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第1話 異世界召喚、そして、、

俺は、三枝蒼空(さえぐさそら)。そして、今は玉座に座っている。


「魔王様、これより議会が行われますので、ご移動をお願いいたします。」


なんでこうなった。

まぁ、こうなるまでに色々ありすぎたのだが、まずはその1ヶ月を見てほしい。


─────────────────────


「はぁ、眠い。」


いつも通り何も変わらない昼休みを過ごしていた。

クラスメイトとも何を話すわけでもなくなく、ただただ、1人で時間が過ぎるのを待っている。いや、別に友達がいないというわけではないが。

次の授業の準備でもするか、そう思って立ち上がった瞬間、


教室の床全体に円形の模様が浮かび上がった。


「えっ?なにこれ?」

「さっきまでこんなのあったっけ?」


みんな困惑している。

なんだこれ?幻覚か?いや、みんな驚いてるし俺だけに見えてるわけではないか。

1回落ち着こう。

そう思って、教室から1歩踏み出した瞬間、



視界が真っ白になった。



体が宙に浮いている感じがする。



真っ白な空間の中に、1つ黒い空間が現れた、だが、それはすぐに消えてしまった。







「勇者の皆様、よくお越しくださいました。ここは人族領のブレステール王国です。」


目の前には、豪華なドレスを身にまとった綺麗な女性が立っていた。


「これは一体どういうことなんだ!ここはどこだよ!」


「落ち着いて御堂君、こういう時こそ落ち着いた方がいい。」


「ケッ!指図すんな。」


「それで、これはどうゆう状況なんでしょうか?僕たちが勇者ってどういうことですか?」


「はい、位置から説明します。立ち話も申し訳ないのでこちらへどうぞ。」


ついて行った先は、大広間だった。


「おぉ、」


思わず声が出るほどの、大広間だった。

他の奴らも関心しているようだ。


「それではそちらにお座り下さい。」


全員が同じ長い机に腰掛けると、話し始めた。


「申し遅れました、私はミスリーナ=ブリステール、この王国の王女でございます。」


察しは着いてたけど、実際に王女様だと伝えられると、所作が際立って見えるな。


「何もわからないと思うので、位置から説明いたします。まず、今私たちがいる場所は、ブリステール王国の王宮です。この状況を簡単に言いますと、皆様は魔王を倒すために召喚された勇者であるということです。なので、これから魔王討伐に向けて色々やることがあります。」


ありがちな展開だな。

こういうのは、なんで俺たちが!?みたいなことを思うのが普通なのかもしれないが、恐らくたまたま選ばれただけだろう。


「なんで俺たちがそんな事しないといけないんだよ!」


実際に言うやついたわ。


「それは本当に申し訳ありません。ですが、魔王を倒さないと皆様は帰ることができないので、倒していただくしかありません。」


「はぁ!?ふざけんなよ!」


「ですが、待遇はとても手厚くさせていただくので、ひとまず心を落ち着かせてください。皆様40人分の部屋を用意させていただいたので、そちらでお休み下さい。案内をお願いします。」


「かしこまりました。皆様こちらへどうぞ。ここの通りの部屋、1001室~1040室をお使いください。」


「ありがとうございます。じゃあみんな、部屋は出席番号の順番でいいかな?」


それぞれ部屋に入っていく。

おお、普通にホテルとかの一室って感じだな。

なにかと一人暮らしとかに憧れを持っていたから、ここで暮らせるのは少しいいかも。

いや、そんな呑気なこと考えてる場合ではないな。

一旦状況を整理しよう。


まず、第1に、俺らは異世界召喚とも呼ぶべきだろう

か、魔王を討伐するためにこの世界に呼び出された勇者になり、それに向けてこれから色々やることになるだろう。

ひとまず、それはもう受け入れるしかないとして、次に問題なのがメンツだ。

恐らくほとんど俺らだけの力で魔王討伐を行わなければならないだろう、だからこのメンツだと先が思いやられる。

俺はあまりクラスの人とは話さないのだが、別に友達がいないというわけではないが、それよりこのクラスには問題児が多すぎる。

さっき色々騒いでた、素行の悪い御堂。

お互い以外の指示は何も聞かない双子姉妹。

自己中心的すぎるやつ。

とかいろいろだ。

そんなやつらが協力するなんて無理だ。

どの道俺はどうすることもできないのだからこのことを考えるのはやめよう。

それより、せっかく異世界に来たんだから、楽しむことを考えよう。

魔王がいるって言ってから、魔族とか、ほかの種族とかもいるだろうし、魔法とかもあるののかな。


(勇者の皆様、1階の儀式室までお越しください。)


なんだこれ、脳内に声が流れ込んできた。

外に出ると、他の奴らも続々と部屋から出てきていた。


「皆様、こちらへどうぞ。」


召使いについて行くとそこには、俺たちが召喚された場所だった。


「お集まり頂きありがとうございます。私は聖女のラウムと申します。今から皆さんには魔力鑑定をしてもらいます。この宝珠に触れると、皆さんの魔力属性、ランクなどがわかります。では、我こそはという方はいますか?」


