れただけだ。

私は悪くない。

仕事をしない扉が悪い。

もしかして扉自体が壊れたのかと疑ったが、さっきアティ王女が飛び出してきたばかりだしその可能性は低いだろう。それに、中には誰か人がいるはずだ。だって微かな話し声や笑い声がするから。

いや、笑い声って何だ。私が此処で頑張っているのを中にいる奴らは気がついているはずなのに何笑ってる。開けろ。

「あの!開けて下さい!」

私は腹の底から声を出してみた。




返事はない。

ただの嫌がらせのようだ。




これだから最近の若い女の子は困る。

箱入りでちやほやされて育ったお姫様達は特に。けしからん!とは言えここで引き下がるわけにはいかない。

「すみません、この中に入りたいんですけど」

私は通りすがりの侍女らしき女の子を捕まえ事情を話した。オスタシアの侍女じゃないな。落ち着いた赤のお仕着せは確かアジェンダイの侍女が着ていたはずだから、あの歩くシャンデリア王女の侍女か。確か名前はマチルダ王女だったはず。その侍女は私を頭の先から靴の先まで眺めた後、愛想をどこかに落としてきたような顔で私の顔を見ながら口を開いた。

「マチルダ様の許可があるまで、この部屋には誰も入れないよう命じれております」

「その許可をもらってきて欲し・・・ちょっと!」

侍女は簡潔にそれだけ言うと、そそくさと仲間の侍女がいる場所へ行ってしまう。そこには他の国から連れて来られたらしい王女の侍女達もいるけど、私を見るなりくすくす笑いながら去って行った。

馬鹿にされている。



でも私にこれしきの嫌がらせは通用しない。これくらいで根をあげていたらとっくにうちの性悪国王に泣かされているはずだ、でもあの国王はこんな可愛い悪戯では済ませないから私にも自然と耐性がついたんだ。

私は庭にまわると、彼女達がいるだろう部屋の窓に近づいた。



出入り口が一つなんて誰も言ってない。

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