現実世界のモンスター。
漆黒の魔窟はその名の通り光を反射し辛い特殊な壁で覆われたダンジョンになっている。
当然そこを探索するものは一人一人ランタンのような光源を持っていないと足元も分かりにくい状態で。
だからかな。
中にいるものたちの方向感覚なんかもどうかなってしまうのが常ではあるのだけど。
そういう意味であの新人の子が簡単にあっちが出口だなんて言葉に騙される原因にもなったのだろう。
あたしが発動しているスキル「シノビ」は、身を隠すだけじゃなくて夜目もきく。
まあ忍者はそういうもの? みたいな感覚なスキル。いわゆる隠密スキルだ。
この階層を徘徊しているモンスターたちはまだ生き物の特徴を残しているのでわかりやすいけど、もっと下までいくと幽霊モンスターやゾンビモンスター、いわゆるアンデット系統が増えるはず。
ああいうのは聖水っていう浄化アイテムや、聖魔法、浄化魔法である「ホーリーピュア」なんかを持ってないと面倒なのだ。
まああたしならそんなことはしなくっても……。
なんて思考を浮かべながら走っていると目の前にくっさいモンスターの集団の匂いが漂ってきた。
ああ。こればっかりは現実の世界になったデメリットだよね。
ゲームの世界の時には匂いなんてなかったから、こんな気持ちの悪い臭さは感じなくて済んでたのに。
前方に例の子がいるだろうと思うと、こいつらをまとめて薙ぎ払うような大魔法は使えない。
あたしはゴブリンたちの背後から風の刃を浴びせ、少しずつ削っていく。
ギャァ
と倒れる仲間に驚いて振り向くゴブリンたち。
なまじっか人のような形をしてるから、あたしはこのモンスターは嫌いなんだよ。
そんな愚痴を吐きながら、右手に聖剣エクスカリバーを装備して横に薙ぐように払う。
聖属性が付与されたこの剣は、その効果によりアンデットモンスターには絶大な効果を発揮するんだけど、ゴブリンみたいな矮小な魔物であればそんなことも関係なくサクッと倒すことができる。
血飛沫が舞い倒れるゴブリンを飛び越えながら、先に進む。
はう。
ここが漆黒の世界でまだよかった。
あんまりグロいのを見なくて済んで。
他の動物系の魔物とは違いゴブリンは素材として何か役に立つのかどうかちょっとわからなかったけど、このまま置いておくのも帰りの足元が気持ち悪くてちょっと嫌。
まあもし素材として使えなくてもあとで浄化して埋葬してやればアンデット化もしないだろう。
そう思いながら倒したゴブリンも片っぱしからレイスに収納していった。
そうして。
あらかたゴブリンたちを片づけたその先に。
あたしはボロボロになって倒れている少年を発見したのだった。