「これは俺から行くのが当然だな。」


このあからさまに俺様タイプなこいつは、王塚永久(おうづかとわ)。全てが自分中心なやつ。みんなから嫌われてるかと思いきや、イケメンだし勉強も運動もできるから割と人気があった。見慣れたやつからすればウザイだけなのだが。

王塚が宝珠に触れると、白色に光り始めた。


「おお!凄いですね!オウヅカ様の属性は光、ランクはSですね!」


「ふっ、当然の結果だ。」


「次は俺にやらせろ!」


「落ち着いてください、全員やりますから。ミドウ様は、火属性ですね。ランクはAです。」


「はぁ?俺もSじゃねぇのかよ!」


「お前が俺に並ぶなんて無理な話だ。」


「おい、やんのかお前?」


「次の方は?」


「私が行く。」


「お姉ちゃんが行くなら私も。」


「シノノメ様の属性は、あ、どちらもシノノメ様でしたね。お姉様の方は雷、妹様の方は風ですね。ランクはお姉様がS、妹様がAです。」


「さすがお姉ちゃん!」


次々に魔力鑑定をしていき、俺の番になった。


「サエグサ様は、、、、珍しい。闇属性ですね。あまりいないんですよね。ランクはEです。」


Eか、異世界に行ったら最強!とかにはならないか。


「これで全員終わりましたね。Sランクはオウヅカ様、シノノメ様、クゼ様、ナガセ様の4人でした。素晴らしいです!大体は2か3人なので、4人はとても素晴らしいですね。Aランクも6人ほどいましたし、Eランクも1人いましたけど、豊作です!」


「ククッ。さすが雑魚なだけあるな。なぁ?王塚よぉ?」


「俺は雑魚のことは気にしない、俺の世界に入ってこない限りはな。」


酷いいようだ、こういうのは本来クラスをまとめる久世が止めるのだが、俺に関しては無反応か。


「はい、魔力鑑定も終わったところで、今日はこれでやることは終わりなんですが、明日は魔法学園に行きます。皆様にはそこで、魔法について学んでもらいます。後でスケジュールを伝えるので、参考にしてください。皆様のいた世界では、確か5日間学校に行って、2日間休んでいたのですよね?それに則ってやっていこうと思っていたのですが、それだと間に合わないので少しつめつめかもしれませんがご了承ください。それでは、疲れていると思うので今日はお休みください。」


部屋に戻ると、紙が置かれていた。

そこには1週間の予定が書かれていた。

5日間は、朝9:00から17:00まで魔法学園なる場所で学び、その次の日は、レベルアップ実習?って言うものをやるらしい。で、最後の1日は休みだ。

休みがあるだけありがたいか。



コンッ、コンッ。


ん?なんだ?こんな時間にもう夜だぞ。


「はい。」


「夜遅くにすみません、少しお話があって、中に入れて貰えませんか?」


クラスの誰かかと思ったが、メイド服きてるし、メイドさんだな。


「あ、はい、どうぞ。それでお話とは?」


「サエグサ様は闇属性の魔法をお使いになるのですよね?」


「まだ魔法とかそういうのはよくわからないですけど、闇属性とは言われましたね。」


「あの、確かなことはわからないんですけど、この勇者召喚は何回か行われていて、闇属性の勇者様がいたことは数回しかないんですけど、その全員が5日以内に失踪してるんです。」


「失踪?」


「はい、ある日の朝に突然姿が見えなくなって、前日の夜には全員目にしてるんですけど、次の日になるとどこにもいないんです。なので、とにかく気をつけてください!」


「ありがとうございます。気をつけます。」


突然消える、か。確実に誰かの仕業だろうな。

闇属性の魔法を使うやつだけが消えるということは、その犯人にとってなにか都合の悪いことがあるのか。

とりあえず今日は寝よう。

今すぐできることは何も無い。



スケジュールにある通りに、朝に魔法学園に行き、講義を受けた。

魔法は、火、水、雷、風、土、光、闇の属性で基本的には構成されてるらしい。基本的にはというのは、一部、違う属性の魔法を使う種族がいるとか、いたとか。

他には、魔法は自身の魔力を消費することで、自然界にある魔素を使用し、発動するとか、武器に魔法を纏って使用することもできるとか、まぁそんな感じだった。

今日は1日目ということもあり、昼過ぎくらいには放課になった。

俺はとしょかんで本を漁っていた。

だが、闇魔法の本が全然ない。

他の属性は本棚1つ分くらい本があるのに、闇魔法はひとつもない。

唯一見つけたのは、この回復魔法についての本に一部闇魔法について書かれていた。

攻撃魔法とか支援魔法の本には書かれていなかったのに。

回復魔法か、これから起こるであろうなにかに備えるには攻撃とかの方がいいと思うけど、まぁこれしかないのだからしょうがない。

えーと、なになに?闇属性の回復魔法は、光属性などの回復魔法とは大きく違う?光魔法などの回復魔法は、その属性の魔素を介して、対象者の自己治癒能力を極限まで高めることによってダメージを回復するのに対し、闇属性の回復魔法は、ダメージに対して、闇魔素で覆うことで闇魔素が肉体と一体化し、癒す。

闇魔素はダメージが完全に癒えた時、自然と肉体から離れる。

魔法とは、イメージが大きく関係しているため、仕組みを理解することが、習得への近道である、か。


部屋に戻ってきた。

回復魔法を試すにはこれしかないだろう。


「っ!」


さすがに、腕を切るのは痛いな。

魔素を傷口に多い被せるイメージで、


「おお、できた。」


俺の右手には、傷口に埋まるように黒い模様が入っている。

これが闇の魔素で覆うってことか。


「ステータスオープン」


三枝蒼空

Lv 1

HP 97/100

魔力 20/30

スキル ダークヒール


勇者はステータスが見れるって言ってたけどこんな感じで見えるのか。

改めて、ほんとにゲームとかの世界みたいだな。

Lvは単純に経験値だろう。HPは0になったら死ぬのだろうか、今腕を少し切ってこの減り具合だと普通に死にそうだな。魔力は今少し使っただけで10減ったから、もっと増やしていかないとやっていけないな多分。

色々疲れたな、夕食の時間になるまで寝よう。





ギュルル?


「ん?、どこだここ。っっ!?」


なんだこの化け物、鳥、か?落ち着け、刺激するな、刺激したら確実に死ぬ。


ギュイ?


どこか逃げる場所は!?

左、は壁だ、右、も壁、完全においつめられて、る。

戦う?こんな化け物と?無理無理無理無理、無理だ。

ゆっくり、壁に沿って、離れるんだ。


ギュィィィィァァァ!


「え、うああああああ、う、腕がぁぁ、、ああああ、こっちに来るなぁぁあ!!」


走れ走れ走れ走れ走れ、とにかくあの化け物から離れるんだ。


ギュイ? ギュア?

グギュイ? ギィィュア?

ギィィ? ギュイア?


ギュイ? ギュア?

グギュイ? ギィィュア?

ギィィ? ギュイア?

ギュイ? ギュア?

グギュイ? ギィィュア?

ギィィ? ギュイア?



は?なんだこの数、どこか、、、逃げ道は、、!?あそこなら、


ギィィィィィァァァァ!!

ギュィィィィ? ギュァァァァアア!!

ギュルルルアアアアアア!!


振り向くな!走れ!







あれ?体が、動かない、、?

あああ、脚が、、、ああああああああああ!!!


ギュイア!!


来るな、来るな、くるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなくるなぁぁぁぁあぁ!!












あ、、、ああ、、、、ひ、ひー、、、る、、













あれ、?化け物がいない、、?

いや、いる、だけど何故か俺の方に注意が向いていない。

今のうちに、、あそこの隙間に、、、はぁ、はぁ、

ひとまずこれで、、?扉?、、書斎か何か?

ふぅ、ひとまずこれで大丈夫だろうか。

ん?なんだこの手、いや、脚もだ、傷を治した時みたいに黒くなっている。

ちょうどあった鏡を見ると、体のほとんどが黒く覆われている。顔も誰か判別できないほどに黒く覆われている。

それも不思議なことに、右目も黒くなっているが、普通に目は見えている。右手も左手も動く、つまり生体機能は問題ないのか?まぁ詳しいことは今はいいか。

それより、問題なのはこの状況だ。

ここはどこなんだ、洞窟っぽかったが、異世界だしダンジョンとかだったりするのか?

何故ここにいるんだ、考えれば考えるほど疑問が出てくる。ひとまずここから出る方法を探さないと。

机の上に、日記か?

いや、そういうわけではないようだな、


これを読んでいる人がいるなら、君は最悪な事実を知るかもしれない。

まず、私、もといここに来たことのあるものは全員、聖女ラウムによって召喚された勇者だ。しかも闇属性の魔法を使う勇者だ。そして、ラウムによってここに飛ばされた。ここはどこかのダンジョンで、恐らく奴が俺たちのような闇魔法使いを処理するために使っているのだろう。何故か奴は闇魔法使いを毛嫌いしている、その証拠にあの王国には闇魔法に関する文献がほとんどない。

そして、残念な話だが、ここから出た者はおそらく一人もいない。奴がずっとここを使っているのがその理由だ。それと、ここには悪魔が封印されているらしい。それのせいで魔物が凶暴化している。

悪魔についてはこの部屋の棚にある歴史書を見ればなにか書いてあるかもしれない。俺はもうこの傷では何もできない。どうか、奴に、、俺たちの、報い、、、


なるほど、歴代の勇者たちもここに飛ばされたのか、しかも飛ばしたのがあの聖女か、確かに鑑定の時に怪しげな表情をしていたような気もする。

とりあえずここから出る方法を探そう。

ここの本棚の本から情報を集めるか。




読んだ感じ、状況は絶望的だ。

まず、この世界にはかつて悪魔、魔族、人族がいた。

だが、魔族によって悪魔は封印され、そこに現在、ダンジョンがある。ダンジョンは複数あるが、そのうちの4つに悪魔が封印され、その1つがここというわけだ。そして、絶望的なのがここからだ、ダンジョンにはいわゆるボス階層というものがあるらしく、そこはボスを倒すまで出られないようになっているらしい。で、ここがボス階層というわけで、ここのボスは恐らくその噂の悪魔というわけだ。

はぁ、やってられないな。

でもいい点もある。

闇魔法についての文献があった。

闇魔法はまだよくわかってないことが多いらしいが、その中で、実用的なものをピックアップしている。

まず、ダークヒール。

俺が唯一使える魔法だ。これは、学園の図書館で読んだとおり、ダメージ部分を魔素で覆うことで、治癒するまでの間、守っておけるというものだ。そして、さらに、腕が丸ごとなくなったりすると、自然治癒するまで代わりの腕が魔素によって作られ、それは生体機能としての違いはないらしい。なくなった腕が自然治癒することはないから、つまり腕はこのまま魔素で作られたもののままということか。しかも、魔力が切れると、その腕を維持できなくなり、消失する、か。つまり俺にとって魔力切れは死だな。だが、ポジティブに捉えれば、何度腕を切られようが瞬時に治ると言っても過言ではない。加えて、魔素で作られた部位は、魔素でできているため、魔力による拒絶反応が起こらないらしい。詳しくはよくわからない。

次に、ダークカース。

何かを代償とすることで、相手にダメージを与えるらしい。原理的には、代償とするものを魔素に分解し、その魔素を使用し、相手にダメージを与えるらしい。代償とできるものは、自分の所有物に限られ、そのものの重要度によってダメージが変わるみたいだな。

そして、ドミネーション?

これはダークとかついてないのか?


ギュュァアァイイィィィ!!


!?あの化け物が来たのか!?ここも安全じゃないのか、いや、声を聞く限りでは一体だけか?

俺は扉に向かって、腕を突き出す。


「ダークカース」


ギュュァァァァ!!ピギュュッッッ!ギュ、、ギャ


レベルが上がりました

Lv1→Lv8


ぐぁぁぁっっっ、、、ぐぅぅぅぅぅ、、、はぁ、はぁ、うっっ、試しに腕を代償にしてみたが、魔素の腕でも痛みはあるんだな、、はぁ、、だが、ちゃんと倒せた、、ダークヒール、、はぁ、もう二度とやりたくないな。


グギュイ? ギィィュア?

ギィィ? ギュイア?


クソ!さっきの鳴き声で集まって来やがった、やってやるよ!


ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!ダークカース!ダークヒール!


レベルが上がりました

Lv8→Lv18

レベルが上がりました

Lv18→23

レベルが上がりました

レベルが上がりました

Lv67→80


はぁ、、、はぁ、、、生き地獄だ、何度も何度も何度も何度も、腕を切断される痛みを与えられる、、

でも、これで一体の化け物は全員倒したか。

この先に、悪魔がいるのか。

気がつけば、俺は歩き出していた。

度重なる激痛でおかしくなっていたのか、今の俺が悪魔なんかに勝てるわけもないのに。





これが、悪魔?

目の前に鎖に縛られた水晶があり、その中には少女が入っていた。

辺りにはガイコツが大量に散らばっていた。だが、形が綺麗すぎる、戦いで死んだものとは思えない。

封印が解けず、悪魔を倒すことができなかったから餓死したのか。よくできてるな。

大体は最初にあの化け物に殺される、仮に生き残ったとしても、この封印が解けずに餓死か。

ははっ、終わってるな。


封印をじっと見つめてると、あることに気がついた。

この封印、闇の魔素でできてるのか?

なぜだかわからないが、そう感じた。

もし、仮に、この世に今、闇魔法を使えるのが俺しかいないとしたら、闇の魔素は全て俺のものと言えるのではないか?そうしたら、闇の魔素でできているものは全て俺の所有物とみなせるのではないか?

暴論だ、だけど、もうそう考えるしかない。

封印に手を当てる、


ダークカース




ピキッ、、ピキッ、




水晶にヒビが入り始めた。


「封印を解いたのは、お前か。」


悪魔と目が合う。


「封印を解いたことには、感謝しよう。だが、それで終いだ。お前を殺して外に出るとしようか。」


感覚でわかる、生き物としての格が違う。

震えが止まらない。

俺が何をしてもこいつに殺される事実は変わらないだろう。

だけど、せっかくここまで痛い思いをして来たんだ、タダで終わるもんかよ!


「ん?なんだその手は、我に何をしようというのか。」


ダークカースは代償としたものの、その者にとっての重要度によって与えるダメージが変化する。

この状況において、悪魔の封印は三枝蒼空にとってどのようなものであったか。

悪魔と三枝蒼空の実力差は天地の差であり、封印は三枝蒼空の生命線である。

つまり、封印の解除は死を意味するため、代償としては最大限のものであると言える。


「何もしないのか、ならもう終わらせ、、ぐっっっ、ぐぁぁ、お、お前、、何をした!!」


なんだ、何が起こったんだ、急に苦しみ出して倒れたぞ。

どうしよう、今なら倒せそうだけど、なんか封印から目覚めてすぐに殺されるってのもなんか気の毒だしなぁ。

あっ、そういえば、もう1つくらい魔法あったような。

たしか、




ドミネーション



悪魔 バエルを支配しました。


レベルが上がりました

Lv80→Lv140





「んん、ん?」


「起きたか。」


「、、、魔法が発動できない。何をした。」


「多分、支配した。」


悪魔の左腕を指さす。


「これは、ドミネーションか。はぁ、封印から解放されたと思ったら、支配されるなんてな。お前、何が目的だ、そもそもお前はなんだ?魔族か?」


「いや、こんな見た目だけど、一応人間ではある。」


「そんな見た目の人間なんて見たことも聞いたこともないぞ。というか、どうやって封印を解除した、鍵を持っているわけでもないだろう。」


「そうだな、何から説明していいか。、、、」


俺はここに至る経緯を説明した。


「言いたいことが色々あるが、ひとまず、勇者なのはわかった。そして、ラウムによって死にそうになったのもわかった。お前の話を聞く限り、お前はこの世界について何を知らないようだな。」


「まぁ、来たばっかりだからな。」


「まず、闇魔法はお前の思っているほど便利なものではない。闇の回復魔法は、お前のように腕を生やしたり、欠損した部位を補ったりはできない。せいぜい傷を覆うくらいだ。それに、ダークカースも、そこに転がってる雑魚を殺すことはできるだろうが、我にかけられた封印を解くことはできない。それを代償に私にダメージを与えるなんてもっての外だ。」


「じゃあなんで俺はできてるんだ?」


「おそらくお前は、古代闇魔法を使えるのだろう。」


「古代闇魔法?なんだそれ。」


「説明するのがめんどくさい。」


「いや、説明してくれよ。」


「っ!?、はぁ、まず、魔法というのは魔素を使って行うものというのは知っているな?」


「お、おう。」


急に説明しだしたな。


「通常、魔素は魔法によって使用されると、不活性状態になる。そこから、時間が経つと、エネルギーを吸収し、活性状態になるわけだが、古代魔法というのは、その魔素が長らく使用されなかったがために、その魔素にエネルギーが少しずつ蓄えられ、その魔素を使うことで、威力の高い魔法を使えるということだ。古代魔法の使い手なんてほとんどいないからな、さらに闇属性となると、今までに何人いたかわからない。だからお前はそんな意味のわからん魔法を使えるというわけだ。」


「なるほどな、わかったけど、なんで急に説明しだしたんだ?」


「、、、お前、ドミネーションの効果をわかっていないのか?」


「あまり。」


「ドミネーションは、相手を支配できる。支配されたものは、主に逆らえないし、主が死ねば、自身も死ぬ。」


「それは、気の毒だな。ところでお前、名前は?」


「バエルだ。」


「バエルね、俺は三枝蒼空。好きに呼んでくれ。」


「そうか、カス。」


「、、、名前でお願いします。ところで、なんで封印されていたんだ?」


「この世界には、かつて悪魔と魔族、人族がいた。まぁ、他にも種族はいたが、ひとまず、魔族と人族の戦いは頻繁に起こっていた。悪魔はその戦いにはほとんど関わらなかったが、ある時、悪魔の1人が事件を起こした。悪魔はこの世界に全員で5人いたが、他4人を生贄に、上位存在になろうとした。その悪魔がラウムだ。それを阻止しようと、魔族と人族が協力し、我ら5人全員を封印した。いや、正確には、違うが、まぁいい。そして、何故かラウムだけ復活し、また何やらまた企んでるようだな。」


「おおよその背景はわかった、最後に鍵ってなんだ?」


「ああそれか、我らを封印する時に、解除するための鍵を作ったんだ。そしてそれはどこにあるかはわからん。なのにお前はその鍵なしで封印を解いてしまった。これがバレたらどうなるかわからんぞ。」


「その時はその時だ。とりあえずここから出るか。一応このダンジョンはバエルがボス判定だから出られるんだよな?」


「ダンジョン?というのはよくわからないが、すきにしたらいい。」






出口に向かって歩いていると、俺が倒したのとは違う魔物が出てきた。


「くっ、またあれやるしかないのか。」


「ヘルファイア」


ギイィィァィィイアアア!!


「おお、さすが悪魔だな。」


「こいつらは弱すぎる。さっきの階層の鳥に比べて明らかに弱い。我の魔力で強化されていたのだろう。腕を代償にあの魔物を倒していたと言ったな、それに比べたらこいつらは爪の先使いで事足りるだろう。」


そんなにも差があるものなのか。

まぁそんなことはとりあえずいい。

とにかく外に出よう。


「おお、やっと外だ!ずっと暗いとこにいたから眩しいな。」


「16000年ぶりの日の光はいいものだな。」


感想の重みが違う。


「それにしてもここどこだ、辺り1面木しかないな。街に向かいたいんだが。」


「その姿で街に行くつもりなのか?16000年で気候が変わってると言っても、さすがにここら辺は人族領だと思う。」


そういえば俺の今の姿、おおよそ人ではなかった。それに魔物のせいで服もボロボロだ。


「おい、嬢ちゃんがこんな森の中一人で歩いたら危ねぇだろ?」


「ひっ、や、やめてください!」


「大丈夫だって、なぁ?」


「そうだぜ、殺しはしねぇよ、ちょっと遊んでもらうだけだからな?」


ん?ああ、異世界だからこういう輩もいて当然か。

人助けの趣味はないが、服もなかったしちょうどいい。


「バエル、あいつらをこっちにおびき寄せられるか?」


「ああ、問題ない。アクセラレーション」


「なぁ、嬢ちゃ、んぁ??ぐっ、、なんだぁ!?てめぇ!?」


「ひっ、化け物!!はっ、離せぇ!は、、は、な、、、、せ、、。」


今俺はチンピラ2人の首根っこを掴んでいるわけだが、


「あれ、なんか抵抗しなくなったんだけど。」


「もう死んでるぞ。」


「え!?なんで?」


「魔素の活性、不活性状態の話はしたな?不活性状態の魔素はエネルギーを外部から取り込んでいる。ソラのその手は、不活性状態の魔素で構成されているから、触れたもののエネルギーを勝手に奪っていく。」


「え、じゃあ俺なんにも触れない?」


「ちゃんと頭を働かせろ、手を構成してる魔素を活性化状態、つまり手に魔力を込めれば問題ない。」


あ、そうか。

いや、あ、そうかじゃない。

俺はここに来てまだ1日とかだ、そんな考えればわかるみたいなノリで言われても常識が違う。


「お、こいつら頭まで羽織れそうなローブに仮面まである、死んだのは残念だけど、ありがたく使わせてもらおう。バエルは、その角と尻尾を何とかしないと。」


「このくらいしまえるぞ。あまり悪魔を舐めるな。」


おお、便利なものだな。


「あ、あの!」


ん?


「助けていただいて、ありがとうございます!」


「あ、ああ。どうも。」


そういえばチンピラに襲われてた人がいたな。


「あなた方はここで何を?」


「えーと、」


さすがにダンジョンから出てきたことは隠すべきか、悪魔が封印されてたとこだしな。


「少し探索を、あなたは?」


「私は、薬草を取りに。私、街で薬剤師をしていて、ポーションとかを作ってるんですけど、なかなか素材が見つからなくてこんな奥まで来てしまって。」


お、近くに待ちがあるのか。


「俺たちも街に用があって、案内して貰えますか?」


「ぜひ!助けて頂きましたし、なにかお礼させてください。」


そこから30分ほど歩くと、大きな街に出た。


「ここが私のお店です!」


ここまで歩いてきた感じ、普通にデカい街だな。

ブリステール王国ではないのだろうか。


「なにかお礼をしたいんですけど、なにか欲しいものとかありますか?」


「飯!」






「美味かったぁ、2日振りくらいの飯は美味い。」


「人族の飯もここまで美味くなったのか!?お前!この甘いのはなんだ?」


「それはパイですよ。パイ生地にカスタードを入れて焼いたものです。」


「それにしても、賑わってますね、お祭りか何かですか?」


「詳しくは知らないんですけど、新しいダンジョンが見つかったとかで、攻略者を募ってるらしいです。あと、勇者がこの街に来るみたいで、それで賑わってるんだと思います。」


あいつらがここに来るのか。


「ありがとうございます。食事も美味しかったです。」


「いえいえ、助けて頂きましたし、なにか困ったことがあれば相談してください。そういえば、お名前を聞いていませんでしたね。私はミキって言います。」


名前か、フルネームはもちろん、苗字とかでも巡ってバレる可能性があるな。ラウムが俺を殺すためにあのダンジョンに飛ばしたのなら、生きていることがバレると何をされるか分からない。


「俺はサラ、、こいつはエルだ。」


「サラさんとエルさんですね。それでは、お元気で!」




「ソラ、もっと美味いものが食いたい。」


「美味しかったが、確かにもっと食べたいな。でもまず金を集めないと。」


「金?そんなものが必要なのか。食べ物なんてそこら中にあるのにか?」


「金払わなかったら、目立つだろ。俺やお前の顔を知ってるやつに見られたらどうする。」


っと言ったが、俺の顔は今判別不可能だし、こいつの顔も知ってるやつはほとんどいないかもな。


「そしたらどうやって集めるんだ?」


「ここだ。」


「これは、冒険者ギルド?なんだこれは?」


「俺も来たのは初めてだが、簡単に言えば、冒険者を取りまとめるところだな、多分。ここを通して依頼をこなせば、金が貰える。早速行くか。」


「冒険者ギルドへようこそ。初めて見る方ですが、ギルドへの登録ですか?」


「はい、お願いします。」


「はい、それではまず、冒険者ギルドについての説明をさせていただきます。登録していただいた方は冒険者として、依頼を受けることができます。ランクは上から、ダイヤモンド、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズとなっていて、ランクが上がると危険度の高い依頼も受けれるようになります。なにか質問はありますか?」


「いや、大丈夫です。」


「それでは、お名前を伺ってもよろしいですか?」


「俺はサラ、こっちはエルです。」


「サラ様とエル様ですね。では、魔力鑑定を行いますので、この水晶に触れてください。」


これは、王宮で見た宝珠とは違うのか?


「これで魔力の属性がわかります。冒険者様の魔力属性を知っておくことで、依頼を受ける時にも便利ですから。」


属性しかわからないのか、宝珠の劣化版と言ったところか。

水晶に触れる。


「、、、えーっと、サラ様は闇属性ですね。」


「なにか?」


「いえ、闇属性の方は、私は見たことなかったので、少し戸惑ってしまっただけです。次はエル様お願いします。」


「これに触れればいいのか?」


「んー?あれ、光らない?すみません、もう1回触れてもらってもいいですか?、、、あれ、いや、光ってるけど色がない?」


「こうすればよいか?」


「あっ!光りました!えっと、エル様も闇ですね。はい、お二人とも確認できましたので、こちら、ギルドカードになります。ブロンズランクからのスタートになりますので、頑張ってください!」





「お前何したんだ?」


「ん?ああ、あれは魔力の属性を判別するものだったが、私は特定の魔力属性というものを持たないからな。だからやろうと思えば全ての魔法を使えるぞ。」


、、、そっか、16000年前の悪魔だもんな。


「おい、そこの新人。」


「ん?なんだ?」


「そのローブと仮面、俺の仲間が持っていたものと同じだな。」


「、、、そうか。」


「待てよ、そいつらは依頼で森に行ったっきり帰ってこねぇ。なんか知らねぇか?」


「知らないな。」


「待てって言ってんだよ!お前、答えないとそこの女がどうなるかわかんねぇぞ?俺はゴールドランクだぞ、どういうことかわかるよな?おい!話聞けや!」


うわ、刃物まで出してきたぞ。

ダークカースを使えば何とかなるだろうが、さすがに人目に付く場所で殺しはまずいだろ。


「まずその女から殺してやるよ!」


「それはやめといた方が、、」


グサッ、


「はは、、はっ?ゴフッ、、お、お前、何しやがった!!」


確かにナイフはバエルを刺したはず、だが、バエルにダメージは無く、なぜか刺した側がダメージを食らっていた。


「お前が自分のことを刺したのではないか?」


「そ、そんなわけ、、ねぇだろ、。おい、回復!」


「それでは、俺らはこれで失礼する。この依頼お願いします。」


「えっ、あ、はい。薬草の採集ですね。お待ちしております。」







「このくらい集めればいいか。」


俺は今、あのダンジョンがあった森に来ている。

目的はもちろん、薬草の採集、ではなく、


「よし、薬草も集め終わったし、行くか。」


このダンジョンの探索だ。


「またここに来て何をするんだ?」


「お前と会った時は余裕がなかったからな、改めて探索にな。それに、お前が封印されてたんだから特別なものがあるかもしれないだろ。」


「ふむ、それもそうだな。あれもあるかもしれないし。」


「あれ?」


「まぁ良い。先に行こう。」


ドミネーションの力で強制的に言わせることもできるが、まぁいいか。




「あったあった、この部屋だ。」


ここに確か色んな本があったんだよな。

いやぁ、この部屋には助けられたなぁ。

別にそんな何日も経ってるわけじゃないのに、なんか遠い昔のように感じられるな。


「でもこの大量の本をどうやって持っていこうか。」


「一応持っていく方法はあるぞ。」


バエルの手の上には、なんか、よくわからないものが浮かんでいた。


「何それ?」


「亜空間ゲートだ。」


「なんですかそれ。」


「そのままの意味だが。この空間に入れれば簡単に運べるぞ。」


「大丈夫なのかそれ?」


「まぁ大丈夫だろう。」


なんかリスクありそうな言い方だな。


「てかそれどうやってるんだ?なんか魔法って6つくらいしか属性なかった気がするんだが、それはなんだ?」


「これは我が作り出した空間魔法だ。魔素を使い、亜空間への道を開く。」


うん、なんかもうわからないわ。


「てか空間魔法なら、テレポートとかもできるんじゃないのか?」


「できないことはないが、だいぶ危険だな。魔法陣と魔法陣の空間を入れ替えることは容易にできるが、何もなしに転送しようとすると、最悪亜空間に放り出されて帰って来れなくなる。それに人が通れるほどの大きさのゲートを作るのにも労力がいる。」


まぁ、そんなめっちゃ便利なものでもないらしい。


「本も全部入れたし、もうちょい奥に行くか。」





「ここがあの鳥の魔物がいたところか、ってまだ死体あるし。こいつらギルドに持ってったら討伐したとして報酬貰えないかな。」


「おそらくだが、こいつらはこの空間から出ると消えるぞ。」


「えっ、そうなの?」


「ああ、封印されてた時も一応意識はあったから、こいつらがたまに外の方に行ったのを見たが、そいつらは帰ってこなかった。」


「それは残念、、って、ん?意識があった?」


「そうだが?」


16000年も封印されていて、しかも意識があったのか?考えるだけでも恐ろしい。


「戻ったら好きなもん食っていいぞ。」


「おお!って急にどうした?」


「いや、なんでも。っていうか、このまわりにある黒い鉱石?はなんだ?」


「多分魔鉱石じゃないか?魔素を吸収した鉱石だ。」


「これは消えないのか?」


「わからんが、多分消えないと思う。」


「じゃあこれも持っていけるだけ持っていくか。」


バエルのなんかすごい魔法によって辺り一帯の魔鉱石を取ったあと、再びギルドに向かった。





「はい、依頼の薬草ですね。この量ですと、銀貨2枚になります。」


銀貨2枚、どのくらいの価値なのかわからないな。

そういえば、この魔鉱石って売れるのだろうか。


「これって買い取って貰えますか?」


「これは、、闇の魔鉱石?珍しいですね。ここらじゃ闇の魔鉱石なんてほとんど取れませんから。それに、通常より色が濃い気もしますね。鑑定しますので少々お待ちください。」


待ってる間、掲示板を眺めていると、

お、これがミキさんが言ってたダンジョンの募集か。

えっと、参加条件が、シルバーランク以上か。

参加できないじゃん。

3日後だから、それまでにシルバーランクにあげないといけないってことだが、どうやってらシルバーランクになれるんだ?


「サ、サラ様!いらっしゃいますか!?」


「はい。」


「この魔鉱石、どこで見つけましたか!?」


「え、えっと、」


なんかやばいものだったのか?そんな雰囲気がプンプンするんだが、ひとまずあのダンジョンのことを言う訳には行かないな。


「すみません、だいぶ昔に取ったものでして、あまり覚えてないんですよね。」


「そうですか、こちら、闇の魔鉱石でして、蓄えられてる魔素量が通常の10倍以上あるんです。通常の魔鉱石はこんなに蓄えることはないので、とても貴重なものです。鑑定額は金貨20枚ですが、本当に売りますか?」


金貨20枚、おそらくさっきの銀貨2枚とは比べものにならないだろう。

同じものを100個くらい取ってたし1個くらいいいか。


「お願いします。あと、ダンジョン攻略に参加したいんですが、シルバーランクにはどうすればなれますか?」


「そうですね、通常なら依頼をこなしていくとなれるんですが、短期間では厳しいですね。ちょっとギルドマスターに聞いてきますね。」


しばらくすると、背の高い40代くらいの男性がやってきて、奥の部屋まで案内された。


「まず、魔鉱石をありがとうございます。あんな貴重なものは私も長年やってきてますが、初めて見ました。それで、ランク昇格の件ですが、私がテストをするので、それで合格したらシルバーランクに昇格を認めます。もちろん、私に勝てというつもりもないですし、お2人1度にかかってきて構いません。」


すごい自信だな。


「えっと、一人で大丈夫ですか?」


「はっはっはっ、私も舐められたもんですな。一応私はダイヤモンドランクの冒険者でしたぞ。もう引退はしましたが、まだまだ若いもんには負けませんよ。」


「そ、そうでしたか、すみません。」


「いえいえ、日程はダンジョン攻略の日の朝でも大丈夫ですか?その日くらいしか空いている時間がないもので。」


「大丈夫ですよ。」


そうして昇格試験の日程が決まり、俺らは宿へ向かった。

宿の場所はギルドマスターが空いてそうな場所を教えてくれた。


「1部屋、5日間でお願いします。」


「金貨1枚だ。あと、壁は薄いから気をつけろよ。」


おい、どういう意味だよおっさん。


「はぁ、やっとゆっくり休める。」


バエルと出会って、ダンジョンから出てきて、ギルドにも行って、ほんとに濃い1日だったな。


「あ、そうだ、持ってきた本をそこら辺に置いといてくれるか?」


「わかった。人使いが荒いな。」


「俺はもう寝るから。」


そうしておそらく人生で1番濃い1日は終わった。
















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